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反撃の時間

 町長宅に着くと、ガジル自ら出迎えに出ていた。

 回りには衛兵の格好をした男が3人。多分こいつらが盗賊だろう。


 中に入り部屋に案内され食事がスタートした。セバスお父様とエマお母様は僕に言われた通り僕を溺愛している演技をしてもらっている。僕も合わせて演技した。

 するとやはりガジルは僕に対してあの目を向けてきた。もちろん僕以外に気付かれないようにだ。

 しかしある瞬間、ガジルは僕の後ろに目線を送り釘付けになっていた。その視線の先はもちろんレイトンだ。レイトンは今、演技で僕を憎らしげに見ているはずだ。それに気づいたのだろう。 

 僕は今だと思い言葉を発した。


「レイトン、不愉快だ。食事が不味くなる。僕の側から離れてくれないかな。お父様からも言ってくださいよ。僕、レイトン嫌いなんですよ」

「レイトン下がれ。私の大事なトーラスに何かしたのか。お前の顔なぞ見たくないわ。今までご苦労様だった」


 セバスお父様が会心の演技をするとレイトンさんもそれに答えて僕を睨んで部屋を後にした。


「すまんな町長、食事を続けよう」


 セバスお父様がそういうと食事が再開され様々な偽の情報をガジルに与えつつ食事は無事に終了し、僕らは家を後にした。


 次の日、外に出ていたリネットから報告が入った。


「トーラス様、無事にレイトン様がガジルに気に入られた模様です。計画は順調との事です」


 僕はリネットの言葉に安堵した。


 そんな時、セバスお父様の元にガジルから書簡がもたらされた。


「トーラス、ガジルが君とお近づきになりたいから家に来て欲しいと言ってきたぞ」


 僕は計画通りだと思いつつ、セバスお父様、お母様に前もって言っていた事を実行してもらうように言い、フロースと一緒に町長の家に向かった。

 屋敷に着くとガジルの出迎えにあった。


「トーラス様、家までお越しいただきありがとうございます。本当でしたら私が迎えに行かなくてはいけませんでしたが、仕事が少し残っておりましたのでご容赦ください。では中でお茶でもいかがですか? とても美味しいお茶を手に入れたんですよ」

