商業ギルド
オズ先生に付いて歩いていくと遠くの方にとても大きな建物が見えてきた。
「オズ先生、あの建物ですか?」
「ああそうだ」
「デカイですね~」
「王都の商業ギルドに比べたらまだ小さいぜ。お前は見たことないのか?」
「はい。王都の商業ギルドは学園から結構離れているからいけてないんです」
そして、商業ギルドの前に着いた。
商人だろうか? ギルドの前にはたくさんの人がいた。
剣を携えた屈強な男性も多く見受けられる。
護衛か何かだろうか?
オズ先生はそのまま扉を開けて商業ギルドの中に入っていく。
僕らも後に続いて中に入った。
すると、前世のゲームの世界のような光景が広がっていた。
僕の心は一気にドキドキとワクワクで占められていった。
周りを見渡すと、壁には依頼書なのだろうか?何枚も張ってある。
奥には窓口がありギルド職員と商人?が話をしている。
僕が物思いにふけっていると、オズ先生は窓口に向かって歩いていく。
そして、空いていた窓口にいた職員に話しかけた。
「すまないがギルド長を呼んでほしいんだが」
「いらっしゃいませ! ギルド長ですか? すみませんがお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「オズワルド・マークウェルという。名前をギルド長に伝えてくれればいい」
「オズワルド様ですね。少々お待ちください」
オズ先生はわざわざわかりやすいように家名を名乗ったが職員さんは完全にスルーしていた。
これは気づいてないよね?
少しすると、奥からオズ先生と同じくらいの年の女性が慌てた様子でやってきた。
「申し訳ありませんオズワルド様!ギルド長は別室におります。ご足労お願いしてもよろしいでしょうか?」
「あぁ!後ろの子供達もいいか?」
「もちろん。構いません」
女性の後ろには先程応対した若い男性が呆然とした表情をして立っていた。
やっとオズ先生が何者かを理解したのだろう。
流石にこの街の領主の家名を聞いてノーリアクションは駄目だよね。
女性に連れられて奥にあるらしい別室に向かう。
扉が開くとそこにはギルド長だろうか?男性がいた。
「お久しぶりでございますオズワルド様!」
「そうだな。ギルド職員に俺の名前を忘れられる程度にはな!」
「申し訳ございません」
「俺がいない間にギルドの職員の質が落ちたんじゃないか。まぁいい。今日ここに来た理由は2つある」
「何でございましょうか?」
「一つめは我が家が採掘をギルドに任せている鉱山の視察を明日行いたいと思うから手配しろ」
「どこの鉱山を視察なさいますか?」
「そうだな。とりあえずロンダーク南西にあるレヴェリー鉱山だな」
「かしこまりました。すぐに手配いたします」
「2つ目は視察に伴って後ろにいる子供達に鉱山の見学、宝石の研磨作業体験などを出来るように手配してほしいんだが可能か?」
「もちろん可能でございます。参加なさるのは後ろにおられる7名様でよろしいでしょうか?」
「あぁ」
「かしこまりました」
「お前ら、聞いた通りだ。明日はレヴェリー鉱山に行くからそのつもりでいろ」
「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」
「よし! これで仕事モードは終わりだ。メイソン久しぶりだな!」
「オズワルドもいつも通り嫌み全開で変わっていないな!」
「久しぶりに突っ込めるチャンスをもらったんだ。そこを突くのは当たり前だろ。というか本当に大丈夫か?」
「今回に関しては何も言い訳のしようがないな。少し緩みがあったのかもしれない。しっかり改善していくよ」
「こらメイソン! オズワルド様! 子供たちが驚いているではありませんか!」
女性の言う通り僕らは目の前で起こったお二人の変貌ぶりにポカンとして見つめていた。
「悪い悪い。少し驚かせてやろうと思ってな」
「本当にそういう底意地の悪さは変わってないな」
「おい! お前だってノリノリで口調変えといてよく言うわ」
「商業ギルドのギルド長をやるにはこれくらい底意地悪くないとやってられないわ。王都のギルド長に比べれば私なんて可愛い者ですよ」
「あの鬼ババアな。昔は本当にあの婆さんに苦虫を味あわされたよな」
「本当にな。俺達が学生時代から婆さんなのにあの人は一体今何歳なんだよ!」
「マジで化け物だよな」
「ほらほら。またこの子達置いてきぼりにして! そんな話は酒場で酒を飲みながらでもしてなさい! 皆さんごめんなさいね。この二人は学園時代からの悪友なのよ。自己紹介がまだだったわよね。私はこの商業ギルドの副ギルド長のファミルよ。よろしくね! こっちのはギルド長のメイソンよ。一応私の旦那でもあります」
「一応とはひどいな。紹介にあったメイソンだ。君達は……カルロス様とその友人達ってところかな?」
「はい」
「トーラス・ロンベスターです」
「リディアナ・アシュレーです」
「イザベル・テンペスターですわ」
「アレックス・シュナウザーだ」
「アンジェリカ・ローゼンフェルトです」
「ロイスです」
とりあえず自己紹介した。
「ほう。流石にマークウェル公爵家の跡取りの交遊関係はすごいな! 最後の子以外は貴族だ!しかも有名所ばかりだ」
「ロイスを甘くみるなよ。こいつの父親は何とベンツだぞ!」
「何だって! 本当か! いやはやすごいな」
「メイソンさんも父を知っているんですか?」
「もちろんさ! 伝説の料理人だからね。そうかベンツの息子かぁ」
この旅でロイスのベンツさんへの好感度はうなぎ登りだろう。
僕らでさえ凄さに驚いてるくらいだし。
「まぁ何はともあれ明日はよろしく頼むな!」
「任せとけ! 将来有望な子供達に媚を売るチャンスだからな」
「お前な」
「冗談だよ」
メイソンさんの顔は冗談って顔はしていなかった。
そのまま少し会話をした後、商業ギルドを後にしてロンダークの街を堪能した。
公爵邸に戻るとオズ先生は明日は朝には鉱山に出発するから早めに休めよ! と言い残し僕らの元を去っていった。
夕食では今日の出来事をサラーネ様に話すととても嬉しそうに聞いてくれた。
オズ先生が鉱山見学を手配した事を告げると驚いた顔をしたが何だか凄く嬉しそうだった。
久しぶりにトーラスを含め友人達の家名を書いた気がします。
平民に家名が無いという設定にしたのはかなり悔やんでいます。
ロイス一人だけ無いので。
でもお父さんは伝説の料理人です!
本人も超優秀です!




