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学園の舞姫

 アナウンスと共にシャルロッテ先輩とクライブ先輩がリングの上に上がる。

 僕はワクワクしていた。

 両者は一体、どんな闘いを見せてくれるのだろうか!


「トーラスはシャルロッテ先輩の闘いを見たことはあるのかな?」

「ありません」

「なら目に焼き付けるといいよ、シャルロッテ先輩の剣舞をね!」

「剣舞ですか?」

「そうだよ。シャルロッテ先輩の闘い方は独特なんだ。まるで、剣を持って舞ってるかのように戦うんだよ。だからシャルロッテ先輩は学園の舞姫と言われているんだよ」


 アルバート先輩からシャルロッテ先輩の情報をもらい、更にワクワクが増大した。


「クライブ先輩はどのような闘いのされるんですか? 先輩は去年、決勝で闘われてますよね?」

「そうだね。なんというか、超攻撃的だね」

「超攻撃的ですか?」

「クライブ様は、防御という言葉を知らないかと思うほどに攻撃的なんだよ。ひたすら攻める。攻撃を受けてもおかまいなしに攻めてくるんだよ。何なんだろうね。もう少しバランスよく攻撃と防御が出来たら相当、強いと思うんだけどね」


 アルバート先輩は苦笑いで教えてくれた。

 流石は脳筋王子という事なのか、多分、本能で試合を闘っているんだろうな。


「アルバート先輩はどちらが勝つと思われますか?」

「クライブ様が去年のままだったら、ほぼ間違いなく、シャルロッテ先輩が勝つと思うけど、人は成長する生き物だからね。去年、僕に負けた事を相当、悔しがってたから何かしら変えてきてるとは思うよ」


 そして、試合が始まった。

 そこで僕が見たのはシャルロッテ先輩のまさに舞ってるかのような美しい姿だった。

 シャルロッテ先輩は闘う前の男装の麗人というイメージからうって変わって、とても女性的なまさに学園の舞姫にふさわしい闘いだった。

 一方、クライブ先輩、アルバート先輩が人は成長する生き物だと言っていた。確かに成長はしているのだろう。更に攻撃的に。

 アルバート先輩によると、去年より、剣の振りは鋭く、動きも洗練されているみたいだ。しかし、防御に関しては頭の片隅にもない雰囲気だった。

 僕は心の底から勿体ない人だなと思った。

 試合はシャルロッテ先輩の圧勝だった。

 クライブ先輩はシャルロッテ先輩の独特の動きに終始、翻弄され敗北した。


 上級生の部の決勝戦も終わり、続いて、表彰式が執り行われる。

 シャルロッテ先輩は試合後だというのに、疲れた様子もなく、僕らに話しかけてくれた。


「アル君、トーラス君、私の闘いはどうだったかな?」

「去年より、更に動きが洗練されており、素晴らしかったです」

「初めてシャルロッテ先輩の闘いを拝見しましたが、凄かったです! 後、とても綺麗でした」

「二人共、ありがとう」


 シャルロッテ先輩はそう言うと、クライブ先輩の元に駆け寄っていった。


「クライブ君、君はいつになったら防御という言葉を覚えるんだい! 攻めだけではいけないのは、去年と今年でわかっただろ。もう少し自分自身を見つめ直しなよ。実力はあるんだから勿体ないよ!」

「……」


 クライブ先輩はシャルロッテ先輩の言葉にも無言で俯いていた。

 本当に今日は待機室の時もそうだったけど、いつもと雰囲気が違うなぁ。


「アルバート先輩、なんか今日、ずっとクライブ先輩の様子がおかしくないですか?」

「多分、国王陛下がいらしゃってるからじゃないかな。国王陛下は自分の子供達に異常なまでに厳しいのはとても有名だからね。多分、とてつもないプレッシャーだったと思うよ。絶対に勝たなければいけないという」


 なるほど、国王陛下(父親)は子供に対して厳しいのか。

 結局、負けてしまったクライブ先輩の心中は穏やかではないだろな。


「これより、表彰式を始めます。決勝戦を闘った4名の選手はリングに上がっください。」


 シャルロッテ先輩が先頭に立ち、『皆、行くよ! クライブ君もそこで石像になってないで、行くよ!』と言った。


 リングの上に上がると、再びアナウンスが流れる。


「表彰式ではメダルの授与を行います。今年は特別に準優勝者はウィルフリート将軍から優勝者は国王陛下よりメダルが授与されます」


 僕はこのアナウンスを聞き、動揺した。

 国王陛下からメダルを授与される。

 父は僕を見てどういう顔をするんだろうか?

 何か声をかけてくれるのだろうか?

 僕の心の中は淡い期待と止めどない不安が混ざりあっていた。

 そして、アナウンスから少ししてから、僕らのいる反対側から国王陛下、ウィル先生、学園長、ノアールお姉様が姿を表した。








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