王宮菓子職人
「コロン、ダンテの奴を呼んできてくれ!」
「はい」
少しすると、ダンテさんがやってきた。
「どうしたオズワルド。クレームか」
「違うわ! こいつらがお前の作ったケーキを絶賛してるんだよ」
「ほう。味がわかる子達だな。まぁ俺の作るデザートは世界一だから当然だかな」
「本当に最高でしたわ! ダンテさんは何者なんですか! こんな美味しいデザート初めて食べましたわよ! 是非とも我が家にきてほしいくらいですわよ」
「それはそれは最高の褒め言葉だね。だが俺はこのロンダークを愛してるからここから離れるつもりはないよ。すまないな」
「残念ですわ~」
イザベルは本当に悔しそうな顔を見せていた。
冗談だと思っていたけど本気だったみたいだ。
それだけダンテさんのデザートの虜になってしまったのだろう。
「ダンテは元王宮菓子職人の総括長なんだぜ」
「菓子職人の総括長って菓子職人のトップって事ですわよね。すごいですわ! その地位を捨てて故郷に戻ってくるなんて生半可な事じゃありませんわよね」
「そうだな。もちろん少しは悩んだけどな。この食堂は俺の爺さんの頃からやっているからな。俺の力で最高の店にしたかったんだよ」
「素敵ですわ!」
「お嬢さんみたいな可愛い女の子に言われるとは光栄だね」
「女性陣は気をつけろよ。こいつは昔から女たらしだからな」
女性陣がダンテさんから少し距離を取った。
「オズワルド何て事いいやがる。娘くらいの年齢の子に手を出さねぇよ! しかも今はコロン一筋だ!」
「王宮の調理場で働いていたっていえばロイスのお父さんもよね」
「そうだねリディアナ」
「君のお父さんも王宮で働いていたのかぁ。名前は何ていうんだ?」
「ベンツっていいます」
「えっ! ベンツだって!」
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も大親友さ! 俺とあいつは同期だったんだよ。俺は菓子職人、ベンツは料理人として共に研鑽を重ねたよ。お互いに様々な技術を教え合ったんだ。今の俺があるのはベンツがいたからっていっても過言じゃねぇよ。懐かしいな。確かあいつも王都にある実家にある宿屋を継いだんだよな」
「はい。今は宿屋の食堂で腕をふるってます」
「それは王都中に評判の店になってるだろうな。今度もし王都に行く事になったら是非行きたいな」
「是非お願いします。父も絶対喜びます」
ベンツさんの料理も本当に美味しかった。
この偉大なお二人を失った王宮の厨房は本当に痛手だったに違いない。
「それじゃあ行くわ。ごちそうさん! 美味かったよ。俺はまだ当分こっちにいるからまたお邪魔するわ」
「おう待ってるぜ! 君達もまたロンダークに来る機会があったら寄ってくれると嬉しい」
「次の機会とは言わず明日また来たいですわ!」
「「私も!」」
「ありがとよ」
僕らは店を後にした。
「オズ先生、次はどこに行きますか?」
「そうだな……!ちょっと私用+αで寄りたい所があるんだが行ってもいいか?」
皆の方を確認すると皆頭を上下させていた。
「全然大丈夫ですよ。どこに行くんですか?」
「商業ギルドだ」
商業ギルドとは簡単に言ったら国の物流の要である。
商人などが商業ギルドから情報を得て各地に運んで商売するのが主流となっている。
他にも仕事の斡旋や各地の観光業も担っている組織である。
本部は王都にあり、各地に支部がたくさんある大規模な組織である。
地域によってはその地を治める貴族よりも力をもったギルド長もいるそうだ。
僕は一度行ってみたかったから結構嬉しい。
「それじゃあ行くぞ。歩いていける距離にあるから歩いて行くぞ」
「「「「「わかりました」」」」」
こうして次の目的地は商業ギルドになった。




