気持ち悪い笑顔(オズワルド視点)
オズワルド視点です。
俺の名前はオズワルド・マークウェル。マークウェル公爵家の長男として生を受けた。
家は代々この国の宰相を輩出する家柄で現当主の父も宰相を務めている。
小さい頃から頃は将来お前は宰相になる人間なのだからすべてにおいて完璧でなければならないと言われて育った。
小さい頃から様々な事を学んできた。自分に普通の子供のように遊ぶ余裕はなかった。ただひたすら父に言われた事を遂行するマシーンと化していた。僕は人間に必要な大切な何かを育むことなく成長していた。
学園に入学する年になり僕は学園に入学した。
父からは将来のために人脈作りをしろと言われて貸しをいっぱい作っておけと言われた。課題もたくさん出された。
僕は毎日、その課題をこなしながらクラスメイトととも偽りの笑顔を貼り付けて対応していた。
勉強が苦手な子がいたら丁寧に教えたし、先生の手伝いは率先してやった。僕は学園で良い子を演じていた。自分でいうのもなんだが僕の周りにはいつも人が溢れていた。しかし、僕はかすかな疑問を感じ始めていた。周りの人からいくら称賛されようがどれだけ勉強しようが満たされなかった。
そんな時だった。彼女と出会ったのは。
いつものようにある女の子に勉強を教えていた。
その女の子は先生が無理やり連れてきたみたいでとても嫌そうな顔をしていた。
僕は気にせずにいつも通り笑顔で教えていたら女の子は僕に向かって言葉を投げ掛けてきた。
「あなた、何て言う顔をしているの? 私にそんな顔を向けないでくれない?」
彼女の言葉に少しドキリとしたがはぐらかした。
「ひどいなぁ。自分でいうのもなんだが顔は整っている方だと思っていたんだけど、君には不快に感じるんだね。ごめんね。でも先生の頼みだからね。勉強は続けさせてもらうよ」
「顔の事をいっているんじゃないわ。私が言っているのはあなたの気持ち悪い笑顔の事よ。あなた気付いてないの? 顔は笑ってるけど目は笑ってないわよ。あなたの事に私が口出しする事じゃないのはわかっているわ。でも私は見過ごせないのよ。子供の癖に達観しすぎたあなたを見てるとイライラしてくるの。一つ聞いていい? あなた今まで楽しいと感じた事ある?」
彼女の言葉に僕は考えた。しかしいくら思い返しても楽しかったことなんて思い浮かばなかった。
「その顔はないみたいね。あなたはこのままでいいの? あなたの家が代々宰相を輩出している名家であるのは誰でも知っている事実よ。あなたはこのまま自分に嘘をつき続けながら大人になってお父様の後を継いで宰相になるの? あなたはそれでいいの? 私は嫌よ。あなたみたいな人間がうわべだけ成長して偉くなって国を動かす存在になるなんて絶対に嫌! もちろん勉強は必要だと思う。でもそれだけじゃないでしょ。心を置き去りにしてるんじゃないわよ。今ならまだ間に合うわ。自分の思う通りに生きるべきよ。あなたとても優秀だもの。道を踏み外さなければきっと素敵な宰相になれるわよ。私は人間味あふれる素敵な人にこの国の宰相になってほしいの。出来ることがあれば私も協力するから、今決めて! このままの自分でいいるのか。私と一緒に今の自分を変えるのか!」
彼女の言葉にかすかに感じていたモヤモヤの正体を知った。そうだ。僕は今まで父に言われるまま物事をやってきた。
でも本当は自分の意志でいろんな事をやりたかった。我慢したくなかった。僕の気持ちは決まっていた。
「僕は変わりたい。自分の好き事をたくさんやりたい。だからお願い、変わるための手助けをしてほしい!」
僕の言葉に彼女は微笑んだ。
「あなた、そんないい顔も出来るんじゃない。今のあなた、かっこいいわよ。これから頑張りましょう」
僕は彼女の笑顔を見て心がドキドキしていた。
今、思うとこの瞬間僕は彼女リディアに恋をしていた。
その後のリディアの行動はすごかった。私の父に会いに公爵家に突入して父に事情を説明。僕に好きな事をさせて欲しいと頼みこんでくれた。話を聞いた父は何と僕に謝ってきた。
僕に宰相になって欲しかったのは事実で過剰に完璧を求めすぎてしまったと。父は僕をここまで追い詰めていると思っていなかったみたいだ。最初はそうだったみたいだが途中からは宰相になれなくても良い人生を送ってくれればいいと思ったそうだ。僕は父の言うことは僕を宰相にするためにしている事だと思っていた。しかし、今回のことでただ僕によい人生を送ってほしいだけということもわかった。ずっと父の事が怖かった。しかし父の思いを知り今は全然怖くない。これからは仲良く過ごしていけそうだ。
「僕はやはり宰相を目指します。父のような立派な人間になります。そのために欠けていたものをこれからの学園生活で育んでいきたいと思います」
僕の言葉に父は微笑んでいた。
こうしてリディアのおかげで人生を180度変えることができた。
学園での生活はとても充実したものとなり様々な人が出会いもあった。
しかし遂にリディアに告白することが出来なかった。リディアにとって多分ずっと仲の良い友達だった。それ以上になる事はなかった。
そして今、俺は王宮で宰相補佐として働きながら休みの日や空いている時間は自分の好きな研究に没頭している。
リディアが国王陛下の側妃になった時は本当に落ち込んだ。一時期仕事が手に付かなくなるほどだった。(父に相当雷を落とされた)
それから10年が経ち、俺の研究の助手をとある少年がやっている。
名前はトーラス。最初は知らなかったが第三王子でリディアの息子だ。その事実を知った時俺は運命を感じた。トーラスを一人前に育て上げるのがリディアから受けた恩を返す事になるのだろう。
トーラスのやつは俺が嫉妬するくらい優秀だった。トーラスと勉強したりいろんな話をしながら自分自身も成長出来ていると実感できた。
トーラスに会えたことは幸運だった。今はトーラスがどれだけすごいやつになるか楽しみで仕方ない。もうすぐトーラスは学園が入学する。成長を側で見守れないのは少し寂しいが学園では様々な出会いが待っているだろう。俺がリディアに出会ったように。
俺の言いたいことは一つだ。好きな女を見つけたらガンガンいけということだけだ。
トーラスには俺のような思いをしてほしくないんだ。頑張れよトーラス!
オズワルドの口の悪さは小さい頃の弊害です。自由に生き始めているうちに普段のしゃべり方が雑になっていきました。公の場ではちゃんとした言葉使いです