「本当ですか。僕、お茶が大好きなんですよ。お茶に目がなくてお父様にたくさんねだっているんですよ。お父様もお母様も僕に甘いからね」


 僕はガジルを煽るように喋った。

 中に入ろうとすると、リネットの声が聞こえた。

「トーラス様、遅くなりました。トーラス様が欲しいと言われていた物は買って宿屋に送りました。ご安心ください」


 リネットは僕にそう言うと離れていった。

 リネットの言葉に僕は安心した。

 どうやらレイトンさんはカイル殿たちの救出に成功したようだ。


 中に入ると部屋に案内され、椅子に座った。ガジルも机を挟んで正面に座った。後ろには衛兵が2人待機している。僕の後ろにはフロースが控えている。


 ガジルは自らお茶を器に注ぎ、僕に勧めてきた。


「さぁトーラスどうぞお飲みください。天に上る美味しさですよ」


 ガジルがそう言うと、僕は器を手に取り飲もうと口に近づけた。

 その様子をガジルは真っ直ぐに見つめていた。

 僕は彼を見ながら器を下ろし、反撃を開始した。


「あなたは僕がこのお茶を飲むと本当に思っているのですか?」

「どうなさったのですか?」

「僕がわかっていないとでも思っているのかい? このお茶には毒が入っているのだろう」


 ガジルはなぜわかった! と言わんばかりの顔をした。

 ちょっと顔に出すぎだよ。

 人を騙すならポーカーフェイスが基本でしょ。


「毒? 何の事を言っているんですか。なぜ私がトーラス様に毒を盛ろうとするのですか?」


 ガジルはまだイイ人の仮面を脱がない。


「僕がこの町で行った行為を知らないと思っているのですか。もう演技はしなくていいですよ。もう全て分かっていますから偽町長さん」


 僕の言葉にガジルの表情が一変し、ついに本性をあらわにした。


「元平民のバカ息子だと思っていたがこちらが下手に出れば付け上がりやがって! お前が置かれている状況を理解出来ていないようだな。お前ら来い」


 ガジルはそう言うと2人の男が前に歩いてきた。


「もういい。殺せ! 屋敷を血で汚したくはなかったがしょうがない」


 ガジルは二人に命令すると男たちは剣を抜き迫ってきた。僕は瞬時に席を立ち後ろに下がりフロースから剣を受け取った。


「元平民のお坊っちゃんが剣士の真似事かい? まぁ少しでも抵抗してみたらいいよ」


 ガジルはあざ笑っていた。

 盗賊二人は一人は僕に一人はフロースに向かってきた。

 僕は相手の動きを見ながら剣をかわした。

僕が見る限り二人ともたいした腕ではない。僕とフロースはあっけなく敵を倒した。

 その様子を見ていたガジルは何が起こったのかわからないと言った顔をしていた。


「さぁこれで残すはあなただけですよ。どうしますか?」


 僕の問いかけにガジルは外に向かって叫んだ。


「お前も早く入ってこい」


 そのガジルの声に反応するように扉が音を上げ開き始めた。


「偶々、倒したからって図に乗るなよ。外の奴はこいつらより遥かに強いからな。お前らなんて瞬殺だ」


 ガジルはそう言うと扉の方を見た。しかしそこにあった姿は彼の思い描く人間ではなかった。


「この男もたいした事なかったですよ」


 そこにいたのはレイトンさんだった。


「レイトン、何をしている。早く俺を助けに来い!」


 ガジルはいまだにレイトンさんを味方だと思っているようだ。


「私共の大切な坊っちゃまにいろいろ言ってくださいましたね。頭が弱いのはあなたの方ですよ!」


 ガジルは呆気に取られた顔をしていたが、何かを思い出したのか我に返った。


「お前ら人質が居るのを忘れてないか。俺に何かあったら殺せと命令してあるんだ」


 ガジルは人質を殺すぞと脅しをかけてきた。


「形勢逆転したと思っているところ悪いですが、人質はもう確保してますよ。家の入り口で僕の侍女が言ってたでしょ。欲しいものは宿屋に送ったって。あれは人質を助け出したっていう意味ですよ。さぁこれであなたの味方は居なくなりましたをよ。どうしますか? 僕と勝負でもしてみますか? 」


 僕の言葉にガジルは一歩後ろに後退る。


「怖いですか?たかが12歳のこの僕が!」


 僕はガジルを挑発した。彼は許せない事をした。彼には報いを受けてもらわないといけない。少しくらい痛い目に会うべきだ。

 ガジルは倒れている盗賊の剣を拾い、僕に向かってきた。フロースが間に入ろうとしたが制して僕はガジルに向かった。ガジルの攻撃は遅く軽々、避けれた。僕は寸止めを繰り返しガジルに恐怖心を植え付けていった。


「あなたは口だけですね。どうしたんですか? 僕の事、元平民のバカとか言ってたじゃないですか? なるほど。あなたはそれ以下ってことですね」


 僕はガジルを煽りに煽りまくった。


「元平民の分際でほざくな!」


 ガジルは叫びながら剣を振りかぶった

 僕は剣を弾き飛ばし剣をガジルの首に押し付けて言った。


「怖いですか? でもね。町の人達はもっと怖かったんですよ。あなたのせいでね。サヨナラ偽町長さん」


 僕が脅すとガジルは気を失い倒れていった。

 一部始終を見ていたフロースとレイトンさんが顔を引きつらせながら近寄ってきて『お疲れ様でした。』と言ってくれた。

 僕らは気を失った奴等を縄で縛り町の広場まで連行した。


ブラックトーラス降臨です!

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