歓迎パーティー
ここ1、2週間で全話を見直して、修正をしました。ストーリーの内容には変更はありません。
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本日これからパーティーが行われる。
あれからイザベルの懸命な説得により、パーティー名は《イザベルお嬢様の御友人歓迎パーティー》に変更となった。
僕としては名前が変わったところでイザベルが恥ずかしい思いをするのは変わらないのになぁと思ったけど、イザベルがサフィーヤさんを説得出来たという達成感を感じていたみたいなので、あえて突っ込まないようにした。
僕達は衣装に着替えてメイドさん達に綺麗に隅から隅まで整えてもらった。
僕らの姿を見たサフィーヤさんは興奮が収まらなかったみたいで一人一人に『可愛いわ。部屋に飾りたいわ!』という少し怖い発言をしていた。サフィーヤさんは本気でやりそうで怖いよ。
とりあえず、パーティー開始までまだ少し時間があったので、どれくらいの規模になるかを聞く事にした。
「サフィーヤさん、今回のパーティーはどれくらいの規模になるんですか?」
「確か招待客は千人くらいかしら」
「千人……」
イザベル再び固まる。
「冗談にきまってるでしょ。王宮だってそんなに入らないわよ。あなたの事が大好きな叔父様と私の友達の数人とあとは秘密よ」
サフィーヤさんの言葉に更に顔を青ざめていた。誰に反応したんだろうか?
「お母様、ま……まさか叔父様って……来られるとかいいませんわよね?」
叔父様? サフィーヤさんのお兄さんか弟さんって事か。なぜ、そんなに動揺するんだろう?
「その叔父様よ。イザベルに友達が出来たって報告したら、国を挙げて歓迎するから連れてきてくれって言われたわよ。丁重にお断りしたけどね。イザベルちゃんは私のなんだから」
「少し腑に落ちないですが、ありがとうございますお母様」
国? 僕には二人が何を言っているのか理解出来ない。
周りを見ると、サフィーヤさんのことをよく知るアンジェリカ・リディアナは普通の顔をしていた。多分、事情を知っているのだろう。アンジェリカはまた貸しとか言いそうだからリディアナに聞こう。
「リディアナ、今の状況を説明して欲しいんだけど……」
「ああ。トーラスは知らないのね。サフィーヤさんの実家の事」
「うん」
「サフィーヤさんの実家は隣国のザフィード王国なの。しかもサフィーヤさんは元第一王女なの」
「ザフィード王国、確か建国以来、唯一、今までずっと友好国である国だったよね」
「流石トーラス、博識ね。その通りよ。ザフィード王国はテンペスター公爵領の西に位置していて、周りは高い山脈に覆われている国よ。規模は大きくないけど、その地形から、昔から戦とは無縁の国なの。そして、ジルベスター王国の国境沿いが唯一、ザフィード王国へと続く道があるの。何でもセレスティーナ様のお仲間だったアイザック様が当時のザフィード王国の女王陛下と結婚されたらしいわ。だから、今日まで両国は深い絆で結ばれているの」
へぇ~。リディアナの話は凄く分かりやすかった。アイザック様かぁ。個人的に興味があるんだよな。何といってもアイザック焼きの考案者なのだから。
とりあえず、他の招待客の人も気になったけど、時間となったので、サフィーヤさんに聞くのは諦める事にした。どうしたってもうすぐ会えるしね。
本日のパーティーは公爵邸にあるパーティーホールで行われるそうだ。
招待客の方々もどんどん来られているらしいと先程、サフィーヤさんから聞いたので、中の様子を見ようとしたが、止められた。『あなた達の登場は最後よ。それまでのお楽しみよ』と言われてしまった。
そして、ついにパーティー開始の時間となった。まず最初にサフィーヤさんが会場に入場された。
「大変長らくお待たせいたしました。テンペスター公爵夫人サフィーヤ様の入場でございます」
中から声がすると、一斉に楽器の演奏が始まり、拍手の音が鳴り響いた。
「皆様、本日は急な招待に応じていただき、大変ありがとうございます。本日は皆様の知っての通り、私の愛娘イザベルの御友人達の歓迎パーティーでございます。皆様、ごゆっくりお楽しみください。それでは本日の主役達の入場でございます。どうぞ!」
中からは今まで以上の拍手が起きる。何だか出るのが凄く恥ずかしいんだけど……
