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母の本心

 オズ先生に挨拶をして書庫を後にした。

 部屋に戻ると、丁度、マアサが夕食を持ってきてくれた。

 夕食も終わり僕は気になっていたことを聞いてみた。


「マアサが王宮に来て僕付きの侍女になったのはなぜなんだい? 母と親友だって言っていたけど、マアサがここにいるのは母は関係してるのかい?」


 僕の問いにマアサは少し考えた後、口を開いた。


「何から話しましょうか? そうですね。まずは私とトーラス様の母君であるリディアの関係についてからお話しさせていただきます。私がリディアに初めて会ったのは12歳の時でした。学園に入学して初めて出来た友達がリディアでした。私は小さい頃は人見知りする子どもで学園に入学するときも友達が出来るかとても不安でした。しかし入学してすぐ席が隣になったのをきっかけにリディアと友達になることが出来ました。リディアはあまり話せない自分に根気よく話しかけてくれて私も次第に話せるようになってリディアの明るい性格に引っ張られて私もだんだん明るくなっていって他にもたくさんの友達が出来るようになりました。その中にウィルやオズもいました。そのまま私たちは学園を卒業してもずっと仲良しで私が結婚した後も頻繁に会いにきてくれました。そんな時ですリディアが国王陛下の側妃になると言ってきたんです。私は反対しました。私はリディアに幸せになって欲しかった。国王陛下の側妃になったら絶対に苦労すると思いました。だけどリディアはお腹に子どもがいると陛下を愛していると言ってきました。その言葉を聞いた時、私はリディアにとてもひどい事を言ってしまったんです。私はその言葉をずっと後悔していました。でもその頃、私のお腹にも娘が宿っていてそれから10年あまりの時間は育児に専念してリディアの事から目を背けてきました。そして数ヵ月前に育児も一段落してふとリディアの事を考えました。王宮でどうしてるかな? とかリディアの子どもは元気かな? とか思うようになりました。考えているうちに国王陛下のお子様の中でトーラス様の事だけ噂を聞かない事に疑問を感じました。その疑問は日に日に増していくばかりで、いてもたってもいられなくなりました。そして文官をしている夫にトーラス様の置かれている状況について聞き、私はその決意しました。王宮に言ってトーラス様を助けたいと! リディアにあの時の事を謝りたいと! 夫に1年間の期限付きで王宮に行く許しを得て私は王宮に向かいました。そこでリディアと再会しました。私はすぐにあの日の事を謝ろうと思いましたが言い出せずそうしている間にリディアが私に頼んできたのです。私には今の状況を変えることが出来ないと。だから私にトーラスを助けてほしいと。力になって欲しいと。私はそんなリディアに問いました。リディアにとって殿下はどういう存在なのか? トーラス様、リディアは何て言ったと思いますか?」

「……」


 僕はマアサの問いに答える事が出来なかった。


「世界で一番愛していると言っていました。トーラス様、私はずっと言いたかったんです。トーラス様はお母様に愛されているんです。今の殿下に対するリディアの態度では信じられないかもしれませんが信じてください」


 僕がお母様に愛されている。その言葉に涙が溢れてきた。僕はもうあきらめていたのかもしれない。母との関係はどうにもならないのではないかと思っていた。母にとって私の存在は邪魔なのではないかと思っていた。マアサは言葉でそれは違うと否定してくれた。他の誰でもない、マアサの言葉だから信じられるんだ。


「マアサの言うことだから信じるよ。マアサがいなかったら僕はまだ暗闇の中にいたかもしれない。そこから救いだしてくれたのはマアサなんだ。ありがとうマアサら。母の事を話してくれて、私を助けるために王宮まで来てくれて、いつか母と仲良く会話が出来る未来が訪れるように頑張るよ!」


 僕は新たなる決意を胸に抱いた。


 マアサは話し終え僕の寝仕度を整えて部屋を出ていった。


 今日1日はとても濃厚な1日だった。

よく眠れそうだ。僕はいつもより早めにベットに入るとすぐに眠りに落ちていった。


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