第14話
「ただいま」
いつも通りに妻が出迎えてくれるはずだ。
「あっ宗ちゃんおかえり~」
癒されるなぁ。こんなに可愛い妻に毎日出迎えてもらえるのだから。
パタパタとスリッパの音をさせやってくる妻に、今週末から本格的にダンジョンに潜る事を伝えた。
俺をそんな気持ちにさせたのは、スキルリングを二個も手に入れたのが大きい。たぶん他の探索者よりも優位性があるはずだ。稀にドロップすると言われているスキルリングを立て続けに取得出来たのは運命を感じる。これなら余程の無茶をしない限り、大丈夫だろう。
「少し、スキルの確認に行ってくる」
「じゃ、私も行く」
美晴も行くと言い出した。
断る理由もないが、スキルの検証だけだし、荷物持ちとしてと、一緒に立ち会うのも有りかなとも思う。
今回の検証はスキル『一家団欒』の仕様や滞在時の時間経過。もし、異世界小説等で有名なアイテムボックス的な使用が出来たら有用性が高い。
そんな期待を胸に車に乗り込み出発した。
「まだ警察がいるんだな」
仕事帰りに見たパトカーがまだいる。
たぶん例の件だと思うが、冷たいと思われようが俺には関係ない。それに自己責任にサインしたのだから国にも責任はない。覚悟を持って慎重にダンジョンに取り組めばリスクは低減できる。自分の実力を過信してしまわないようにしよう。
受付のお姉さんの横を通りすぎる際にカードを機械に通して、俺達はダンジョンへの階段を降っていった。そこそこの量の荷物を持って。
「もう少し進もうか。ここじゃ誰かに見られる可能性がある。なるべく目立たない場所で検証しよう」
俺達は二階層へと続く階段の先に来ている。
ここなら誰かに見られる心配は少ないと思う。
そもそも過疎化しているのだから、そこまで心配はないのだけれども。
「ここでやろっか。スキル使うから離れてて」
昨日と同様にスキルを発動させると扉が出現する。『どこでもドア~』と唱えたい気分だ。
「宗ちゃん。どこでもドア~なんて言ってないよね?」
ウグッ・・痛いところをついてくるな。アナタハワタシノココロガヨメルノデスカ?
「ふ~ん。この扉の中に部屋があるの?」
感動が薄いな。もうちっと感動してもヨカバッテンよ?
「それじゃ、お邪魔しま~す」
「あぁ~重かった~。やっと荷物降ろせるよ~」
なんとなく分かったきがする。
美晴の感動が薄く、喜びもワクワク感も薄かった理由が。
荷物ガ重スギタノデスネ。ゴメンナサイ
「あぁ~やっぱり肩に跡がついてる~」
肩をさすりながら、俺を見る。
分かってます分かってます。
そんな目で俺を見ないで。
「いや、ゴメン。美晴が一緒に来るって言うから・・・ゴニョゴニョゴニョ・・・」
「私は荷物持ちじゃありませ~ん」
バレてますね。だって一度で済むならお願いしたいじゃないか。
機嫌治して!お願い!
帰りにコンビニでケーキ買うから!
「帰りのコンビニで、ケーキを買ってくれるなら許してあげる」
アナタハワタシノココロガヨメルノデスネ?
ソレハ、ナンテイウマホウデスカ?




