とんだ貧乏くじ
朝の鍛練を終え部屋に戻り湯あみを済ませた後、僕はベットに倒れこんだ。
生まれて初めてこんなに体を動かしたよ。
体もすごく疲れた。でもとても気持ちがいいんたんだ。前世ではろくに走ることも出来なかった。倒れこむまで運動したこともなかった。楽しい。本当に楽しい! これから毎日鍛練を続けられる喜びで顔のニヤニヤが止まらない。
そんな事を考えているとオズワルドさんの所に行く時間が近づいている事に気がついた。
もうそろそろマアサが来る時間だ。僕はすぐに準備を整えた。
「トーラス様お昼のお弁当をお持ちいたしました。失礼いたします。お体の方は大丈夫ですか?」
「体はくたくたなんだけどとてもいい気分なんだ」
「それはようございます。これからもっと体力が付いていけば他にもいろいろな事が可能になると思われますので頑張ってくださいませ。この後、書庫に向かわれると思うのですが私もお供させていただきたいのですがよろしいですか? 少し確かめたいこともありまして」
僕は確かめたいことってなんだろう? と少し疑問に思ったが書庫に行けばわかるだろうと思い。マアサを詮索するのは止めた。
「もちろんいいよ。準備も出来てるからもう出発しようか」
「かしこまりました」
こうしてマアサと共に書庫に向かった。
書庫に入ると、奥にオズワルドさんの姿を確認したのでそちらに向かった。
「オズワルドさん、おはようございます! 今日からよろしくお願いします」
僕がそういうと、オズワルドさんの視線は僕を通りこして後ろのマアサを見ていた。
なんかつい最近同じ光景を見た気がするんだけど……
「やっぱり先生というのはオズの事だったのね。ウィルの事があったからまさかとは思っていたのだけど思った通りだったわ」
するとオズワルドさんはウィルフリート先生の名前に反応した。
「なんでそこでウィルのやつが出てくるだよ」
オズワルドさんは少し嫌そうな感じを醸し出していた
「ウィルはここにいるトーラス様の武術の先生になったの。そしてあなが勉強の先生よ」
マアサの言葉にオズワルドさんは不機嫌そうに言った。
「マアサが様づけするってことはこいつが第三王子だったのかよ。とんだ貧乏くじじゃねぇーか」
「なんで王宮にずっといるのに、トーラス様の事知らないのよ。あと、殿下の前でその言葉づかい止めなさい。それにあなたトーラス様の頼みを断らなかったのでしょ。あなた、殿下の事気に入ったんでしょ。あなたがどうでもいい人間に冷たい性格なのは誰よりも私はよく知っているわ」
「第三王子の名前なんて知るわけないだろう。こいつのことは少しは骨がありそうだなぁくらいにしか思ってねぇよ。認めたわけではねぇよ。俺の口が悪いのは昔からだろうが。おまえは気にしないよな」
いきなり僕にふられて一瞬驚いた。
「僕は気にしませんよ。しゃべり方は人それぞれですし親近感があっていいですね」
「わかってるじゃねぇか。お前は見込みがありそうだな。特別にオズ先生と呼ばせてやろう」
「トーラス様! この男を図にのせないでください。トーラス様がいいならしゃべり方は目をつむりましょう。でも殿下の話し方に少しでも影響が出たら覚えておきなさいよオズ! 私、あなたと一生口聞きませんからね」
その言葉にオズ先生の顔は真っ青になっていた。
僕もマアサが怒っているのを初めて見たのでびっくりした。
話が一段落してこれからの話になった。
「俺は王宮で文官として働きながら週に2日ここで研究をしている。研究している時は俺の補助や雑用をやってもらう。終わったら勉強も教えてやる。他の日はお前に課題を出すから書庫にある本を使って解いてみろ。この書庫には自由に出入りしてかまわない。だが俺が触っていいといったもの以外触ったら殺すからな。覚えとけよ。まぁこんなところだ。それでいいか?」
「もちろんです。僕に異存なんてありません。これからよろしくお願いします」
僕の答えにオズ先生はにやりと笑いながら
「俺についてきてみろ。お前がくじける事なく俺に近づく事が出来たらお前は間違いなくすごい人間になれているはずだ。俺は甘くないからなそのつもりでいろ。それじゃあ飯食ったら始めるぞ!」
「はい!」
僕は気合いをいれて大きな声で返事をしてマアサに用意してもらった弁当を食べてからオズ先生の手伝いと雑用から仕事は始まったのだった。




