武術大会一日目、終了!
あれから僕は自分のしでかした事の大きさを痛感した。
側を通る人、通る人、僕をじっと見つめてくるし、お礼を言ってくる人もいた。中には握手してくださいと言う人もいた。
なんだか、芸能人になった気分だった。
その後も試合は進んでいき、僕とアレックスは順当に次の試合も勝利をおさめた。
そして、三回戦も全ての試合が終わり、本日の全日程が終了した。
明日、最後の決勝戦まで行われる予定だ。
生徒達は寮に戻っていく中、僕らは医務室に向かった。
もちろんロイスの所に行くためだ。
医務室に行くと、ロイスは眠っていたので、医務室の先生から椅子を拝借して、話をしながら目覚めるのを待つことにした。
少し、話をしていると、運営委員の仕事を終えたリディアナが合流した。
さっきぶりにリディアナ顔を見ると、恥ずかしさで顔をうまく見る事が出来なかった。
リディアナも少しぎこちない感じだった。
なぜか、アンジェリカ、アレックス、イザベル、カルロスの四人がコソコソと話していた。
「あら、何なの? 二人のその雰囲気は? 何かあったの?」
アンジェリカの言葉はドキリとした。
僕は動揺するな、動揺するなと心の中で唱えていた。
「何、言ってるのアンジェ? いつもと変わらないわよ。ねぇ、トーラス」
「そうだよ。いつも通りだよ」
「そう。私の勘違いみたいね。ごめんなさい」
アンジェリカを含めて皆、なぜか笑っていた。
「それより、今日は二人共、お疲れ様! 明日も頑張ってね」
「おぅ。リディアナも仕事、お疲れさん。明日の試合を考えると、今からワクワクが止まらないぜ」
「二人が当たるなら決勝戦よね。でもアレックスはその前にアルバート先輩と当たるのよね」
「ああ。去年のチャンピオンだからな。気を引き締めて闘わないとな」
「トーラスはアルバート先輩の試合、見てたのよね。どうなの? アレックスは勝てそうなの?」
「どうだろうね。先輩もアレックスもまだまだ力を出しきってないからはっきりとはわからないな」
「そうなのね」
「武術大会が始まってから一学年の生徒が優勝した事はないらしいから二人には頑張ってほしいね」
カルロスから意外な事実を聞いた。
「そうなんだ。意外だな。これまでなんで一学年の生徒は優勝できてないんだろう?」
「図書館で武術大会の資料を見たんだけど、やっぱり優勝してるのは上級生の部なら六学年、下級生の部なら三学年が多いみたいだよ。だから、二学年時に優勝したアルバート先輩は相当な実力者だと思うよ。しかも、去年の決勝戦の相手は第一王子のクライブ様だからね」
第一王子は頭は空っぽだけど、武術の腕は相当なものだと聞いた事がある。
その第一王子に勝つのだからアルバート先輩はやはり侮れない。
アレックスは相当、苦戦しそうだな。
僕も他にも隠れた実力者がいるかもしれないから気をつけよう。
そうな感じで話をしていると、ロイスが目を覚ました。
「皆さん、ロイスが目を覚ましましたわよ」
「イザベル本当? 今、行くよ」
僕らはロイスが目覚めるまで一人ずつ交代で側に付き添っていた。今はイザベルの番だった。
「体の調子はどうかしら?」
「ありがとうイザベル。たくさん、眠ったから大丈夫そうだよ。傷は時間が経てば、治るって先生が言ってたからね」
「そうですの。良かったですわ」
「試合はどうなったの?」
「トーラスが英雄になりましたわ!」
「英雄?」
「英雄さん、説明してくださいな」
「イザベル、からかわないでよ」
「事実ですから。ねぇ皆!」
誰一人、否定してくれる人がいなかった。
その後、ロイスに試合で起きた事を話した。
ロイスはとてもびっくりしていたけど、とても喜んでくれた。
その後、ロイスは見回りに来た、ガイウス先生が寮まで送ってくれる事になったので僕らは先に寮に帰る事になった。
こうして、とても濃い武術大会一日目が終了した。
二日目も僕とアレックスは順当に勝ち進んだ。
そして次は準決勝だ。
準決勝から試合は1試合ずつ行われる。
第一試合は順当にアレックス対アルバート先輩となった。
僕は次に試合が控えているため、観客席ではなく、リングの横で試合を観戦する事になった。
僕はこれから衝撃の試合を目の当たりにするとは思ってもおらず、試合が始まるのをワクワクしながら待っていたのだった。
なかなか、イザベルとカルロスを話に入らせるのが難しいです。
というより、複数人の会話は難しいですね。




