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04話 エンマと鬼丸

あぁもし神様がいるのならば、今度は転生して異世界でのんびりスローライフを送りたいです。


ハジメは混濁する意識の中ひたすらにそれだけを願っていた。


これが[死]か・・・。その先に何かあるのかな?

何も無い真っ暗な世界だったら嫌だな・・・。



・・・・・・どれくらいの時間が経ったのだろう。

何日、何年?もうわからないや・・・。


「ようこそ、ーーへ!」

誰かの声・・・聞こえない。え、何だろう?


「もしーもーし。聞こえますか?ようこそじ・ご・くへ!」


「じ、ごく??じ、地獄ぅぅぅ!?」

ガバァ!っとハジメは起き上がった。どうやら横たわっていたようだ。


「あ、やっと目覚めましたか、阪巻一(さかまきはじめ)さん」


「君は?・・・というかここが死後の世界?なのか?いつの間にか失明した右眼も見えるようになってるし、刺されたはずの傷も癒えてる」

「は、ははは!!戻った!戻ったぜ視力が!!」

ハジメは右眼が見える喜びと、死後の世界が存在するという体験で我を忘れて興奮していた。


「そりゃあ目も見えるようになりますよ。だって元の身体をベースに新しくエンマ様が作り直したのですから。」

「あ!申し遅れました、わたくし鬼丸ツナ(おにまるつな)と申します。エンマ様の補佐役を務めさせてもらってます。」


「あ、ご丁寧にどうも阪巻一です。よろしくお願いします。(黒髪ショートの超絶美少女じゃねーか・・・。死後一発目からこんな子と知り合えるなんてツイてるかも。いや、待て待て頭の中を冷静に整理しろ、俺は刀が刺さって死んだ→目覚めたら地獄へようこそ→身体が全快していた→身体はエンマ様が作り直した→つまり・・・。地獄に落ちたってこと!?」


「ようやく理解したか」

カツカツと足音を立て、重厚感のある漆黒の玉座にどかっと座りハジメ達を見下ろした。

「我はエンマ、この地獄を統べるものである。先程鬼丸が話したとおりお前の身体は私が文字通り作り直した。この世界ではすべての魂は私の支配下にある。」


・・・宝石のような綺麗な金髪、燃えるような紅の眼、黄金比率のような整った顔立ち。

モデル顔負けのスタイルだな・・・。俺が女性モデルだったら自信なくして即引退するレベルだわ。

てか俺の中の閻魔様は巨大な屈強な大男のイメージだったんだが・・・。


「きゃーエンマ様っ!!今日も素敵です。はぁはぁ同じ空間にいられるだけで私は幸せですぅぅ!」

エンマの側近のツナが狂喜乱舞している。

なんで男の俺より興奮してんだよ・・・。


「全く、お前は今日も元気だな。その調子で仕事もしてくれよ。さて鬼丸、例のものを―」

「は!了解しました。エンマ様!」

一瞬でハジメの側にいたツナが、階段を超え玉座のエンマまで辞典のような分厚い本を届けた。

「ご苦労さま。」

エンマは本を受け取り読み始めたかと思ったらバーっと一瞬で最後のページまで到達していた。


「ふむふむ。さて、阪巻一くん。いくつか質問するけどいいかな?」

エンマは優しく問いかけた。


(うっ何だこのプレッシャー・・・!)

数々の世界ランカーとボクシングで死闘と呼ばれる試合をしてきたハジメであったが、そんな比ではない・・・。この人の覇気というか、オーラは立っているだけでやっとだ。

耐えろ、雰囲気に飲まれるな・・・。


「ちなみにハジメさん、エンマ様の前では嘘はつけませんよ。嘘をつこうにもその言葉は無効化されちゃうんです。気楽に答えればいいんですよ♪」

ツナは緊張しているであろうハジメに声をかけた。


たしかにこの人の前では下手な小細工はしない方がよさそうだ。落ち着いて、呼吸を整えろ。


「わかりました、エンマ様。質問とは?」


「うむ、まずはこれを見てもらいたい。」

エンマがパチンと指を鳴らすと、ハジメの目の前にデジタル空間のような文字が上から下に流れ始めた。まるで映画のエンドロールのようだ。

ハジメはその文字を眼で追う。


「えっと、なになに総活動時間12,623日、年数34年+204日・・・。」


これって、あぁそうか俺の今まで生きてきた年数か。

スクロールは続く・・・。総睡眠時間、総食事時間、総トレーニング時間・・・。

(いろいろあるんだな、死んだらゲームのリザルト画面みたいにいままでのデータが見れるっていうのはなんか嬉しいかもな。なんか生きてきた証みたいなものだし・・・。)


・・・総自慰行為時間、総性行為時・・・。

「ちょ!これはやめて、総性行為時間0時間て未経験てバレルから!!!」


「何を恥ずかしがっておるのだ、お主はもう死んでいるのだぞ、童貞のまま死んだ人間も山程いたというのに。新品未使用でゲームオーバーがそんなに嫌か?逆に誇らしく思えよ、信念を貫き通したって」

「そ、そうですよ!不特定多数の人と遊んでいるチャラ男とかよりはマシですよ、自信を持って下さい!」ツナは恥ずかしそうにフォローした。


(うぅ、慰めが逆につらいぜ・・・。)


死後の世界を想像するのは恐怖心がありますが、こんな世界だったらいいなぁとか考えてます。


<お読み頂き本当にありがとうございます!!>


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