第11話
とりあえずスコップで叩き斬ってみよう。
「フンッ」
手応えは少しあった程度。
しかしスライムに切れた跡はない。
次は突いてみるが、斬った時と同じで突いた後すら残っていない。
最後は叩きつけ。
『バシッ』と音はいいが、グニャリとゼリー状特有の軟体のせいで効果が有るとは思えなかった。
「う~む・・」
やっぱり無理そうだった。
実力云々ではなく、耐性が高すぎてこちらの攻撃が一切通らない。何処のラスボスなんだよ。
改めてスライムに攻撃が通らない事は分かった。間違いなく逃げの一択だな。
スライムとはお別れをし、二階層から一階層への階段を登り出口へ向かって歩を進めていると話し声が聞こえてきた。
「ここの魔物なんて楽勝だろ。ワンパン、ワンパン。次のスライムもワンパンで片付けてやるよ」
「キャハハハ。晋也が強すぎなんじゃな~い」
前方から、若い男女の二人が大きな声で喋りながら此方に向かってきていた。
なんだろう?凄い自信だな。キラーマウスはともかく、スライムもワンパンと言う事は高ランクの探索者なのかも知れない。
そんな若者の横を通りすぎる際に俺は会釈してすれ違い、向こうは俺に気づいていないのか無視してスタスタ歩き去って行った。
一応は他の探索者もいるのだな。
昨日は誰とも会わなかったから過疎ダンジョンだと思っていた。まぁこんな田舎じゃ過疎るのはしょうがない。
一階層から出口までの間をキラーマウスを狩りながら歩を進め出口のある広場へと到着した。
出口への階段を少し登った所で、一瞬・・一瞬だが階段の壁が波うった気がした。
ダンジョンって生きてる・・のか?
『ブルッ』
怖くなった俺は急いで階段を駆け上がっていった。
「お疲れ様でした。武田さん」
ゲートを潜った先にいる受付の女性に軽く会釈をし、機械にカード読み取らせた俺は足早にダンジョン協会の建物を出ていった。
先程の波うった壁が気持ち悪く感じ、記憶から離れない。
あのままダンジョンの中にいたら俺はどうなっていたのだろう。ダンジョンに飲み込まれたりするのだろうか。
俺は素早く車に乗り込み自宅へと帰路した。
「ただいま」
「あっ!パパおかえりぃ」
帰宅後リビングの扉を開けると長女が出迎えてくれた。
長女の彩乃は結婚して家を出て、娘を出産している。今日は遊びにでも来たのだろう。
「おっ彩乃帰ってたのか」
って事は孫も一緒だろう。
「じぃじおかえり」
「あぁただいま優乃。大きくなったな。何歳になったのかな?」
「えっとね・・六歳」
「そっか。じゃぁ来年は小学一年生になるんだな」
跳びはねながらクルクルと回る優乃。元気で可愛い子だ。




