第13話
「その現象が起きる時は・・・人が亡くなった可能性が高いわ。私も詳しくは知らないけど、ダンジョンが出来た頃、ダンジョンの入口で波打つ現象が世界中で確認されているの。そして数週間後、その現象は人が亡くなったからじゃないかって噂されたわ。これはテレビで取り上げられてかなり話題になったのよ?パパ覚えてない?」
そんなの覚えてる訳ないだろ。一週間前の行動でさえあやふやなのに。
「そうか・・頭の片隅にでも記憶していたから、気持ち悪くなったのかも知れんな」
「ただいまぁ。彩乃~お土産よ~」
「は~い」
妻の美晴が帰ってきたみたいだ。
お土産がスイーツならいただこうかな。と言うか次女の紫織がスイーツ大好きっ子なのは俺に似たのかも。だって俺は大の甘党だからな。
「宗ちゃんただいま。ケーキ買ってきたわよ」
「ありがとう。それじゃ早速頂戴しますか」
彩乃が台所に向かって行き、飲み物の準備をする。
その間に晴海がコート脱ぎラフな格好になり、俺はケーキの準備をする。
皆、テキパキと行動を起こすのだった。
「「「美味しい~」」」
ケーキを堪能しつつ、今日の成果を晴海に話した。
「今日さ、またスキルリングがドロップしたよ。苺美味いな」
「だったら、もっとケーキ買ってくれば良かった。このクリーム美味しいわ」
「喋るか食べるかどっちかにしたら?ママこれも貰うね」
「行ってきま~す」
冬の寒空をバイクに股がり軽快に走って行く。
今日から仕事だ。休みの間はダンジョンに潜ってばっかりだったので疲れは取れていない。しかし、ドロップ品を取得出来たので心は軽く、もう週末が楽しみになってしまっている。まるで子供に戻ったようだ。
「お疲れ様でした」
本日も定時で退社する。
日勤業務は基本的に残業をしないようになっており、時間内に仕事を終わらせなければならない。
その為には、納期の早い物を優先に終わらせていくように心掛ければなんとかやっていける。
帰り道の途中にあるダンジョン協会事務所。
いつものようにダンジョン協会事務所の横を通りすぎる際に、チラリと見てみるとパトカーが止まっていた。
昨日の件だろう。
大丈夫だったら良いのだが。
と思いながらも、『自己責任』のサインをしたのだから仕方がない。ダンジョンは甘くないのだと自分に言い聞かせバイクを走らせた。




