レヴェリー鉱山
僕らは今、レヴェリー鉱山に向かう馬車の中である。
先程、オズ先生から聞いた情報ではレヴェリー鉱山はロンダークの街から南西に馬車で一時間半くらいの場所にある。
すぐ近くには鉱山の町レヴェリーがある。
マークウェル公爵領はジルベスター王国内で有数の鉱石の排出量を誇り、鉱山数もダントツに多く、採掘される鉱石も様々な種類がある。
レヴェリー鉱山で採掘される鉱石はエメラルドである。
馬車に揺られて一時間半、僕らは鉱山の町レヴェリーにやってきた。
僕らは鉱山を案内してくれるギルド職員の所に行くため商業ギルドに向かった。
馬車から街中を見ると、ロンダークの街ほどではないが、凄く活気があるのを感じた。
屈強な体つきの男性が多い。
多分、鉱山で働いている人だろう。
この町に住んでいるのはほとんどが鉱山で働いている人や鉱石を加工する職人、宝石を加工して装飾品に加工する職人、そして、その家族である。
しばらく馬車を進めると、商業ギルドに到着した。
商業ギルドの前にはロンダークの商業ギルドで会ったファミルさんと数人の男性の姿があった。
「オズワルド様、カルロス様、そして御友人の皆様、お待ちしておりました。ようこそレヴェリーへ!」
最初の言葉はファミルさんではなく、横にいた40代くらいの男性だった。
「あぁ。久しぶりだなレンブラント! 元気そうで何よりだ」
「勿体無いお言葉でございます」
この男性は誰だろう? やっぱり町長かな?
「皆様、ご紹介が遅れました。私はこの町の町長を務めております。レンブラントと申します。本日はカルロス様、御友人の皆様、レヴェリーにお越しいただき本当にありがとうございます。」
やっぱり町長だった。
でも凄く丁寧な人だな~。
身のこなしとか執事みたいだ。服装も。
「レンブラントさんはもしかしてどこかで執事をされていたんですか?」
「よくお分かりになりましたね。私は10年前までマークウェル公爵家で執事をさせていただいておりました」
「それじゃあオズ先生とも長いのですか?」
「はい。オズワルド様がお生まれになられた時からずっとお側におりました」
「レンブラントは小さい頃から俺付きの執事だったんだ。学園にも同行したんだぜ!」
「懐かしい思い出でございます」
「親父の評価も高くてな。10年前に親父が持ってる爵位の一つを譲ろうとしたのに、自分には荷が重いと言って、受けなかったんだよ。本当にレンブラントは欲が無いよな。荷が重いって! お前ほどの男で荷が重かったら他の奴にも務められないわ! それで結局、この町の町長におさまったんだよ」
「過分な評価、恐れ入ります」
オズ先生がこれだけ誉めるって事は本当に優秀な方なんだろう。
爵位を譲られるって相当だしな。
セバスお父様も公爵の執事から今はロンベスター子爵になったんだよな~。
やっぱりマークウェル公爵家で働いている方は優秀な人が多いな。
でもだからこそ、これだけの広大な領地を健全に治められるんだろうなぁ。
「それでは本日、同行するメンバーを紹介させていただきます。左から鉱山長のフィザ、鉱員のレグとラザンです。そして、ギルドから私ファミルが同行いたします」
ファミルさんと鉱山長のフィザさんはとても笑顔だった。
レグさんはとても緊張してるようだった。目の前にマークウェル公爵家の二人がいるからしょうがない。
僕が一番気になったのが、ラザンさんだ。
紹介されてもずっと下を見ていて何か考え事でもしてるようだった。
フィザさんに注意されて挨拶はあったが様子が変だった。
「それでは先ずは採れた鉱石を研磨する施設に参ります。鉱山見学は昼食後となります。フィザさん、お仕事中ありがとうございました。午後からまたよろしくお願いしますね」
「かしこまりました。お待ちしております」
鉱山は午後なのか。待ち遠しいな。
その後、僕らは施設を見学した。
先ずは鉱石を研磨する施設。
そこでは採れた鉱石の塊から宝石になる部分とならない部分を仕分ける作業が行われていた。
次にその仕分けした原石に研磨師という人達が匠の技で原石を研磨していき宝石へと作り変えていった。
一言で言うと、凄かった!まさに匠の技!
