賭け
あけましておめでとうございます。
最近、更新スピードが低下ぎみだったので今年は頑張りたいと思います。
部屋の中に入ると、中には四人の人物がいた。
四人はソファーに二人ずつ座り向かい合っていた。
一人目は生徒会長のノアールお姉様。
その隣にガイウス先生。
その向かい側に今回の事件の諸悪の根元である生徒。
ルミエールお姉様に聞いた話によると、名前はセベラス・トスティード。家は武門の名家の伯爵家らしい。
その隣はガムール先生。ルミエールお姉様によると、三学年のAクラスの担任だそうだ。
「お前ら何だ! 今は重要な話し合いをしているんだ。生徒会長に用があるなら後にしなさい!」
ガムール先生は少しイラついた感じで僕らにそう言った。
「重要なお話中に申し訳ありません。トスティード先輩が僕の次の対戦相手なので気になってしまいました。それでトスティード先輩の処分はどうなったのですか?」
僕は直球で聞いてみた。
「まだ話し合いの最中だけど、多分、失格になるわ。彼はそれだけの事をしたのよ」
ノアールお姉様は断固としてトスティード先輩を失格にしたいみたいだ。
しかし、トスティード先輩とガムール先生は納得してないみたいだ。
「生徒会長、それは横暴すぎる。俺は正々堂々闘った。相手の参ったの声が小さくて聞こえなかっただけだ」
トスティード先輩はいけしゃあしゃあと言った。
「トスティード君の言うとおりだ。今回の事件は対戦相手のロイス君が自分の力量も考えずに無謀に突撃してきたから起きた事であり、トスティード君の責任ではない。平民風情が思い上がったら痛い目に合うとロイス君も理解しただろう」
ガムール先生はトスティード先輩をがばい、尚且つロイスが悪いとまで言ってきた。
「先生の言うとおりです。平民が貴族たる俺にかすり傷だが傷を付けたんだ。当然の報いだ」
トスティード先輩とガムール先生の言葉に僕の怒りは頂点をむかえていた。僕はこの状態で行動に出ようとした。
しかし、後ろから手を引かれた。
後ろを向くとリディアナの手だった。
リディアナは小声で「落ち着きなさいトーラス!あなたの取るべき行動はそれではないでしょ!落ち着くまで手を離さないからね」
リディアナのおかげで冷静になれた。相当、頭に血が上っていたみたいだ。こんな状態ではうまくいくこともうまくいかないだろう。
僕はリディアナの手を握りながら落ち着け、落ち着けと念じた。
落ち着きを取り戻した僕はリディアナの手を握りながら周りを確認した。
なぜかルミエールお姉様は僕らを見てニヤニヤしていた。
他の四人は僕らには目もくれず話し合いを再開していた。
「あなた方がどういう考えを持とうと私の判断は変わりません。あなたのした行為は最低の事です。先生も生徒に教える立場の人間とは思いません。この事は学園長に報告させていただぎます」
「横暴だ。いくらあなたがこの国の第一王女であってもそんな権限はない!」
ガムール先生は少し焦ったように言った。
「私は第一王女の立場で言っているのではありません! この学園の生徒会長と言っているのです。あなたが何と言おうと私の考えは変わりません」
話し合いは両者共に平行線を辿っていた。
すると、これまで無言だったガイウス先生が口を開いた。
「トーラス、君はトスティードの次の対戦相手だろ。そんな君に問う。君はトスティードと闘いたいかい?」
ガイウス先生は真剣な目付きで僕を見て問うてきた。自然と他三人の視線も僕に移った。
「そうですね。武門誉れ高いトスティード伯爵家の先輩とは是非闘いたいですね。後、借りも返したいですしね」
僕の言葉に
「トスティード先輩は僕の事、覚えていないんですか?」
僕の言葉にトスティード先輩は僕の顔をじっと見つめて
「お前はあの時の」
「思い出しましたか。そうですよ。あの時はとてもお世話になりました」
「トーラス君、彼と知り合いだったの?」
僕の後ろにいたルミエールお姉様からだった。
「はい。入学して少ししてからリディアナと街に買い物に行ったのですが、帰りに馬車を待っていると先輩ともう一人の先輩に絡まれました。馬車を譲れと迫ってきましてリディアナを殴ろうとしました。偶然居合わせたアルバート先輩に助けていただいて無事でしたが」
