敗退する者、勝ち上がる者
「始め!」
ガイウス先生の声が会場に響き、試合はスタートした。
両者共、様子を見てる感じだ。
僕は昔のアレックスなら試合開始と同時に突っ込んでいただろうなぁと少し懐かしさを感じた。
互いにジリジリと間合いを詰めていく。
そして、剣での打ち合いが始まる。
二人は打ち合いながら何かを話してるようだった。
しかし、歓声がすごく、聞き取る事が出来なかった。
両者共に決め手を欠く中、僕はこの試合、長期戦になるかな?と思った。
しかし、僕の考えとは裏腹に勝負はすぐについた。
アルバート先輩の勝利で。
僕は今、起きた光景に言葉が出なかった。
それは、突然だった。
アルバート先輩は少しアレックスから間合いを置いた。
そこでアルバート先輩はなぜかアレックスから目線をはずし、観客席、場所的に貴賓席の方を見ていた。
僕もつられて、貴賓席の方に目をやると、そこには僕がよく知る人物がいた。
ウィル先生だ。
貴賓席には軍服を着た10名ほど人が座っていた。その中にウィル先生がいた。
武術大会には毎年、軍の関係者が視察に来るとは聞いていたけど、まさか、ウィル先生がいるとは、僕はすごく驚いた。
ウィル先生を久しぶりに見れたのは嬉しかったけど、僕はすぐにリングの上の二人に視線を戻した。
すると、アルバート先輩の顔つきが今までとは比べようがないくらい変わっていた。
アルバート先輩は普段は柔らかい表情でとても気さくな先輩だ。
今までの試合でも、表情は柔らかく、何だか楽しそうに闘っていたのが印象的だった。
そこからは圧巻だった。
アルバート先輩の動きがこれまでと1段階上がった感じだった。
攻めにいく、アルバート先輩の剣をアレックスはかろうじて受けていた。
しかし、徐々に受けきれなくなって体勢を崩され始めた。
アレックスは攻勢に出ようといろいろ、試みるも、全てアルバート先輩に読まれてしまい、失敗に終わる。
ついに、持ちこたえられなくなり、アレックスは体勢を完全に崩されてしまった。
そこで、アレックスが降参を宣言して、試合は終了となった。
試合が終わり、アレックスがリングの下に降りてきた。
「すまん、トーラス。お前と決勝で闘うって約束したのに」
アレックスはそう言うと、僕から離れていった。
僕は何て言葉をかければいいかわからなかった。
続いて、アルバート先輩が降りてきた。
アルバート先輩はすれ違い様に『決勝で待っているよ!』と言った。
僕はアレックスの様子が気になったが、自分の試合に集中する事にした。
アナウンスで僕の名前が呼ばれた。
これまで通り、リディアナから剣とプロテクターをもらい、リングの上に上がる。
相手は三学年の生徒だ。
カルロスから聞いた話によると、去年の準決勝でアルバート先輩に負けたらしい。
なので、今年はリベンジに燃えているらしい。
試合が始まった。
僕も相手同様に燃えていた。
何せ、この闘いはウィル先生に見られているのだから。
情けない所は見せられない。
僕は足を使って相手を揺さぶった。
まだ13歳の僕は体が小さい。
だから、身軽さを生かした戦術を重点的に練習した。
相手の剣はかわし、僕は先輩の死角に回り込む。
最初は対応してきた先輩も次第に僕の速い攻撃についてこれなくなってきて、バランスを崩し始める。
僕はその隙を見逃さずに攻撃を畳み掛け、先輩を地面に倒し、剣を先輩に向けた。
先輩はそこで降参を宣言して、試合は終了した。
こうして、僕は決勝戦進出を果たした。
決勝戦は二時間後に行われる。
毎年、決勝戦は下級生の部、上級生の部、一緒の会場で行われるそうなので、僕は皆と合流して、決勝戦が行われるもう一つの会場に向かうため、観客席に向かった。
しかし、観客席にアレックスの姿はなく、皆に聞いても、戻ってきてないらしい。
僕は試合の後のアレックスの姿を思いだし心配になり、皆とアレックスを探す事にした。
戦闘シーンは難しいですね。




