第32話
ダンジョン協会事務所に到着し、辺りを見渡すとチラホラと・・・五人程の人がいた。
今日は自衛隊はいないな。あの日から見かけていないので俺へのターゲットが切れたようだし、今日は安心して潜れそうだ。あとは他の探索者に気を付けていれば問題ないだろう。
受付を済まし、ダンジョンへ歩を進める。
きょうは六階層目指して進もうと思っているので、五階層までは最短で向かう。
そして五階層に到着後、程々に戦闘をこなし肩慣らしをしながら六階層を目指し進んでいくと漸く階段が見えてきた。
「さぁいよいよだな。ここからは注意しながら進むぞ」
皆も六階層が初めてなのか、緊張した面持ちで頷いた。
六階層への階段を抜けた先に待っていたのは、草原だった。
これは予め彩乃が調べていた通りであったが、ダンジョン内に草原があり青空が広がっていると、別の場所に来ているのかと錯覚を起こしそうである。
「凄いな・・聞いた話と見るとでは・・・」
眼前には四方に広がる草原に、その左奥には木々が生い茂る森まで見える。
そして、背中には降りてきた階段がある・・が、どうなってる?
洞穴の中に階段ががあり、裏側に回り込んでみるが草原の中にポツンと洞穴建ってる?だけだ。
ま、不思議空間って事で思考を諦めよう。
洞窟が見える範囲で歩を進めていると、ちょっとまずい事が分かる。
それは太陽と道標が無いので、こりゃ道に迷うだろうと。もし森の中にでも入ってしまったら抜け出すのは少し困難になりそうだ。慣れない内は階段付近から離れない方が良いかもな。
と、そうこうしていると森の方から何かの影が見えてきた。
いたな・・ゴブリン!
昨晩、彩乃に教えてもらった通りの薄緑色をしたゴブリン。まだここから距離があるので分からないが、体長はそこまで大きく見えない。
「いたぞ・・ゴブリンだ」
数は一匹。彩乃曰く、ゴブリンはそれ程強くないとの事。・・さあ、行くか。
「いくぞ、俺が先に行くから後ろからフォローしてくれ」
そう言って俺は歩を進めた。
現在の俺の装備は右手に少し小柄なスコップ。そして左手にはポリカーボネート製の小型シールド。このポリカーボネート製ってのは耐衝撃性に優れ、耐熱もあるらしいので採用した。
そして俺は相手からの攻撃を受けた事もない初心者だ。戦闘経験が明らかに足りていないので、ここはしっかりと戦闘を学ぶ事にした。
『ガンガン』
俺は小型シールドを叩いてゴブリンの注意をひく。
すると、ゴブリンは音に反応しこちらに顔を向けると俺達に気づいたようだった。
さぁ戦闘開始だ!




