第48話
ふう、やっと出口か。寄り道をしながらとは言え帰りも時間がかかってしまい、疲れからか足取り重く最後の階段を昇っていく。歳はとりたくないな。
「武田様、お疲れ様でした」
俺達を迎えてくれたのは受付嬢。自衛隊に俺達をリークしたダンジョン協会の一員だ。リークも業務の一つだろうから彼女は悪くないんだろうけど。
疲れも有り早く帰りたい俺は、軽く会釈だけをし足早に駐車場へ向かう。その時目端に自衛隊を捉えていた。収穫無くて残念だったなと軽く心の中で悪態をついてやった。
「お疲れさん。こんなに長時間潜ったのは初めてだな」
「そうね、私も初めてだし本当疲れたわ。特に琴音さんの件でね」
「まさか、未来の人?に出会うなんてね」
「で、パパはどうする?琴音さんの話しを公表するの?」
「公表はしないし、したとしても初めは誰も信じはしないさ。それともし俺達の言ってる事が本当だと知られると、質問攻めの上誰か分からない奴に監視され、挙句の果てに拉致される事だって考えられる。今の世の中、理不尽の塊みたいなものだ。絶対に公表は避けるべきだな」
人とは欲の塊だ。こちらが弱い側の人間だと知ると、あの手この手で籠絡してくる。特に権力者って奴は。
「俺達はこの既得権を使ってひっそりと強くなっていけばいい。それに琴音さんが言ってただろ?楽しめと」
琴音さんも”楽しめ”とは面白いことを言ったもんだ。
俺達は琴音さんから膨大な情報を頂いている。それはもう国家機密級からタレントのスキャンダル話まで多種多様な情報をだ。使える情報なのか使えない情報なのかなんて関係ない。これから先起きるであろう事象を利用するかは俺達の自由なのだ。タレントのスキャンダルを知った上でそのタレントが恋愛ドラマに出ていたりすると、俺達はテレビの前で絶対ニヤニヤしてるだろう。それを分かった上で俺達に話しをした琴音さんが一番楽しんでると思うけどな。
正月までの残り二日は美晴とダンジョンに潜り、主に団欒部屋への荷物の搬入や、ペットのスライムと一緒に過ごしたりした。実はこのスライム、何を隠そう・・・琴音さんとリンク出来るとの事。そりゃダンジョン自体が琴音さんのようなものだ。なのでスライムに餌をあげる時は『お菓子やデザートだと喜びます』と。琴音さんや・・・さては詩織化した?つーか、そもそも貴方は味覚あるの?いや『こう言うのは雰囲気が大事なんです♪』とでも言うだろうな。
十二月三十一日真夜中。ある国家が秘密裏に進めていた計画がもう目前にまで迫っていた。。
日本中の人々が年が変わろうとする瞬間を祝い、喜び、楽しもうとそれぞれの場所で心待ちしている。
そしてカウントダウンが始まる。十・九・八・・・・ゴゴゴゴゴ・・・と、ここで人の耳では聞き取れない程度の地鳴りが発生する。外で騒いでいる人々も家で寛いでいる人々も全く気づいていない。そして時計の秒針が十二の位置を差した時それは起きた。




