絶品デザート
「それじゃあ中心街に着いたみたいだし、まずは飯だな」
一同驚愕である。何せ先ほど軽めだったけど、食事を取ったばかりだからだ。
「オズワルド様。僕ら先ほどご飯を食べたんですが!」
ロイスが頑張った。
「様なんていらねぇよ。オズワルドさんでいい。もちろんわかってる。俺が腹減ってるんだよ。お前らは飲み物やデザートとだけでいいからつきあえ」
そういえばオズ先生の事を全く考えていなかった。反省だ。
「すみません。考えていませんでした」
「気にするな。それじゃあ行くぞ。少し行った所に俺のこの街での行き付けの店があるんだ。デザートも美味しいぞ!」
かりにも公爵家子息であるオズ先生の行き付けの店って一体どうな店だろうか?
とてつもない高級店かもしれない。
僕らは半分ワクワク半分怖さも感じながら歩いていると、オズ先生が指を指した。
「あの店だ!」
僕らは指の指す方向を見るとそこには普通の街の食堂があった。
少し安心したような残念なようなよく分からない感じだった。
オズ先生を先頭にお店に入ると勢いよく奥から女性がやってきた。
「いらっしゃいませ! あら……オズワルド様じゃないですか! お久しぶりですね。ロンダークにお帰りだったんですね。もしかして後ろの方たちの中に噂のカルロス様がいらっしゃるんですか?」
「久しぶりだな。いるぞ。こいつだ!」
オズ先生はそう言うとカルロスを女性の前に連れていった。
「おーい。あんた! オズワルド様が来られてるわよ」
女性がそう言うと奥の方から『マジか! すぐ行く! 』という声がした後に男性が現れた。
「オズワルド久しぶりだな! 元気にしてたか! なんだ、もしかしてその方が噂のカルロス様か」
「ダンテお前は変わらないなぁ。しかし、カルロスは様付けで俺が呼び捨てとはどういう了見だよ」
「カルロス様は次期マークウェル公爵家の後継者だからな。お前とは違って奥方様から期待されているんだ。当然だろ。お前は結婚もせず王都から帰ってこない仕事一筋バカ息子っていうのが領民の印象だぜ!」
「……」
ひどい言われようだな。ある意味では領主と領民の距離が近いって言えるけど……
「冗談だよ。冗談。久しぶりに会ったから少しからかっただけだ。そんな怖い顔をするな。イケメンが台無しだぞ。心配しなくてもお前に対する領民の印象は抜群だよ。次期宰相間違いなしの完璧人間。後は結婚してくださればだな」
「ダンテてめぇな! 昔から俺をおちょくりやがって」
「ハハハハ。愛情表現だよ。それより後ろのも含めて紹介してくれよ」
「あぁそうだったな。知っていると思うがこいつが俺の養子になったカルロスだよ。後ろのはカルロスの学園の友人たちだ。今は母の命令で街を案内しているんだ」
「なるほど。紹介が遅れましたカルロス様。私はこの食堂の亭主のダンテと言います。こっちは妻のコロンです。お父上とは昔からの馴染みでしていつも仲良くさせていただいています」
「よろしくお願いします!」
「自己紹介は済んだだろ。俺は腹ペコなんだよ。早く席に案内してくれ!」
「はいはい。あそこの席にどうぞ」
オズ先生は少しイラつきながらも席に歩いていった。
僕らも後ろから付いていった。
席に着くとコロンさんがメニューを持ってきてくれた。
「それにしても皆さん、本当に美男美女揃いね。カルロス様のご友人って事は皆貴族の子息令嬢なのかい?」
その質問にすぐにロイスが答えた。
「僕以外はそうですよ」
「ロイスだったか。お前は平民なのか?」
「はい」
「こんなメンツに囲まれて辛くはないのか?」
「最初は僕一人だけ平民である事に凄く抵抗がありましたが、皆と触れ合う内に問題なくなりました。皆は僕の事を一人のロイスという人間として見てくれるから!」
「そうか。お前は強いな。将来の進路とか希望はないのか?」
「まだ決めていません」
「なら王宮で文官として働く事も将来の進路に入れておけ!」
「そんな僕なんかが王宮の文官なんて……」
「トーラス、お前から見てロイスには無理か?」
「余裕だと思うよ。真面目だし、優しいし、僕らのまとめ役だからねロイスは。それにオズ先生に話しかけていける度胸もある。オズ先生だって凄いと思ったでしょ!」
「だそうだぞロイス。今の王宮の文官はやはり貴族が多いのが現状だ。だが俺はそれではいけないと思ってる。平民にも沢山傑物はいる。埋もれさせる訳にはいかない。まだ会って少ししか経ってないが俺はお前が向いてるんじゃないかと思って話をした。直感に近い。だが一つだけ言えるのは俺の直感に狂いはない。まぁまだまだ学園生活は長いからゆっくり考えてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
その後、メニューを見てオズ先生は定食を。僕らはデザートを注文した。
「トーラスはなぜオズワルド様の事を先生と呼んでますの?」
イザベルが問いかけてきた。
「なんだお前、俺との関係を言ってなかったのか」
「そういえば言ってなかったです。実はオズ先生は王宮での勉学の師匠だったんだ」
「なるほどな。トーラスの異常なまでの学力はオズワルド様の教えのお陰なのかよ」
「ひどいなアレックス。異常って!」
「全てのテスト満点の奴を異常って言って何が悪い」
「なんだよ。トーラスお前テスト満点なのかよ! 異常だな。悪いなカルロス。俺もトーラスがここまで異常だとは思わなかったわ。」
「大丈夫です。いつか絶対に勝ちますから!」
「そうか。頑張れよ!」
「はい!」
「お待たせしました。料理をお持ちしましたよ!」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
僕・カルロスはチョコレートケーキ、リディアナ・イザベルはミルフィーユ、アンジェリカはフルーツタルト、ロイス・アレックスはショートケーキを注文していた。
「「「美味しい!」」」
一口食べた女性陣からの感嘆の声が上がった。
「何このミルフィーユ! 生地がサクサク、味も間に挟まれているカスタードクリームと苺の相性抜群ね!」
「リディアナに同意ですわ! 私こんなに美味しいミルフィーユ初めて食べましたわ」
「タルトも最高よ。沢山のフルーツの調和を崩さないように配慮されたタルト生地とクリームのバランスが絶妙。頬っぺたがおちそうなんだけど!」
「アンジェ一口頂戴。私のもあげるから」
「いいわよ」
僕らも食べると本当に美味しかった。というよりヤバかった。何これ! こんな美味しいケーキ初めて食べたレベルなんだけど。この店は一体何?
その後、女性陣は食べていなかったショートケーキとチョコレートケーキを注文して食べていた。
「お前らこの店のデザートは最高だろ!」
「はい!これ誰が作ってますの?実家に連れていきたいんですが!」
「聞いて驚け。このデザートはダンテが作ってるんだぜ」
「「「……!」」」
女性陣は声にならない程の衝撃だったようだ。




