第36話
「次の階層に降りてみる?」
当初は六階層を目指しての探索予定であったものの、思っていたよりもサクサク進みすぎてしまったので、次の目標は十階層にしようと思う。特に彼女達のポテンシャルが高く、現在の低階層では物足りないといった感じがしていたからだ。
俺の提案に大きく頷く彼女達。
「ちょうどこの階層に飽きてきたのよね。ゴブリンや餓鬼相手だと物足りないし」
確かに彩乃の攻撃は一撃一撃に重みが有り、ゴブリン達を一撃で倒しているからな。
たのむから俺に攻撃を当てないでくれよ?
六階層の洞穴の後ろからから七階層までは一直線に伸びる道があり、迷う事はない。道と言っても、下草が短い草原の中に草が生えていないただの土道だ。俺達は道中でのエンカウントも無く、七階層目指し歩を進めていった。
そして土道を十分程歩いた先に七階層の入口を発見。入口は六階層と同じ洞穴が建っている物だった。
「さてと、行きますかね」
俺を先頭に階段を降りていく。
そして降りた先は、六階層と似た草原だった。
しかし一つだけ違うところがある。
それは夕方の様に空がオレンジ色になっている事。俺は腕時計を確認する。まだ十一時だ。
さすが不思議空間のダンジョン様だな。何でもありだ。
しかし一つだけ残念なのは、夕日が無い。
そして夕日をバックに草原だと映えるのになぁと、一人思案いてた所を彩乃に怒られてしまう。
「パパ早く進んでよ」
どうやら出口を塞いでいたようだ。すまんな。
直ぐに出口から離れ周囲を確認してみると、四方に草原が広がり左の奥に森が見える。
空の色以外は六階層とあまり変わらないように感じる。手抜きじゃね?これ。
まぁいい、とにかく手抜き階層の探索でも始めましょうかね。
俺達が森の中を進んでいた時、根が太くむき出しになった枯れた巨木を見つけ、そしてその巨木の根の中に洞を発見した俺達は洞の中を探索する事にした。
洞の探索開始直後は外からの光でなんとか進める程度ではあったが、十数メートルも進むと暗くて見えなくなっていった。そして持ち込んでいたヘッドライトを点灯させ奥へ奥へと向かって進んでいくと、広い空間へと辿り着き俺達はその光景に驚愕する。
「なんだ・・これ」
「うそ・・ここ廃墟なの?」
「わおっ凄い。お宝発見?」
廃村であろうこの廃墟は、地上にあった巨木の根に絡まれていて無残な姿となってはいるが、以前は立派な集落であった事を伺える。
「外側は立派なのに、中は何も無いわね」
何軒かの廃墟の中を探索してみたが、中には家具や生活雑貨等が何も無い状態だった。
まぁダンジョンに住人がいるはずはないよな。じゃぁ何の為に廃墟が存在している?ダンジョンのオブジェクト?・・・まさか魔物の・・いや、そんな事・・ない・・よな?




