第12話
「彩乃!見て驚け!」
と言ってテーブルの上に、どや顔で探索者カードを置いた。
「私も持ってるよ」
な、なぬ?
驚かない上に持ってるって?
アナタ、コソダテデイソガシインジャ・・
「子育てしながらでも探索者カード取りに行けるし。てゆうかママから聞いたよ。ドロップアイテムで一儲け作戦」
いや、それは俺の作戦じ・・・
「もう。いい歳して探索者?中二病を患う歳じゃないでしょ?ホント呆れるわ」
うるせいやい。まだ患ってねぇし。
「で、どうした?今日は何しに来たんだ?ママはランチでいないぞ?」
「何しにって・・来ちゃいけない訳?可愛い孫も一緒なんだから喜んでよね。まったく・・」
「ママはもうすぐしたら帰ってくるんだってさ」
時計を見たら二時すぎだ。
「で、紫織は何処に行った?」
紫織は次女で鉄砲玉だ。
『行ってきま~す』と言ったっきりなかなか帰って来ない。
泊まりかどうかは分からないが、週末になるといつも何処かに出掛けたっきり帰って来ない。ま、ウチは放任主義だから仕方ないか。
「紫織は友達と一緒じゃない?この間美味しいスイーツのお店見つけたって言ってたから」
そう。紫織はスイーツ大好きっ子だ。
隣の県にまで行って食べ歩きする位スイーツが大好きなのだ。
「そっか。ならいいや」
人様に迷惑かけなきゃいい。
「それよりもパパ。本当に探索者するつもりなの?
リスクが割りに合わないって話しらしいじゃん」
俺は指に嵌めていた指輪をそっとテーブルの上に置き、昨日今日の話しをした。
「それって凄い事じゃないの?その二つを売るだけでも数百万にはなりそうじゃない」
『まぁな』と呟き、俺は再び指輪を指に嵌めた。
「しかしこの指輪は売らないぞ。もしもこの指輪が特殊な物だったら二度と手に入らない可能性がある。
もしこれで副業として成り立つのなら良いじゃないか。他の探索者とのアドバンテージで先に進め、より良いものが手に入るかも知れないたろ?」
「呆れた。前提にリスク有っての話しでしょ?そのリスクが生存のリスク。そんな事も分からない歳でもないでしょうに。」
そこで俺は再び今日あった話をした。
スキルの指輪の可能性についてと、一階層の安全性や二階層のスライムの対処法(逃げる)を説明した。
「そう言えばダンジョンから出る時にダンジョンの壁が波うった感じがしたんだが知らないか?」
家に帰って来ても、思い出しただけで身震いする。
本当にあれは何だったのだろうか。
「パパ、見たの?間違いない?」
彩乃が真剣な顔つきで俺を問い詰めてきた。
何か不味いことなのか?
俺は直立不動のまま聞くことになった。




