07話 天使
天国からの派遣社員って・・・。
この世界にもそんな制度あるのか。
「エンマ様、その制度って慣習的にあるものなんですか?例えば、毎年決まった時期に何名か派遣で地獄にくるとか。」
「いや、そもそも今回の派遣は極めて異例なものでの、天国でも極めて優秀な人材にさらなる見識を広げさせる為、そして天国と地獄の親睦を深めることが目的だったのだ。」
「たしか名前はルシ・・・、ん、ルス?」
エンマは首を傾げながら名前を思い出そうとしていた。
(緊急事態なのにマイペースだな、エンマ様・・・!)
「ルシファーですよ、エンマ様!もう、このお尋ね者天使のせいで私まで休日出勤で調査中なんですから・・。」
(休日出勤かー。俺もあったな、気持ちはわかるぜ、嫌だよな休日出勤・・・。)
「すまぬ、ルシファーの件もあるが、いま地獄では厄介な問題が立て込んでおってな、まぁこいつの問題ならお主ら2人でも解決できるとは思っているんだがな。」
(なぜだろうか、この人の言葉には力強さがある。いまとんでもないことを命じられてる気がするが、エンマ様に言われるとできないと思っていることもできるような、なぜか勇気が湧いてくる・・・。)
「ことの経緯を説明すると、天国には天界と呼ばれる場所がある。そこでは天使たちが暮らしておるのだが、このルシファーという天使はその中でもかなり優秀な人材での、神が自ら推薦し地獄への派遣を決定させたのだ。」
「ルシファーは人懐っこい性格での、すぐに地獄での仕事にも慣れ、周りには彼女を慕う人々が自然と集まるようになっていった。
我らも気を許しすぎたせいか、最下層の武器庫、そして名刀極楽蝶の話をしてしまっての・・・。」
「仕方ないですよ、エンマ様。ルシファーは本当に人間的にも素晴らしい人物でしたからね、彼女がそんな裏切り行為をするとは夢にも思いませんでしたし。なんせこの私も認めた人物でしたからね!」
(ちょっと上から目線だな、ツナさん・・・。)
「でもエンマ様、たとえルシファーに武器庫の話をしていたとしても最下層に繋がるエレベーターは職員用ですし、エレベーターを動かすには結構な鬼力が必要なんですよね?」
「うむ、さすがに地獄の最下層にまで繋がるエレベーターには乗せておらんよ。使用許可も出していない。我らもルシファーがそこには到達できないことを前提に話をしておるからの。」
「で、ではルシファーはどうやって最下層の武器庫まで辿り着いたのですか?」
ハジメは動揺と恐怖心を感じつつも疑問をぶつけた。
「――文字通り下っていったんですよ、一層ずつね。」
ツナが静かに、冷静に答えた。
「地獄には全十層のエリアがあるんです。そして各エリアには『十王』と呼ばれるエリアを管轄している者たちがいるんですけどね。この人達もまあデタラメな強さで・・・。
ルシファー、あいつは第一層から第十層の王を皆殺しにして、力ずくで武器を奪っていったんですよ。
私もあいつが、あんなにヤベェ奴だとは思いませんでしたよ。」
「私は名刀極楽蝶を手にしたあいつと戦ったんですがね、人が変わったように攻撃的な性格になっていてあいつを止めることもできませんでした・・・。まったく、あいつとは仲良くやれると思ってたんすけどね・・。」
ツナは仲間を殺された怒りと、ルシファーに対するやるせない気持ちで少し震えているようにも見えた。
「そして、ルシファーは武器庫から小型転送装置ライデン(充電器付)を奪い現世に渡る・・・。
そして、現世では何故かハジメンが最初の犠牲者になる・・・って感じすね。」
(俺、現世での犠牲者第一号だったのかよ・・・。)
「まあ、おまかせ下さい、エンマ様!本来なら私一人でも十分なのですが、ハジメンと2人であの反逆の天使ルシファーの討伐、そして名刀極楽蝶を華麗に回収してみせます!!」
ツナはなんだか無理やりテンションを上げているかのようにも思えた。
「フ、頼んだぞ鬼丸。さて、ハジメはどうする?突然こんな意味がわからない指令を出され困惑していると思うが、お主にも受けるメリットはあるぞ。」
(うーむ、これはなかなかに苦難だな・・・!死んでも楽になるって訳でもなさそうだぜ。)
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