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魔法


 光が一直線に飛んできた。いや、姉の名前ではない。白い光りがまるでレーザーのように飛んできて、モンスターの上半身を吹っ飛ばしたのだ。

 息絶えたモンスターの頭がゴロリと転がり、下半身もドサリとこちらに倒れてる。私はぶつからないように辛うじて避けた。


……助かったのは良かったけど、今度は何!?さっきの私絶対間抜けた顔してたよ。


「何が起きたの?」


 首を傾げて、モンスターから光りが飛んできた方向に視線を移す。


「ひ、陽奈、なんかでた」


 そこには、自分の手を食い入るように見つめている姉が突っ立っていた。


「まほう?じゃない?」


 思い当たるものはそれしかない。それ以外に手から光線が出るなんて現象は聞いた事がない。私は姉のそばに歩み寄る。すると、姉が「ほら」っと左の手の平をこちらに見せてきた。


「さっきの凄いの、どうやって出したかわかる?」


「わかんない。」


「じゃあ、さっきの次はいつ出るかわかんないって事?」


「うん」


……ん?それ危なくない?こっちに向けてるけど、私の上半身もさよならコースじゃない?


 無言でササッと姉の左手を避けるように移動する。


……ここなら発動したとしても、多分範囲外だから安心だね


 私の行動にムッとした表情になった姉が口を尖らせながら話す。


「怖がるなんて酷いよー。大丈夫なのに!」


「えーと、どのあたりが大丈夫なの?」


……発動条件わかんないって言ってたよね。



 何故そんなに自信満々なんだろうと姉に訊ねると「陽奈を傷つけることはない」と言ってきた。怪訝な顔で続きを促す。


「あの時、陽奈が危ないから助けなきゃって思ったんだよ。それで、届くはずもない距離にいるのに、その瞬間は届きそうな気もして、咄嗟に手を伸ばしていたってわけ。そしたら、ほんの一瞬だけ、体内を巡るエネルギー?みたいなものがブワッと湧き出るような感覚になって、気づいたら光線がでてた。私もよくわかってないから上手く説明出来ないんだけどね。」


私は顎に手を当てて考える。


「じゃあ、つまり、できると思って手を伸ばしたらアレが出たって事だよね」


姉がコクリと頷く。


……うーん。つまり、イメージが大事って事?


 一つだけ思い当たる事がある。姉がいつも私に言っていた「思考は現実化する」と言う言葉だ。これはナポレオン・ヒルの言葉だったと思うのだが、人の心が思い描いて、信じられる事は実現化するという意味のものだ。まさしく、これと同じ事が姉に起こったのではないだろうか。


「お姉ちゃん、【引き寄せの法則】って昔よく言ってたよね。この世界の魔法って思考が現実化したものなんじゃないかな?いや、まぁ仮説なんだけど……。私の知識じゃそれくらいしか思い浮かばないんだけど、どう思う?」


 姉が雷に打たれたようにハッとした表情で「なるほど、そう言われたらそんな気がする。」と首を縦に振る。



「なら、もう一度出来るんじゃない?さっき魔法が使えたんならイメージもしやすいだろうし。やってみて。」


「わかった。」


 私も姉の話を元に一緒にイメージする。


「ダメだー」

「私も」


先程魔法を出した姉も成功せず、その場にへたり込む。


……イメトレが足りないって事かな。まだ頭のどこかで出来ないってリミッターをかけてるのかも。



「これから毎日イメトレしよう。そしたら魔法使えるようになるかもだし。自分で限界を決めなければ、人生においての限界はないってナポレオン・ヒルも言ってたしね。」


「そうだね、陽奈ちゃん。ところで、お姉ちゃん疲れたから帰ろう?」


 疲労で甘えん坊さんモードになった姉がちゃん付で私を呼ぶ。



……そうか、魔法はエネルギーが出る感じって言ってたもんね。お姉ちゃんは魔法も使ってるから私よりも疲れてるんだ。ごめん。


「うん、帰ろう。さっきは助けてくれてありがとう。」


 色々あってすぐに言えなかった感謝の気持ちを告げる。


「ううん、それよりも、次にこんな危ない事に遭遇しても、陽奈ちゃんが囮になるような事は絶対しないって約束して。陽奈ちゃんは私の大事な妹だから。あなたはお姉ちゃんが守るから!」


 途中から自分の言葉に感極まって姉が泣き出す。その背中を摩りながら私も口を開く。


「ありがとう。心配かけてごめんなさい。でもね、お姉ちゃんも私にとって大事なんだよ。お姉ちゃんも自分を大事にしてね。次に今日みたいな事があっても、二人で気持ち力を合わせよう。そんでもって、日本に帰る方法を探して、一緒に帰ろう。」


「うん」



 それから私達は、討伐証明としてモンスターの生首を持って帰ることにした。上半身が消滅した事で、核も破壊されて無くなってしまったからである。スライムと同じで核に傷をつけるだけで体が消滅してしまうような脆いモンスターではなくて良かったと言うべきだろうか。死にかけた身としては、そんな事は言えないのだけれども、この時ばかりは良かったと思う。



姉が魔法を使いましたが、まだ完全ではありません。


訳あって、しばらく更新頻度落ちます。

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