決勝戦、選手入場!
決勝戦が行われる会場に着くと、そこには、学園の生徒で溢れかえっていた。
僕は選手なので裏の入り口から入れる事になっているらしいので、そこに向かう事にした。
向かう途中、何だか視線をたくさん感じたけど、スルーした。
入り口に着くと、そこにはルミエールお姉様が待ち構えていた。
「トーラス君、やっと来たわね。どこに行っていたの? 他の選手は皆、もう来てるわよ」
「すみません。少し用事がありまして」
「そうなの。じゃあ案内するから付いてきて」
ルミエールお姉様についていくと、部屋の前で止まった。
「ここが待機室よ。もう少ししたら決勝戦の説明などしにくるから、ここで待っていてちょうだい」
「はい。わかりました」
中に入ると、3人の選手がいた。
その内、二人は顔見知りだった。
一人はもちろん、決勝戦の相手であるアルバート先輩。
もう一人は第一王子のクライブ先輩だった。
まさか、上級生の部で決勝まで残っているとは思っていなかった。
そして、もう一人はクライブ先輩の対戦者だろう。なんだかどこかで見たことが気がするが、思い出せない。
男性とは思えないくらいすごく綺麗な人だ。
とりあえず、第一王子であるクライブ様に先に挨拶しようと思う。
「クライブ先輩、お疲れ様です。遅くなって申し訳ありません」
「ああ」
クライブ先輩は僕の言葉に反応はしてくれたけど、何だかいつもと雰囲気が違った。
いつもの自信満々、俺様態度が鳴りを潜めていた。
僕は深く考えず続いてクライブ先輩の対戦相手の先輩に挨拶した。
「先輩、遅くなって申し訳ありません。僕はトーラスって言います。よろしくお願いします」
「全然、気にしてないよ。よろしくね.君が噂のトーラス君かぁ。噂通りだね。私はシャルロッテっていいます。六学年だよ」
あれ? 名前といい、声といい、まさかの女性?
「すみません。先輩は女の方ですか?」
「そうだよ。女に見えなかった?」
「いいえ。初めて見た時にとても綺麗な方だなぁって思ったんですが、まさか女性の方が武術大会に参加してるとは思ってなくて男性だと思いました」
「綺麗だなんて嬉しいな! まぁ女子生徒で武術大会に参加するなんて、私くらいしかいないからね。分からなくても当然だよ。まぁ、とりあえずお互いに試合、頑張ろうね」
「はい」
先輩はすごく優しそうな人だった。
最後にアルバート先輩に挨拶した。
「アルバート先輩、遅くなって申し訳ありません」
「待っていたよ。君と闘うのをずっと楽しみにしていたんだ。聞きたい事もあるしね」
「僕もです」
アルバート先輩は僕に聞きたい事があるらしい。十中八九、ウィル先生の事だろう。
僕も先輩と先生の関係が気になっている。
試合が終わったら聞いてみたいものだ。
少しすると、ノックの音が聞こえてノアールお姉様、ルミエールお姉様、レミーユお姉様の順に部屋に入ってきた。
すると、シャルロッテ先輩がノアールお姉様に抱きついた。
「ノアちゃん、会いたかったわ。ルミちゃん、レミちゃんも、最近、全然会いにきてくれかいから寂しかったのよ」
「お姉様、離れてください。私はこれでも生徒会長なんです。忙しいんです。そんなに会いたいなら生徒会室に来れば、よろしいでしょ! お姉様も生徒会メンバーなのですから!」
「だって生徒会室に行ったら何か仕事させられそうで怖かったんだよ」
「本当にお姉様の仕事嫌いは筋金入りですね。わかりましたから。今から説明がありますから、座ってください」
「はーい!」
なんと、シャルロッテ先輩は生徒会メンバーみたいだ。六学年の二人のメンバーには会った事がなかったから僕はびっくりした。
「皆さん、決勝進出おめでとうございます。決勝進出者が全員、生徒会メンバーであるのは生徒会長として、とても誇らしいです。決勝戦は皆、正々堂々、自分の持てる力を出しきり、最高の試合を期待します! それではこれからの流れを説明します」
ノアールお姉様の説明によると、10分後にリング隅まで行き、一人ずつ紹介のアナウンスが流れるので呼ばれたらリングに上がる。
そこで学園長の言葉、視察に来ている将軍の言葉、そして最後に国王陛下の言葉があるらしい。
ノアールお姉様によると、武術大会を国王陛下が観戦される事はないらしいからとても珍しい事、らしい。
それが終わったら下級生の部、上級生の部の順に決勝戦が行われる。
時間になり、僕らは部屋を出て、リング隅に向かった。
少しずつ緊張感が増してきた。
そして、ついにアナウンスの声が会場に響いた。
「皆様、大変、お待たせしました! これよりセルベリース学園武術大会の上級生の部、下級生の部、決勝戦を行いたいと思います。まずは決勝戦を闘う四名の選手の入場です」
声はルミエールお姉様だった。
「まず一人目は全女子生徒の憧れ、皆のお姉様。男なんかよりかっこいいぞ。男装の麗人、シャルロッテ・フォールビア!」
ルミエールお姉様の奇抜な紹介に呼ばれ、シャルロッテ先輩がリングに上がると、女子生徒を中心に悲鳴にも似た歓声が上がった。
なんかアイドルのコンサートみたいだ。
「続いて二人目は我がジルベスター王国、第一王子、クライブ・ジルベスター」
シャルロッテ先輩の時と違い、普通に紹介された。まぁルミエールお姉様とクライブ先輩は仲がすごく悪いから変に悪口とか入ってなくて、安心もした。
クライブ先輩がリングに上がると、さすがに第一王子だけあって大きな歓声が上がったが、シャルロッテ先輩には負けている気がした。
「どんどん行きましょう。三人目は前年度下級生の部優勝者、皆から好かれる、パーフェクト紳士、アルバート・ヴェストリア!」
ルミエールお姉様、ノリノリだな。
アルバート先輩がリングに上がると、歓声が上がった。シャルロッテ先輩とは違う凄さがあった。
アルバート先輩は気さくで優しいからこの人気は当然だろう。
そして、次は僕の番だ。ルミエールお姉様の紹介が怖い。
「さぁ、最後は史上初めて一学年での優勝を目指します。学園に舞い降りた天使にして、顔も良ければ、性格もいい。文武ともに秀でている完全無欠の我が学園の王子様! トーラス・ロンベスター!!!」
ルミエールお姉様、何を言うんだ。
僕はすごく、恥ずかしかったがリングの上に上がった。
すると、想像絶する歓声が競技場内を木霊した。




