第44話
「美晴!」
嬉々として獲物を振り回しコボルト達を撲殺していた美晴の腕を掴み静止させた。
「宗ちゃん、どうしたの?」
いや、貴方気持良くなりすぎです。
「もういいだろ?」
仲間を呼ぶスキルを良い事に、次々と湧いてくるコボルトを撲殺していると第三者に狂戦士だと思われますよ。
「は~い」
残っていたコボルトを文字通り瞬殺した美晴は、ゆっくりと戻ってきた。
しかし獅子奮迅のような暴れっぷりだったよな。
「ママ怖かったわよ」
「そうね、嬉々としてる所なんか特に」
「だって、コボルトって目つき悪いし短足だしで不細工じゃない?私だって可愛い子犬ならこんな事しないわよ?」
あーやっぱりそこだよな。美晴の基準は可愛いは正義で不細工は悪だったな。
「あーやっぱりママね」
「よね。確かにママだわ」
三人で苦笑いと言うか、乾いた笑いが零れた。
かなりのコボルトを倒したお陰か、ドロップ品を発見した。数は一つだけだが近づき確認してみると、今回は流石に指輪ではなく爪がドロップしたようだった。
「それ千円だから」
まだ何も言ってませんが?
「顔に書いてるわよ?」
へのへのもへじじゃあるまいし、顔に字が書いてる訳がないだろ。・・・・・書いてないよな?
とそこで、此方に向かって来る人間がが現れた。あれは・・
俺はそっと指輪を外し、さりげなくポケットにしまった。それを見ていた彼女達も指輪を外していく。
「こんにちは」
「こんにちは、私たちに何か用でも?」
自衛隊だ。
会いたくない自衛隊と御対面した俺達は警戒心バリバリだった。彼らの上辺だけと思われる会話に”へ~、はい、いいえ、そうなんですか、良く分かりませんね、私達初心者なので”と上辺だけの返事をしておいた。明らかにこちらの素性を見計るような目線で良い気分がしない。特に最後尾で腕を組んで右手で顎を触っている男の目が一番嫌いだ。絶対あいつが鑑定のスキルを持っている奴だろ。
「パパ早く行こ」
「そうだな、それじゃ私達は探索に戻ります。お互い探索を楽しみましょう、では失礼します」
ナイス詩織。なるべく穏便に、なるべく怪しまれずに対応していた俺に、手を頭の後ろに当て欠伸をしながら興味なさそうな態度をとっていた詩織が助け舟を出してくれた。
「あ、気が利かなくてすみません。ご家族での探索の所お邪魔して申し訳ない。ではお互い良い探索ライフを。失礼します」
そう言って別れたあと美晴が何か言いたそうではあったが、美晴の手を握り足早に十階層の階段目指し進んで行った。
なにが『良い探索ライフを』だよ。魂胆見え見えだぞ?お前らが向かったその先は、呼応するコボルトが現れなかった方向だ。絶対行き止まりだからな。