僕が殴られた事は黙っておく事にした。言ったらルミエールお姉様が暴走しそうだからだ。
「アルバートには感謝ね。だから二人ともアルバートと知り合いだったのね。納得だわ」
そんな中、再びガイウス先生から問われた。
「君はそんな目に合ったのにトスティードと闘いたいのかい?」
「はい。だって試合だったら正々堂々、先輩をこてんぱんに出来るじゃないですか」
僕は笑みを浮かべながら言った。
「お前、いい度胸だな。お前ごときが俺に勝てると思っているのか?お前は貴族か?」
「僕の父は子爵を賜っています。それが何か?」
「子爵家の分際で伯爵家の俺に喧嘩を売るとはお前はアホか」
「あなたは本当に身分に拘りますね。あなたはまだ家を継いでいないただの人間だっていう自覚ないんですか? あなたみたいな愚かな人が跡取りだなんてトスティード伯爵家も終わりですね」
僕はトスティード先輩を煽った。
すると、先輩は立ち上がり、僕の胸ぐらを掴んで殴りかかってきた。
僕は振りほどいて言った。
「先輩、賭けをしませんか?」
「何だと!」
「次の試合で勝った方の言うことを負けた方が一つ聞く。どうでしょう?」
「いいだろう。その言葉に二言はないだろうな?」
「もちろんですよ。先輩が勝ったら何でも言うことを聞きますよ。勝てればね」
「あなた達! 何を勝手に話をしているの。私はトスティード君の出場を認めてないわよ」
ノアールお姉様が間に入ってきた
「トーラス君も何を言っているの。あなたは1学年、トスティード君は三学年なのよ。体格も違うでしょ」
「勝手に話を進めてしまいすみませんお姉様。しかし僕は彼を許す事が出来ません。大切な友人のロイスをあんな目に合わせた人を! 心配しないでください。僕はこれでもそこそこ強いんですよ」
僕はノアールお姉様の目をじっと見つめて言った。
「わかりました。この闘いを認めましょう。しかし、賭けは認めません。トーラス君が勝てばトスティード君にはロイス君に謝罪してもらいます。そして何らかの処分を下します。トスティード君が勝てば今回の件は不問とします。その条件で良ければ認めます」
「僕に異論はありません」
「俺も無い。万に一つ、こいつに負けることなんてないからな」
「ガイウス先生、審判をお願いします。どちらかがやり過ぎた場合止めて下さいね」
「了解だ。トスティードは下がっていいぞ」
ガイウス先生がそう言うと先輩は部屋を出ていった。
「ガムール先生、あなたの処分は後で学園長から下るでしょう。もう行っていただいて結構ですよ」
ノアールお姉様がそう言うとガムール先生はうつ向いたまま部屋を後にした。
そして、部屋には僕、リディアナ、ノアールお姉様、ルミエールお姉様、ガイウス先生の五人となった。
「トーラス君、本当に大丈夫なの?」
ルミエールお姉様は心配そうに聞いてきた。
「もちろんですよ。心配しないでください」
まだ少し心配そうなルミエールお姉様にリディアナが口を開いた。
「ルミエールお姉様、トーラスは本当に強いんですよ。ですよねガイウス先生」
「そうだな。俺はトーラスほど筋がいい生徒は初めてだよ。現段階でも力はトスティードより上だよ。俺が保証する。それじゃあ俺は失礼するよ」
ガイウス先生はそう言うと部屋を後にした。
ガイウス先生の言葉にやっと安心してもらえたみたいだ。
そのあとはルミエールお姉様とノアールお姉様が暴走して大変だった。
僕とリディアナは二人から何とか逃れ部屋を後にした。
「リディアナ、本当にありがとう! リディアナのおかげで冷静になれたよ」
「どういたしまして.試合頑張ってね.ぎたぎたにしちゃってね.でも冷静にね!」
「また頭に血が上ったらリディアナの事を思い出すよ」
僕はそう言うと、リディアナの手を握りしめた。
「どうしたの?」
「ごめん。急にリディアナの手を握りたくなったんだ」
「何よそれ!」
「リディアナの手は温かいね。とても安心する」
「もう。じゃあ手を繋いで行きましょう」
僕の心臓はとてもドキドキしていた。
この気持ちは……
僕らは手を繋いだまま医務室にいるロイスの元に向かった




