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脳筋王子と引きこもり王子

 ノアールさんに連れられて僕とリディアナは生徒会室にやってきた。


「はい皆、注目! 生徒会新メンバーを連れてきたわよ。それじゃ二人とも自己紹介してちょうだい。まずはトーラス君からお願い」

「僕の名前はトーラス・ロンベスターと言います。この度は生徒会の一員になる事が出来てとても光栄に思っています。まだまだ未熟者ですのでご指導よろしくお願いします」


 僕は不快に思われないように気を付けて自己紹介した。すると先輩方の中の男子生徒の一人が立ち上がり言った。


「なんだよ。今年の一年の首席はマークウェルの養子君だと思ってたのによぉ。こんな聞いたこともない奴に負けるなんて大した事ねぇな。お前の家の爵位は何だ?」


 何だこの人。何でこんなに上から目線なんだろう。

 僕は友達のカルロスの事を侮辱されてとても苛ついた。しかしここは冷静になって答える事にした。


「子爵家の者です。それがどうかしましたか?」

「お前はまさか俺の事を知らないのか? 俺様はクライブ・ジルベスターだ。つまり王族だ。頂点に君臨する存在だ。俺の言いたい事はわかるな?」


 まさかの第一王子だった。噂には聞いていたがそれ以上だった。武術の腕はピカイチだが頭は空っぽの脳筋王子。この人と半分血が繋がっていると思うと少し悲しくなった。


「すみません。先輩の言っている意味がわかりません」


 僕の答えに第一王子はあきれた顔を見せる。

 意味がわからない。こちらの方こそ呆れてるよ。


「わかんねぇ奴だな。俺を敬えって言ってんだよ。たかが子爵家のお前だ。第一王子である俺の下についていた方がいいぜ。なんたって俺様はこの国の次期国王なんだからな。わかったらこれからは俺の事はクライブ様と呼べ! いいな?」


 何この生物。助けを求めて周りを見渡すと皆さん呆れた顔をしていた。察するに第一王子のこういった行動は日常茶飯事なのだろう。僕が色々と考えていると助け船がでた。


「クライブ、あなたはいつになったら王族として誇りある行動を取れるようになるのかしら。私は恥ずかしいわ。本当に情けない。トーラス君、ごめんなさいね。愚弟が失礼な事を言って。今のは忘れてちょうだい。生徒会は身分なんて関係ない公平な組織だからね」


 ノアールさんのおかげでこの場はなんとかなりそうだ。


「全然、気にしていませんよ。お気遣いありがとうございます。クライブ先輩もこれからよろしくお願いします」


 僕は満面の笑顔で第一王子にそう言うと第一王子はしぶしぶ『よろしく』と言った。


「それでは気を取り直してリディアナさんお願いします」

「私の名前はリディアナ・アシュレーと言います。まだまだ未熟な私ですが少しでも生徒会の力になれるように頑張ります。ご指導よろしくお願いします」


 リディアナは空気を読んで無難に自己紹介をした。


「じゃあ二人ともこの席に座ってね。今度は生徒会長メンバーが自己紹介するわね。それじゃあメルクリオからお願い」


 ノアールさんの言葉に生徒会側の自己紹介が始まるかと思いきや部屋の中を静寂が包みこんだ。

 なぜか誰も立ち上がらない。名前からして第二王子だろう。こちらの王子も何か問題がありそうだ。


「メルクリオ、あなたは本ばっかり読んでないでさっさと自己紹介しなさい」


 ノアールさんも大変だなぁ。こんな面倒くさい二人を擁しながら生徒会長を務めなくてはいけないなんて。

 ノアールさんの言葉のおかげでやっと一人の男子生徒がしぶしぶ立ち上がり自己紹介を始めた。


「メルクリオ・ジルベスターです。よろしくお願いします」


 それだけ言うと第二王子は席に座り再び本を読み始めた。

 僕は第二王子の噂についで思い出していた。

 第二王子は学力面は優秀だが人見知りで普段は本ばかり読んで部屋に引きこもっているらしい。なので裏では引きこもり王子と呼ばれているそうだ。二人の王子を足して2で割ったら丁度良いと言われている。

 ノアール様はあきらめた顔をして次の人に順番を回した。

 次の人は無難に自己紹介を済ませ次は三学年の人の番になった。


「前に会ったの覚えているかな? 私の名前はアルバート・ヴェストリアと言います。君たちの事を歓迎するよ。わからない事があったら何でも聞いてくれ。よろしく頼むよ!」


 アルバートさんは前、リディアナと街に出掛けた時に帰り際に上級生に絡まれたのを助けてくれた人だ。


「その節はありがとうございました。また会えて嬉しいです。よろしくお願いします」

「私もアルバート先輩には感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします」


 僕とリディアナはアルバートさんにお礼を言った。アルバートさんの対応はとても紳士的でどこかの誰かさんに見習ってほしいと思ってしまった。

 その後も自己紹介は続いた。案の定、第一王子の自己紹介はノアールさんによって飛ばされた。

 そして、トリを務めるのはノアール生徒会長である。


「最初に会った時に軽く自己紹介をしたけど念のためもう一度言うわ。私の名前はノアール・ジルベスターよ。生徒会長を務めているわ。何か困った事があったら私に何でも相談してちょうだい。あと二人には気軽にお姉様と呼んで欲しいわ。あと二人ここにいない生徒がいるんだけど六学年ですのであまり生徒会室に顔を出しません。なのでまた別の機会に紹介します。基本はここにいる10人が中心となって生徒会を運営します。以上で自己紹介を終了するわね。それじゃあ本日の会議を始めます。二人はわからない事があったら随時聞いてね」


 自己紹介も終わり、ついに生徒会活動が始まった。




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