第37話
嫌な事は良く当たると言う。
俺は口に人差し指を当て彼女達に静かにここを立ち去る事を伝えた。
「静かに出るぞ」
彼女達も理解したのか、頷き廃墟を後にしていく。
そして廃墟群の入口に到達した時にそれは起こった。
グゥォォォォォォッ!!!!!
身体の芯にまで響く雄たけびが、身体をビリビリと震わせる。
嫌な予感が確信に変わった瞬間だった。
「宗ちゃん、何か来たわよ」
「パパ!敵よ!魔物が来たわ!」
何十体いるんだ?って位のゴブリンと餓鬼が現れたのだが、まだ本丸の雄たけびの主がいない。
???『私が出るまでもない!』とでも思ってるのか?知性があるのか知らんけど。
兎に角好都合だ。
「彩乃と詩織!ペアで各個撃破!」
彩乃と詩織には二人一組での指示を出し、俺は美晴を後方に下がらせヘイト集めだ。
俺は彩乃と詩織の距離を意識しつつ、敵のヘイトを集めながら魔物をいなしていき(相手をよろめかせる。攻撃を軽く躱す)後方で待機していた美晴が仕留めていく。
一方の彩乃と詩織は、詩織がシールドやスタンガンで敵を無力化した所を、彩乃の振り切った金属バットの餌食となり無に帰していった。
戦闘を始めて数十分、一向に減らないと思っていた魔物も残り僅かとなり漸くゴールが見えてきた時、先程の雄たけびの主だろう魔物が姿を現した。デカいなこいつ・・
二メートルは有りそうなその巨体を揺らしながら姿を現したそいつは・・
「この階層でホブゴブリンなの!?」
彩乃がびっくりしているのを見ると、ホブゴブリンとやらはこの階層で現れる予定にないのだろう。何故ここにいるのかは分からないが、多分イレギュラー的な存在なのかもな。
残る敵は俺の目の前のホブゴブリン一体に彩乃達の周りに三体のゴブリンに餓鬼が二体。
俺がホブゴブリン相手に時間稼ぎしてる間に彩乃達が応援に駆け付けてくれる事を祈って、もうひと踏ん張り気合を入れていくか。
「彩乃、詩織!右手の奴等を頼む!」
「分かったわ。こっちをさっさと終わらせて、直ぐにそっちに向かうわ」
「美晴は後方支援!」
「宗ちゃん、了~解」
改めてホブゴブリンの前に立つとマジでデカいな。腕は太腿のように太いし、首回りなんてもうレスラー超えてるじゃんかよ。
まずはヘイト稼ぎの為に攻撃をしてみるが、効いてる感じがしない。
そして何度目かの攻防で俺が後ろに回り込んで攻撃しょうとした所にホブゴブリンの裏拳がとんできた。
やべぇっ
とっさにシールドでガードはしたものの威力がデカく、軽く後ずさる。ふぅ今のは焦った。相手の動きが遅いからと油断してたわ。
「パパ、お待たせ」
おぉ、もう終わらせたみたいで彩乃と詩織が合流してきた。
「お前達早かったな」
時間にして五分も経ってないぞ?
「だって弱いじゃん、アイツ等」
笑って答える詩織に、こんな男勝りで結婚できるのかな?と心配になり苦笑いになる俺。
「じゃぁ詩織は前衛。彩乃は後ろな」
彼女達に指示を出し、戦闘を再開した。




