提案
最近、生徒会が前より肉体的にも精神的にも
楽になったと感じる。
その要因はいくつかある。
一つはクライブ先輩が生徒会を去った事だ。
本当にクライブ先輩の存在は生徒会にとって邪魔でしかなかった。
生徒会室に来ないことは日常茶飯事。来ても場を乱したり、仕事をサボったり、ラストン先輩やサラーナ先輩に押し付けたりしていた。
本当に迷惑だった。
二つ目はクライブ先輩に代わって生活入りしたデューク先輩の存在が大きい。
生徒会に入るとすぐに他のメンバー(メルクリオ先輩を除く)とも打ち解けた。
仕事のスピードも早く、僕達、下級生が困っていても的確なアドバイスをくれる。
本当に頼りになる先輩だ!
三つ目はクライブ先輩の呪縛から解き放たれたラストン先輩とサラーナ先輩の存在だ。
元々実力で生徒会入りされた方達なので、お二人共とても普段の仕事もテキパキこなされていた。
しかし、クライブ先輩に気を使っているなぁと思う部分もたくさん見受けられた。
なのでクライブ先輩から解き放たれたお二人は今現在、やる気に道溢れておられます。
お二人に聞いたら、クライブ先輩から救ってくれたノアールお姉様に恩返しをするんだとおっしゃっていた。
四つ目は意外な事にクライブ先輩が去って以降、メルクリオ先輩がちゃんと仕事をするようになった。他の人とのコミュニケーションは皆無ではあるけど、昔の本ばかり読んでいる姿は見受けられなくなった。
ノアールお姉様に聞いてみた所、『流石にクライブ程、バカではなかったって事じゃないかしら。多分だけど、危機感を感じてくれたんだと思うわ。メルクリオはクライブと違ってちゃんと自分の実力で生徒会に入ったからちゃんと仕事をしていれば、誰からも何も言われないからね』と言っていた。
その四つの要因もあり、今の生徒会は万全だ。
ノアールお姉様からルミエールお姉様への生徒会長の引き継ぎも順調に行われている。
学園生活も特に大きな変化もなく、穏やかに過ごしいる。
二学年の前期カリキュラムも残り一ヶ月になろうとしていたそんなある日、アンジェリカからとある提案がなされた。
「あと一ヶ月で長期休みよね。皆は予定は決まってるの?」
「俺は実家に帰って特訓だな。休み明けには武術大会が待ってるからな」
「私も実家に帰るわ」
「私もですわ」
「僕もだよ」
「僕は実家のお店を手伝うと思うよ」
「僕も帰ると思うけど、まだ決まってるわけではないかな」
学園の生徒は基本的に長期休みは実家に帰る。
僕も何事もなければ、セバスお父様とエマお母様に会いにいくだろう。
「提案があるの! 長期休みの間、順番に皆の実家を訪問するっていうのはどうかしら?」
「アンジェ、どういう事?」
「順番に私達の実家がある領地を皆で巡っていくのよ! 場所を把握して、回る順番を決めたり、滞在する日数を決めたりしたら、長期休み中に回りきれると思うのよ。ねぇ面白いと思わない?」
アンジェリカの提案は本当にすごく面白そうだ。
問題は沢山ありそうだけど、実現できたらいいな!
皆も乗り気みたいだけど、ロイスだけが少し考え込んでいる感じだった。
「それじゃあ各々、手紙でこの事を実家に伝えて頂戴。全ての家がOKだった場合だけ、計画を進めましょう! もちろんロイスの王都の実家にも行くからね! ちゃんと実家に確認取ってね」
「僕の家にも来るの?」
「当たり前じゃない。ロイスのご両親にも挨拶したいじゃない。これは決定事項だからね。反論は認めません!」
「わかったよ。ありがとう。アンジェリカ。」
僕らは実家に手紙を送った。
そして、10日後、全ての家から返事が来て、全ての家から了承を貰う事が出来たので、図書館に行き、地図を見ながらどういう順番で巡るかどれくらい滞在するかを考える事になった。
調べてみると、意外と皆の実家の領地が近い事がわかった。
ロンベスター子爵家が王都から南東部にある。
その左隣にカルロスのマークウェル公爵領、その左にイザベルのテンペスター公爵領、その上にアレックスのシュナウザー侯爵領、その上にアンジェリカのローゼンフェルト伯爵領、その右にリディアナのアシュレー伯爵領だ。
面白いくらいに皆の実家の領地が隣接していた。
長期休みは一ヶ月半45日だ。
馬車での移動になると思うので、移動だけで結構な日にちを取られてしまうけど、それはそれであろいろんな所を見て回れるから楽しいだろう。
皆で話し合った結果、まずは王都にあるロイスの実家を訪問してからロンベスター子爵領→マークウェル公爵領→テンペスター公爵領→シュナウザー侯爵領→ローゼンフェルト伯爵領→アシュレー伯爵領という順番で巡る事になった。
それからの一ヶ月は本当にあっという間だった。
しっかり準備も出来たし、スケジュールもばっちり考えた。
間違いなく今回の長期休みの45日間は僕にとって素晴らしい経験になるだろう!
不安も無くはないけど、それ以上にワクワクしている。様々な領地を巡り、沢山の人や物と触れあいがあると思う。
一つ一つの出会いを大切にして存分に楽しもう!
一人じゃないんだから!
周りには皆がいるから!
最初の目的地はロイスの実家だ




