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緑のモンスター



……は?ゴブリンじゃなくない?似てるけど違う!


「後ろ、ゴブリンじゃない!もっと上位種だよ!」


 私は走るのをやめて、息を切らしながら叫ぶ。


「お姉ちゃん!このままじゃ追いつかれる!私が引きつけるから、先逃げて!」



 このままでは逃げきれないと悟り、一か八か迎え撃つしかないと思って発した言葉だったが、姉はそれを却下した。


 「ダメ!陽奈にそんな事はさせない。私がやる!お姉ちゃんだから!」


 そう言うと素早く私の前に割り込む。


「陽奈は逃げて」


 焦りを含む低い声で姉が言う。いつに無く真剣で、妹である私でさえもその覇気に気圧されてしまいそうになる。

 

 私はゴクリと生唾を飲んで、乾いた口を開いた。


「私も一緒に戦う。お姉ちゃんを一人にしないから。」


 この世界でたった一人の肉親を戦地に取り残すなんてできない。一生悔いが残る。私一人で逃げたとしても助かる保証もないし、そんな事そもそも一切考えていなかった。私にとっての姉は、私が産まれた時からずっと心に寄り添ってくれている存在でもあり、二人目のお母さんの様な存在なのだ。

 

私は姉の横に並び出た。それとほぼ同時に、近くまで迫って来ていたモンスターが右手に携えている棍棒を振り上げてこちらに向かって雄叫びをあげだした。


『グがガァ!』


……くるっ!



 緊張で心拍数があがっている気がする。まるで、陸上競技でスタート地点に立った様な気持ちだ。いや、それよりももっとひどい。


 姉は私になんで逃げないのかと最初は言っていたが、折れてくれた。そして、少し離れて左右に陣形を取ろうと目配せすると、私より早く駆け出した。


「お姉ちゃん!」


 私も遅れて走り出し、モンスターに斬りかかった。ザシュっという音と共に、肉が切れる感触が剣を通して伝わってくる。この緑色のモンスターは硬そうに見えるが、全く刃が通らないわけではないらしい。しかし、非力な私達にとっては、せいぜい浅い傷を負わせる事しかできていないのか、全くダメージを受けているようには見えない。


……図体がデカい分小回りが効かないみたいだから、何とかあっちの攻撃は避けれてるけど……それも時間の問題か。お姉ちゃんの体力も限界になる。



 起死回生の一手がないか、頭の中で考えを巡らせる。


……モンスター、核、心臓。とてもじゃないけど、心臓に刃は通らない。相手の守備範囲に飛び込むのは自殺行為。だとしたら、柔らかそうなのは眼?

いやいや、それも無謀。じゃあ、何か……なにか。ナニか、ナニ、ナニ?股間はどうだろうか?



 そこなら剣を突き立てる事が可能じゃなかろうか?私達の背丈的にも、不可能ではない。モンスターの性別もアレが付いているから間違いなく雄だろうし、急所になるのではないか。私は急いで姉に股を重点的に狙うように言う。


「わかった」


ブシュっ


シュ


『グが、ガァーー!!』


 剣を振る音、肉が切れる音、モンスターの悲鳴が聞こえる。モンスターはあまりの痛みに悶絶しているようだ。ヨタヨタとしている。


「これならいける!」


 私は息の根を止めるために、核があるであろう心臓目掛けて剣を突き立てようと動く。


ズルッ


「へ?」


 地面のあちこちにモンスターの血液が落ちているのは知っていたが、攻撃が効いた事に気を取られ、緊張が緩んだせいで、血溜まりに足を取られてしまった。一瞬だけれど、バランスを崩した為動きが鈍る。


……ヤバい!


 そう思った時にはもう遅かった。ちょうど私に当たるタイミングで相手の棍棒が振り下ろされようとしていた。


……死にたくない!



 「陽奈ーーー!!」




私の耳に絶叫する姉の声が届いた。



シュン バンッ


次は力です。

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