熟練された職人によって磨きあげられていき輝きを増していく凄く神秘的な光景だった。
その後、僕らは仕分け作業や研磨作業を体験させてもらった。
凄く貴重な経験であっという間に時間が過ぎていった。
続いて研磨した宝石を加工して装飾品などにする施設に向かった。
そこでは宝石を使って装飾品を作り上げる装飾師という人達が働いていた。
指輪やネックレス、ブレスレット、ブローチなどの様々な装飾品に加工していた。
その装飾品はこの町の店で売られていてこの町の名産品になっている。
ここで僕らは装飾師の方にすごい物を見せてもらった。
それはとても大きなエメラルドで作られたブローチである。
何でもこの町ではある一定の大きさを超えたエメラルドの事を『女神の瞳』と呼ぶそうだ。
由来はこの国の初代女王であり、今では国中で女神と称えられるセレスティーナ様の瞳の色からつけられたそうだ。
余談だがこのブローチはバクストンさんが誕生日にサラーネさんに贈るために注文されたらしい。
ここでも様々な体験をしていたらいつの間にか昼食の時間になっていた。
僕らは町で一番大きな食堂へと向かった。
食堂に着くと、客の入りはまばらだった。
ファミルさんによると、あと30分くらいしたら鉱山や加工施設で働いている人達が昼休みに入るそうだ。
つまり、僕らは鉱山で働いている人達が昼休みを取っている間に鉱山を見学するのだろう。
皆、思い思いに好きな料理を注文して食事を楽しんだ。
食事を済ませ、僕らはいよいよ鉱山に向かった。
鉱山は徒歩で行く。
この町と鉱山はすごく近いので歩いていけるのだ。
歩いていると、先程会ったフィザさん達と同じ服を着た人達が沢山歩いてきた。
僕はその人達の方を見ると皆さんすごく笑顔だ。
何だろう? いいことがあったのかな?
そして、ついに鉱山がある場所の入口の前にやってきた。
すると、何だか現場がソワソワしている。
ファミルさんも感じたのか入口にいた人に話しかけた。
「お疲れ様。何か雰囲気が変だけど何かあったの?」
「ファミルさん、お疲れ様です。実は一の鉱山で女神の瞳に成りうる鉱石が採掘されたんですよ!」
「本当に! すごいじゃないの!」
「そうなんです。少し前も一つ採れましたし、こんなに立て続けに採れるなんて奇跡ですよ!しかも相当な大きさみたいですよ!今は鉱山長達が慎重に運搬の準備をしている所です」
「私達、今からその鉱山内に入るんだけど、大丈夫かしら?」
「はい。もちろん大丈夫です。今、鉱山内にいるのは鉱山長とレグとラザンです。見学を楽しんでください。多分入口で鉱山長が待っているはずですよ」
この雰囲気は良い事が起きたからだったみたいで安心した。
僕らはファミルさんに連れられて一の鉱山の前に行くと、鉱山長のフィザさんが待っていた。
「お待ちしておりました。」
「フィザさん、聞きましたよ! 凄いのが出たんですって!」
「もうお聞きになりましたか! おっしゃる通りもの凄いのが採れましたよ。是非皆様に見てもらいたいです。ラザンの奴が発見したんですよ!」
鉱山長は満面の笑みだった。
発見したのはラザンさんなのか。
初対面の時は変だったけどこれでいい方向に変わるかな?
僕らはフィザさんに連れられて鉱山の中に入っていく。
中は予想以上に広く明かりも適度に配置されていて歩きやすかった。
しばらく歩くと、少し道幅が狭くなってきた。
「もうすぐ最深部に着きます」
その言葉の直後、奥から声が聞こえてきた。
「ラザン、落ち着け!」
鉱石の加工に関しては自分自身のイメージで書いています。




