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略奪者の末路

 僕らがガジルたちを連行して広場に到着すると、そこにはセバスお父様、エマお母様、リネット以外にこの町の住人がたくさん集まっていた。

 実な二人にお願いしたのは、住人たちを説得して広場に集まってもらうことだった。


「旦那様、罪人を連れて参りました」


 レイトンさんがそう言うとセバスお父様は『よくやった』と言い僕らを笑顔で出迎えてくれた。


「リムロスの皆、罪人は全て捕らえた。安心してくれ。この町の脅威は去った。皆様に怖い思いを強いてしまいすまない。このロンベスター子爵当主としてお詫びする」


 セバスお父様はそう言うと頭を下げた。エマお母様も隣で頭を下げていた。


「頭をお上げください。セバス様達には何一つ責任はございません。全て私の軽率な行動が起こしてしまった結果なのです。如何様に罰をお与えください。申し訳ございません」


 男性はそう言うと地面に膝をつき頭を下げた。


「カイル、確かにお前の行動によって起きてしまった事であるのは間違いない。しかしお前のとった行動は間違いではないと私は思うぞ。人助けはいいことだ。お前が間違えたのはガジルを信用しすぎだ事だ。普段、慎重なお前がどうして簡単にガジルを信じたのだ。私はそれだけがわからないのだ」


 この男性はやはり町長のカイルさんのようだ。

 セバスお父様の言葉にカイルさんは事情を話し始めた。


「セバス様はもちろんご存知だと思いますが、このリムロスの町は15年前まで前市長の悪行により衰退の一途を辿っておりました。セバス様が視察に訪れた際に事態に気付いていただき前市長を解任していただき、この町は救われました」

「もちろん覚えている。忘れられる訳がないだろう。前市長を解任してお前を任命したんだ。しかし今、そのことが今回の事件と何か関係があるのか」

「はい。実はそこにいるガジルは前市長の一人息子なのです」


 カイルさんの言葉に広場に集まった人々から悲鳴が聞こえた。


「どういうことだ。お前はガジルが前市長の息子だと知っていて側に置いたというのか。お前が一番わかっているだろ。前市長がこの町で行っていた悪行の数々を! それでなぜそういう行動に至ったのだ!」


 セバスお父様は怒りをあらわにしてカイルさんに言った。


「もちろんでございます。私は前市長のそばでずっと見ていましたから」


 セバスお父様は『ならどうして?』と嘆いた。


「彼が衰弱した姿で私の前に現れた時、私は気付きませんでした。しかし彼を見ている内に誰かに似ていると感じました。そして名前を聞いて確信しました。前市長の息子のガジルだと! 最初は何かあるのではないかと疑いました。しかし体調が戻り接しているうちに考えを改めるようになりました。親が悪人だろうが子どもが悪人になるとは限らない。私はそう思うようになっていました。だから信用してしまいました」


 カイルさんの説明が終わると丁度、ガジルが目を覚ました。


「ガジルとやら。目覚めたようだな。お前の企みは潰えた。なぜこんな事を仕出かしたのか話してもらおうか」


 セバスお父様の言葉にガジルは悪態をつきながら言った。


「この町は元々、俺たち家族の物だったんだ。俺が好きに支配して何が悪い!」


 ガジルは悪びれる様子もなく悪言を吐いた。

 僕はそんな彼をとても哀れに感じた。


「ガジルさん、あなたはとても哀れですね。あなたの周りではあなたを正しい道に導いてくれる存在に出会うことが出来なかったのですね」


 僕の言葉にガジルは激昂した


「元平民のガキの分際で俺の何がわかる! 運良く貴族になりやがったお前に!」


 ガジルは僕を睨み付けていた。


「あなたの事は知りませんがあなたを正しい道に導こうとした人はいるじゃないですか?」

「そんな奴いねぇよ」

「カイルさんがいるじゃないですか。カイルさんはあなたの事を信じたんですよ。あなたは騙すための演技だったかもしれませんが、カイルさんは前市長の息子ではなく、一人の人間として見てくれていたんですよ。それを裏切ったのはあなただ。あなたは自分が変われるチャンスを逃したんですよ。あなたはやってはいけない罪を犯しました。あなたにはもう会うことはないでしょう。サヨナラガジルさん。僕はあなたが得られなかった生活をこれからも満喫していきます。だって僕には僕を手助けしてくれるたくさんの人達がいますからね」


 僕はそういうとガジルの元を離れ町の人たちの方へ行った。すると僕は女性に声を掛けられた


「トーラス様、町を救ってくださりありがとうございます。何か私たちにあなた方に返せるものはございますか?」


 その声の女性はマイサさんだった。


「この町を救うことが出来たのはマイサさんに話していただいた情報のおかげですよ。だからこの町を救ったのは町の人達の町を救いたいと願う思いですよ。僕らは少し手助けをしたにすぎません。これからもこの町を素晴らしい町にしてください。僕の願いはそれだけです」


 僕はそう言うとセバスお父様に一言声をかけてフロース、リネットと共に宿屋に戻った。後はセバスお父様とカイルさんの仕事だ。僕がこれ以上でしゃばる場面じゃないと思う。

 その後、戻ったセバスお父様に事の顛末を聞いた所、ガジルと盗賊たちは様々な罪で王都に送られたそうだ。

 カイルさんは責任を取り町長の座を降りると言っていたそうだが町の人々の『辞めないで!』という言葉とセバスお父様の『責任を感じているのならお前の努力でこの町をより良い町にして見せなさい!』という言葉に後押しされて町長を続ける事になった。

 僕はこの町に着いてやっと落ち着いて眠る事が出来る。明日はこの町を出て次の村を目指すことになっている。僕はいつもより早くベッドに入るとあっという間に眠りに落ちていた。



ブックマーク、文章評価、ストーリー評価ありがとうございます。とても嬉しいです。これからも頑張って書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

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