第45話
十階層を目指して歩くこと十数分。漸く目的地の十階層に降りる階段に着いた。
手を握っていたはずなのに、いつの間にか腕に絡みついている美晴。いや、嬉しいよ?美晴の旦那として役得ではあるし、何より美晴はいい匂いするからな。そんな惚気を脳内で妄想しながら階段を降っていった。
漸く目標としていた十階層に到着はしたが、特に目的が無かった俺達は警戒しながら探索を開始する。
ここ十階層は九階層と違い洞窟バージョンに逆戻りだった。特に二階層の様に少し湿り気を感じるので、水場も有るだろうと推測もできる。スライムは・・・・出ないよな?
辺りを見渡しスライムの有無を確認をする。今のところスライムの影らしきものは見えない。
「彩乃。十階層の敵は何が出るんだ?」
「知らない。情報は無かったわよ」
ハハ・・・数あるダンジョンの中でも田舎の過疎ダンジョンだからってそりゃないだろ。普通はそれなりに情報は出回るもんじゃ?全国の探索者達は何処へいった?
「隣県の情報なら出てくるんだけどね。しかも、そこは人気ダンジョンだし」
何故だ?何故そこまでの格差が?これが所謂格差社会ってやつかぁ!知らんけど。
「そこのダンジョンは攻略探索者チームや自衛隊が駐屯してる上に全国から探索者が集まる程で、国内でもかなり攻略が進んでいるダンジョンよ。因みにダンジョン協会が攻略ページを立ち上げているわね」
格差じゃなくて差別じゃねえかよ。こっちでも攻略ページ立ち上げてくれよ、ダンジョン協会さんよう。俺達が最前線の先駆者なんて嫌だぞ?
魔物の情報が無いだけに慎重に探索をしているのだが、思ってたより体力を使うものだな。常に緊張状態な上に目からの情報処理を最大限に稼働させているだけで本当に疲れる。改めて最前線の探索者に敬意を表する。そして慎重に進んでいた時に池・・泉か?を発見する。
水がエメラルドグリーンに輝いて見えるそれは凄く幻想的で神秘的に美しく、俺達は一旦ここで小休憩を取る事にした。各々が好きに寛ぎ、他愛のない話で時間を過ごしていると女性と思われる悲鳴が聞こえてきた。近くじゃなく、少し離れた場所からの悲鳴だ。まさか自衛隊じゃないだろうな?いや、あの中に女性はいなかったはずだ。俺達は身支度を整え行動に移した。
悲鳴のする方向に足早に移動していると横並びになる美晴。
「宗ちゃん、これって・・・」
「あぁ俺も例のブログを思い出した。”神隠し”だろ?」
本当に襲われているのか神隠しなのか分からない状態では行くしかあるまいて。




