第30話
「宗ちゃん。自衛隊の人達って何処まで潜れるの?」
団欒部屋から出た俺達は来た道を戻っている。その途中で美晴からの質問がこれだ。
俺も詳しくないんだよな。
一応、銃を持っているのだからそこそこは潜って欲しいものだが、どうだろう?十階層は行けるんじゃね?知らんけど。
「どうだろうな。戦時下なら日本の自衛隊は強いと聞いた事はあるが、ダンジョンとなると・・分からないな」
他国からの評価は高いと聞いた事がある。錬度の違いでの評価らしいが、見たこと無いから俺は知らん。
他の探索者もそうだが、先々で出会ったなら見学してみるのもありかもな。
そんな自衛隊は二階層の大量のスライムに道を阻まれていた。
「俵さん!こっちで合ってるんですか!」
スライムを叩き切りながら俵と呼ばれる男に叫んだ。
「分からん!二階層の階段方面に行ったと報告があったから、こっちで合ってるんじゃないか!?」
俵と呼ばれた男も目の前にいるスライムを叩き切りながら叫びかえす。
「あーくそっ!なんなんだよ、この大量のスライム!あーしょうがねぇ!稲葉ぁ!スキルの使用を許可する!」
「分かりました!」
俵からの指示に従って、稲葉と呼ばれた男が銃を構えた。
「火炎壁!」
稲葉と呼ばれた男が構えた銃から、拳大の大きさの炎の塊が現れスライム目掛けて飛び出した。
着弾した炎の塊はスライムに当たりその周辺まで燃えだし、その周辺にいたスライムにも炎が移り、辺り一面炎の壁が出来上がる。
「稲葉、まだ銃を構えて撃ってるのか?ファンタジーらしく手から出せよ手から」
アニメや漫画にある、片手を前に出し魔法を放てと言われた稲葉と呼ばれた男は溜息を吐く。
「銃だと落ちついて狙って撃てるんですよ」
『まぁ確かにそれは一理あるな』と呟いたあと、ビシッと音がなるのでは?と思わせる程の勢いで稲葉と呼ばれた男を指差した。
「だがしかーし!銃を持っていない場合はどーする!」
妙なテンションで指摘された稲葉と呼ばれた男は苦笑いを浮かべる。
「今からでも遅くない。手の平からでも指先からでも何でもいい、帰ったら練習しておけ」
ニカッと笑った俵の目を見ながら『さっきのテンションは何ですか?』とも聞けずに、上司の命令は絶対なので、俵の意見に『分かりました』と一言同意し、次のスライムに目を向けた。
そして、粗方片付いた所で俵と呼ばれた男は、撤退の号令をかけた。
「よーし撤収するぞ~。ドロップの回収、忘れるなよ~」
各隊員達はドロップ品の有無を確認して歩く。・・が、そうそうドロップ品が見つかる訳もなく、自衛隊員達はダンジョンを後にした。




