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不器用な女の子

 自己紹介が終わり休み時間に入り四人で話を始めた。


「だから言ったじゃない。女の子に気安く笑顔を向けるなって。あの笑顔でクラスの半分の女子は落ちたわよ」


 まず開口一番リディアナに突っ込まれた。


「トーラスは無自覚な分たちが悪いわね。これからは気を付けなさいよ」


 アンジェリカの忠告も入る。


「あの歓声の時の男子生徒のトーラスを見る目が怖かったよ」


 ロイスの衝撃の一言が入る。


 みんなから総突っ込みが入り僕はやっと理解した。絶世の美少年に転生していた事実に。

 前世で小説とかでは羨ましいなぁとか思っていたけど実際体験するとめんどくさい。なんというか嬉しいんだけど、複雑な気持ちだ。


 とりあえずは過剰な笑顔は控えようと思う。


「わかったよ。気を付けるよ。本当に僕は気づいてなかったんだよ。会う人、会う人、美形な人たちだったし。皆だって美男美女揃いじゃないか」

「まぁ否定はしないけどね。トーラスが異次元すぎるだけだもの。まぁこの話はもう止めましょう。終わらないわ」


 アンジェリカがそう言って僕の容姿の話は終わった。


 僕は自己紹介の時、気になっていた事を聞いてみた。


「イザベルさんが自己紹介の最後にリディアナを睨みつけてたんだけど何か因縁でもあるの?」


 僕の言葉にリディアナとアンジェリカは呆れた表情をしていた。


「アナは小さい頃から面倒見が良くて同世代の中ではとても人気があったの。そんなアナにいつも敵対していたのがイザベルよ。公爵令嬢っていうこともあって昔から周りからちやほやされて育った彼女は自分より人気があるリディアナを妬んでるのよ。本当に昔から嫌な子だったわ」


 アンジェリカが分かりやすく説明してくれた。


「分かりやすい説明ありがとうアンジェ。本当に嫌になるわ。あの一方的な敵対心。私は何とも思ってないのに。いつもお茶会とかで突っかかってきてうんざりなのよ。あの子、バカだから学園では絶対にクラス別れると思ったのに最悪だわ」


 リディアナは言いたい放題言っていた。


「聞き捨てなりませんわ。身の程を弁えてないのは貴方の方でしてよ。伯爵令嬢の分際で公爵令嬢の私に楯突いてるあなたが悪いのですわ。本当にあなたは小さな頃からせせこましく人の面倒を見て人の気を引いてましたわよね。もうそろそろ自重なさったらいかがかしら。今度の標的はトーラス様のようですけど、貴方では釣り合いませんわ。トーラス様のような絶世の美少年の隣には同じ絶世の美少女である私が相応しいんですわ。理解したならトーラス様から離れなさい!」

「もう我慢も限界だわ。イザベル、あなたは本当に変わらないわね。毎回毎回私に突っかかってきて、それに何様よ。公爵令嬢? あなた何様のつもりよ。偉いのは貴方のお父様であってあなたではないわ。それなのにいつも公爵令嬢という肩書きを使って取り巻き増やしてふんぞり返っていい気になってやりたい放題。あなた裏で皆があなたの事、どういう風に思ってるか知らないでしょ。あなた、このままの性格で大きくなったら将来周りに誰もいなくなるわよ。今はまだ子供だから許されてるけど、これからは違うわ。変わるなら今なのよイザベル」


 リディアナのイザベルを思っての言葉だった。


「私はあなたのそういうところが嫌いなんですわ。あなたに言われなくても分かってるわよ。表では私にいい顔する子達が裏で私の事をどう思ってるかなんて。でもどうしようもないじゃない。私みたいな人間、公爵令嬢っていう肩書きが無くちゃ誰も寄って来ないのよ。貴女みたいに人を惹き付ける魅力が私には無いのよ」


 イザベルの本当の気持ちがこぼれ出た。


 そうなんだ。イザベルは誰かに自分を見てほしかったんだ。しかし、とても不器用で身分を使って周りに人を集める事しか出なかったんだ。

 誰だって一人ぼっちは嫌なんだ。それは僕だって十二分に理解している。僕はマアサに救われた。きっとイザベルはリディアナに助けて欲しかったのかもしれない。


「イザベルさん。君の気持ちはとてもよく分かるよ。でも方法が間違っていたんだ。もっと自分自身を見なくちゃダメだよ。きっとイザベルさんが気づいていない良いところはたくさんあるはずだよ。変わろうよ。まだ間に合うよ。だって僕らはまだ子供なんだから」


 僕の言葉にイザベルは下を向いて何か言いたそうだった。


「もう。焦れったいんだから。あなたが私に向ける熱意を他の人達にも向ければいいだけじゃない。そりゃあ。ムカつくこともいっぱい言われたし、されたけど、それはやり方を間違えただけ。私はそんな事を許せないほど心の狭い女じゃないわよ」


 リディアナの言葉にイザベルは前を向いた。


「あなたは私がどんなに嫌な事をしても私から逃げない唯一の人でした。私はいつしか貴方に会うのが楽しみになっていましたわ。でも私はやり方を間違えてしまったみたいですわね。ごめんなさいリディアナ。こんな不器用な私だけど友達になってくれないかしら」

「言えるじゃないの。もちろんよ。私からも言うわ。私と友達になってください」


 リディアナとイザベルは抱きあっていた。イザベルはリディアナの腕の中で泣いていた。悲しみの涙ではない。嬉し泣きだ。


 そして、いきなりクラス中から拍手が起こった。


 僕は周りをみると、クラスのほとんどの人がリディアナとイザベルの一部始終を見ていたみたいだ。教卓の方を見ると先生も拍手していた。時計を見るととっくに休み時間は終わっていた。


「とてもいいシーンのところ悪いが休み時間は終わっているぞ。皆、イザベルとリディアナのように良い友達を作れるように頑張ってほしい。それではホームルームの続きを始めます」


 先生の言葉にリディアナもイザベルも顔を真っ赤にしていた。


 その後、授業のカリキュラムの説明などがあり、二日目は終わった。明日から本格的に授業が始まる。



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