皆も同じ気持ちみたいで、困惑の表情を浮かべている。執事さんもメイドさんも笑顔で『さぁどうぞ』と言ってくる。退路はもうないようだ。
僕達は意を決して、会場に入場した。
演奏の楽曲が変わり、歓声や拍手が木霊する。
会場に入ると、予想外な光景が広がっていた。
「ルミエールお姉様、レミーユお姉様、アルバート先輩、どうしてここに?」
よく見知った生徒会のメンバーの先輩方の姿があった。
僕がびっくりしている内にサフィーヤさんが『皆さん、それではパーティーを楽しんでください!』と宣言した。
その直後、イザベルはダンディーな中年紳士に連れ去られていった。多分、あの人が叔父様なのだろう。
僕は先輩達に近づいていく。すると、ルミエールお姉様が手を広げて突進してきた。僕は余裕をもって避けた。
「あらトーラス君、ごきげんよう。長期休みは堪能しているかしら? 今回はサフィーヤ様のご招待を受けて来たのよ。休みの間に可愛い後輩達に会えて嬉しいわ」
「僕もレミーユお姉様達に会えて嬉しいです。ルミエールお姉様もお変わりないようで、残念です」
「ウフフ。ルミエールお姉様のあれは死んでも治らないから諦めた方がいいですよ」
「こちらとしては諦めたくないですけどね……」
その後は純粋にパーティーを楽しむ事にした。パーティーに参加者するのは人生で初めての事だし、楽しまないと損だしね。
「そういえば、ルミエールお姉様、やっぱりノアールお姉様は来てないんですね? お姉様は今、王宮ですかね?」
「そっか、トーラス君は知らないよね。お姉様は国王陛下から王家直轄地の一つを賜って、この長期休みの間に視察に行っているのよ。学園卒業後はその領地を治める事になるらしいわ」
「そうなんですか。凄いですね。お姉様ならきっと良い領地にしてくれますね!」
「ええ。このパーティーも参加出来なくて残念だって手紙がきてたみたいよ」
そうかぁ。ノアールお姉様は領地を頂いたのかぁ。絶対に素晴らしい領主になられるだろうな。
実際、国王に一番相応しいのはノアールお姉様なんだ。この国の変な決まりが無ければっていつも思うよ。
この国は将来どうなるのかな? 僕も辺境でいいから領地をもらえたりしないかな? 絶対に頑張るんだけどなぁ……。まぁ無理だろうなぁ……。
そんな事を考えながらも僕はパーティーを楽しんでいた。偶然だったけど、貴族のパーティーを経験できて本当に良かった。
小腹が空いたので、僕は料理が置いてある方に向かった。すると、そこにはリディアナがいた。
「リディアナ、パーティー楽しんでる?」
「トーラス。楽しんでるよ。料理も美味しいわよ」
「どれが美味しかった?」
「そうね。この魚介サラダとか蒸し鶏とか美味しかったわ」
「じゃあ僕もいただこうかな」
やっぱりリディアナと一緒に居ると、安心するなぁ。実は僕はリディアナに言いたい事があるんだ。でも少し恥ずかしいんだよなぁ。どうしようかな?
「どうしたの? 美味しくなかった?」
「いや、凄く美味しかったよ。少し悩んでいただけだよ」
「悩んでいたって、どうしたの? 私なら何でも聞くよ」
あぁもう、言っちゃえ! どうにでもなれ!
「今日、リディアナに言ってなかった事があるんだ」
「私に? 何?」
「リディアナ、ドレス凄く似合ってるよ。リディアナの綺麗な瞳の色と一緒の蒼色で凄く合ってる。いつもは可愛い感じだけど、今日は大人っぽくて綺麗だよ」
僕は勇気を振り絞って、言った。きっと今の僕の顔は真っ赤だろう。
「ありがとう。嬉しい。トーラスも凄く似合ってるよ。格好いいよ」
リディアナは下を向いていたので、覗き込むと、顔を真っ赤にしていた。
「もう。不意打ちだよ。破壊力ありすぎよ」
「ごめん。本当は最初に言いたかったんだけど、皆の前だと恥ずかしくて」
「いいよ。本当に嬉しいもん。沢山の人に誉められるより、トーラスに誉められた方が何倍も嬉しいよ」
「僕もだよ」
何だか凄く幸せだな。この幸せがずっと続いていくように僕自身、もっと頑張らないとな。
少しの間、僕とリディアナは見つめ合っていた。すると、声が聞こえてきた。
「若いとは素晴らしい! いいものを見せてもらった」
僕とリディアナは我に返り、声の方を見ると、そこには先程、イザベルを連れていったダンディーな中年紳士がそこにいた。




