05話 善行
――とんだ恥をかいたぜ。心に痛恨の一撃って感じだったな。
ハジメの心情とは関係なく、引き続き文字が何もない空間から上から下へと流れている。
(っとまだ続くのか)
ハジメは目で文字を追うことに疲れてきていた。
ハジメの横にいるツナはふわぁ・・っとあくびをしていた。
(いや、もう飽きたのかよ!多少俺に興味をもってくれても!)
やれやれ、とエンマは何もない空間から、銀のたらいをツナの頭上に落とした。
「ったたた・・!」とツナは両手で頭を押さえ、涙目になっていた。
(なにやってんだ、こいつは・・・。ん、新しく文字が流れなくなってきたな。そろそろ終わりか?)
―――以上集計データ 完了
<総合評価Gランク>
地獄・第一層への送還が決定しました。
担当者の指示に従い、速やかに移動しましょう。
「えっと、総合評価Gランクって・・・。現世での俺の行いが相当悪かったってことですよね、たしかに眼の怪我でボクシングを引退してからは、無気力で、もうこれで人生が終わってもいいって何度も思ったりもしました。・・・けど自ら命を捨てようとしたり、犯罪に手を染めることもしてないっすよ。」
ハジメは自分の人生を振り返りながら、地獄に落ちるような要因を考えていた。
「ふむ、言いたいことはわかる。先程のお前のデータはこの本にすべて詰まっている。勿論私もすべてのお前に関する情報が頭の中にある。本来私の頭の中には、ここに来た者のデータがすべて入っているからこの本を見るまでもないんだがな。」
「25,400回――この数字が何を示すかわかるか?」
エンマはハジメに問いかけた。
「はい、先程のデータで確認しましたけど、それは俺が人助けをした回数と出ていました。俺には何のことかわかりませんが・・・あれですかね?落ちている財布を届けたりとか、脱走した友達のペットの文鳥を見つけてきてあげたとかですかね?」
(後者のは何気にすごいな・・・。)
ツナはツッコミを入れたかったが、空気を読んで我慢した。
「そうだな、ここでいう人助けとはいわゆる善行。直接的には助けてあげた訳ではなくても、間接的に人助けに繋がっていたというのも含まれる。例えばお前のボクシングの試合を見て感動したとか、勇気をもらえたとかも該当するな。」
「この25,400回という数字はおおまかに34年間、毎日一日二善は善行をしたということになる。
ちなみに、ここのルールでは総合ランクAランク~Fランクは天国行きだが、Gランク以下は地獄行きとなっている。
生前、犯罪にも手を染めず、徳を積んでいる人間がGランクというのは基本的にはありえない。
データ上でもBランクになっていてもおかしくはない。」
「エンマ様、それってつまり・・・?」
ハジメは思考がうまく追いついていなかった。
「――お前は本来ここに来るべき人間ではない」
つまりどういうことだってばよ・・・!
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