10年ぶりの再会(マアサ視点)
引き続きマアサ視点です。
一晩中考えた私は1つの考えを思いついた。
そうだ。王子には今専属の侍女はいない。それなら私がなればいい。さすがに専属侍女が付いたくらいで王妃様たちも何かしようとは思わないだろう。
そう思ったら早速、夫に提案してみた。
「ダメだ。なぜ君が王宮で侍女なんかやらねばならないんだ」
夫は少し怒りぎみに言ってきた。
私は引くわけにはいかない。絶対に夫を説得してみせる。
「あなたは知っているでしょ。リディアと私が親友だということを。なら分かるでしょ。私がこの状況を見過ごす事ができないの。リディアの息子を助けたいのよ。いえ違うわ。私、多分、償いたいの」
私はそう言うと夫にリディアとの最後の日の経緯を説明した。
「私はずっとリディアへの最後の言葉を後悔してきた。そして、リディアの最後に見た顔が忘れられないの。リディア達に何かしたいの。でもそれは私の後悔を少しでも少なくしたい自己満足かもしれない。それでも助けたい。親友であるリディアが笑っているところをもう一度見たいの。お願いラファエル!」
そう言うと夫は少し考えてから言った。
「わかった。但し1年だけだ。それ以上は認めない」
「ありがとうラファエル。愛しているわ」
そういうと私は夫に抱きついていた。
こうして私は王宮に行くことになった。
夫の協力もあり第三王子専属侍女になることが出来た。
あとでわかった事だが誰もなりたがる人がおらず侍女長もさすがに専属侍女がいないのはまずいと思っていたみたいで私からの要請は寝耳に水だったようだ。
そして、私は王宮で10年ぶりにリディアと再会することになった。
私はすごく緊張していた。
第三王子の専属の侍女になるわけだから当然母親のリディアと顔を合わすことになるのはわかっていた。
そして、侍女服に着替えてリディアの待つ部屋に行き扉を開けて入室した。
入るとそこには久しぶりに見るリディアの姿があった。昔より落ち着いた女性になっていた。リディアは私の顔を見てとてもびっくりしていた。
もしかしたら誰が来るか知らされてなかったのかもしれない。
それだけでもリディアの今の王宮での立場がわかってしまう。
お互いに見つめ合っているとリディアが部屋まで一緒にきた侍女長に向かって言った。
「すみませんが、この方と二人にしていただいでもよろしいですか?」
リディアがそういうと侍女長は部屋を退室していった。そして、部屋には私とリディアだけになった。
リディアに会ったらいっぱい言いたい事があったはずなのに、
あの日の事を謝りたいのに、言葉が出ない。そうしていると先にリディアから話しかけてきた。
「久しぶりね。マアサ。元気にしてたかしら。最後に会ってからもう10年経つのね。ごめんなさい。マアサ」
私はリディアの言葉に困惑した。
なぜリディアが私にごめんなさいと言うの? ひどいことを言ったのは私の方なのに。
「あの時、私はマアサが言ってくれた事をはねのけてしまった。今思えばあなたの言うとおりだった。王宮内は決して甘いところではなかった。我が子すらろくに育てることが出来ない。マアサにお願い出来る立場にないのはわかっているわ。でも一つだけお願いしたいの。トーラスを良き人間になれるよう導いて欲しいの。私にはもうどうすることも出来ないの」
そこにはリディアの悲痛な叫びがあった。
そうなんだ。10年間リディアは自分の無力さを知ったのだ。
昔はあんなに自信家だったのに。
「リディア聞きたいことが1つあるの。あなたはトーラス様をどう思っているの?」
「世界で一番心の底から愛してるわ」
「わかったわ。絶対にトーラス様を素晴らしい人物になれるように努力するわ」
そう言うと、リディアは涙をながしながら何度もありがとう、ありがとうと言ってきた。
「あなたを試すことをしてごめなさい。でもリディアは昔と変わってないね。人を思いやる心ずっと変わらない。あなたの息子は私が救ってみせるわ。だってそうでしょ。親友の息子は私の息子同然だもの」
そういうとリディアは私に抱きついてきた。私はもう限界だった。目から涙がとめどく流れてきた。
「リディア、私は最後にあった日にリディアに言ってしまった言葉をずっと後悔してきた。そしてその時のリディアの顔が忘れられなかった。親友の最後に見た顔があれでは嫌だった。やっぱりリディアには笑顔でいて欲しいの。そのためなら私は何だって成し遂げてみせるわ。だからリディア諦めないで」
言い終わるとリディアの顔に昔の自信が戻っていた。
私は頑張ろうと心に誓ったのだった。
マアサ視点が1・2話で終わると思っていたのですがもう少し続きそうです




