第47話
「ご同席頂き誠に感謝致します」
何処の方言だよ。あ、違う、丁寧に言っただけか。謎の女性はそれぞれのカップに紅茶を注いでいく。
「ありがとう。で?私達を招待したって事は何かお願いでも?」
「フフ、招待したのは貴方達が初めてなのよ?そう焦らないで。」
謎の女性はティーカップに口をつけ一口含んだ。
「そうね・・・・先ずは自己紹介をしましょうか」
フウと一息つく
「私には名前が御座いません。ですが、名前が無いと会話もしづらいですし琴音とでもお呼びください」
謎の女性は綺麗にお辞儀した。
ふ~ん、名前が無いってか。一階層でキラーマウスが映像のようにノイズが走った感じの現象を思い出していた。薄々予想はしていたが、もしかして・・・あり得るのか?
「システムAIか・・」
「よくご存じで」
彼女は俺の独り言に答えた。
現在こんな人工知能は存在していない。それに、何も無い空間から物質を創る事も不可能だ。もし琴音さんとやらが言ってる事が本当なら、この女性は未来から来た事になるが?いや、マジで?
「未来から・・来たと?」
「フフフ、そうですね。話が早くて助かります。詳しくは”話しません”が、そう遠くない未来からとだけ」
なるほど、人類の進化って凄いんだな。その頃の俺は、よぼよぼの爺か墓の中で永眠中だろうな。
「では本題なのですが、私の主人からの伝言『次のダンジョン発生には気を付けろ』です」
はい?ダンジョン?増えるの?約三年前にダンジョンが出現して以来ダンジョンが増えたって話は無いぞ?気を付けろとは?何に気を付けろと?疑問だらけでどうしたものか。
「分かったような分からない伝言だが、結局何をしてほしいんだ?」
「いえ、特に何かをしてほしい訳ではありませんし、未来を変えてほしいという訳でもありません。未来は変えられませんからね。ただ・・彼の言葉を借りるなら『楽しめ』です」
彼・・ね。この人工知能を作った開発者は、過去の俺達の世界では並行世界である自分達未来の事象を変えられない事を知ってるのだろう。未来の情報を話せないじゃなく”話さない”だったし。
その後、琴音さんとは芸能人の情事や流行等他愛のない話しで盛り上がり、時間を忘れて質問を繰り返していた。そして、そろそろ帰る準備をと思い時計を見ると・・・時計は動いていなかった。・・・もう考えるのは止めて、ダンジョン七不思議の一つとして処理するのがいいな。このダンジョンそのものが琴音さんだし。
「最後に宗一郎さん。その指輪は私渾身の作品なので絶対に無くさないで下さいね」
最後に爆弾を投下された俺は目を見開き後ろを振り返る。ニコニコと笑顔を向けている琴音さんに、七不思議の二つ目ゲット!などと不謹慎な発言を脳内でする。まったくもう・・・
その後俺達は琴音さんに見送られ別れた。しかし濃い一日だったな。これ以上喰えと言われてももう喰えないぞ?




