曲がり門の出会い
トーラス視点に戻ります。
書庫を出て部屋に戻るため歩き始めた。
もう少しで部屋に着く間際の曲がり角に差し掛かった時、僕に誰かがぶつかってきた。すごい力で僕は吹っ飛ばされて壁にぶつかりそのまま気を失ってしまった。
気を失う直前ぶつかった人が何か言っていたかうまく聞き取れなかった。
目が覚めると知らない天井だった。
周りを見渡すと医務室のようだった。体は少し痛むが大丈夫そうだ。僕が体の状態を確認していると男性が話しかけてきた。
「すまなかったな少年。体は大丈夫か? 用があり急いでいたんだ」
僕の目の前にはがっしりした体型の男性が立っていた。顔を見ると見たことがある顔だった。
そうだ! 書庫に行く途中にすれ違った人だ。
「体は少し痛むが大丈夫そうです。医務室まで運んでいただいたみたいでありがとうございます。用事は大丈夫ですか?」
僕は今の体の状態とお礼を行った。用事があり急いでいたのに僕をしっかり医務室まで運んでくれている。使用人に頼むことも出来ただろう。この人は悪い人ではないのだろう。
「用は君が眠っている間に済ませたよ。君が目覚めるまでここに居たかったんだが急用でね。申し訳ない」
僕は結構な時間眠っていたみたいだ。今何時だろうか?
「すみません。僕はどれくらい眠っていましたか?」
「四時間くらいだよ」
四時間も眠っていたのか。
「結構時間が経っているのですね。体も大丈夫そうなので、私は帰ります。本当にいろいろありがとうございます」
「こちらこそいろいろと迷惑をかけたな。何かお詫びがしたいんだが私に出きることなら何でも言ってくれ。そうだ自己紹介がまだだったな。私は王宮近衛隊所属のウィルフリートだ」
この人は軍人だったのか。この鍛えぬかれた肉体もうなづける。お詫びかぁ。厚かましいが僕には1つお願いしたい事が浮かんでいた。
当たって砕けろだ。駄目元でお願いしてみよう!
「僕の名前はトーラスと言います。お言葉に甘いて1つお願いがあります。僕に武術を教えてほしいのです」
勇気を振り絞って言うとウィルフリートさんは真剣な顔で僕に問うてきた。
「君は何のために武術を学びたいんだい? 生半可な気持ちならやめときなさい。武術はそんな甘いものではないよ。使い方を誤れば人を殺す事が出来るんだよ。君にその覚悟はあるのかい?」
ウィルフリートさんの言葉は僕の心に突き刺さった。そこまで深く考えていなかった。僕は何のために武術を学びたいんだろうか? 強くなりたい? 違う。僕は……
「強くなりたいんです。武術は体と共に心も鍛えることが出来ます。心技体すべてを鍛えて様々な人びとを助けたい。今はまだ少ないですが、自分の大切な人たちを守れる力が欲しいんです。僕はもう後悔したくないんです。諦めることは簡単です。でも僕はもうそんなことはしたくない。前向きに生きていくと決めたんです。そのための努力は厭いません。ウィルフリートさんお願いします。僕に武術を教えてください。大切な人を守る力を!」
僕の言葉を真剣に聞いていたウィルフリートさんは僕の目をじっと見て口を開いた。
「君の気持ちはわかったよ。君はまだ小さいのにすごい信念をもっているね。僕に協力できることならなんでもするよ。武術も教えよう。でもその前に体力作りだね。君を抱えた時にも思ったが、君は軽すぎるよ。僕は毎朝、朝練をしている。その時でよければいろいろ教えよう。それでいいかい?」
「はい。よろしくお願いします。先生!」
「先生かぁ。恥ずかしいなぁ。やるからには俺は手を抜かないぞ。そのつもりでいろよ。明日の朝練からスタートだ。近衛隊の隊舎の近くの広場でやるから朝6時に来てくれ。場所はわかるかい?」
場所はマアサに聞いたらわかるだろう。
「わかります。明日からよろしくお願いします」
「ああ。それじゃあまた明日な今日はゆっくり休めよ」
そういうとウィルフリートさんは部屋を出ていった。僕ももう一眠りしたら部屋に戻ろうと目を閉じた。
曲がり門の出会いを演出してみました。
普通は男の子と女の子ですか、男の子と男にしてみました。ある種の運命の出会いです。




