ギルド長の重責
前回投稿時に間違えて完結済みになって投稿していまいました。
この作品を完結した作品だと思って読み始めた方には本当に申し訳ないと思っています。
これからはこのようなミスは決して起こさないように気をつけます。
決してわざとした行為ではありません。それだけは信じていただければ嬉しいです。
これからも是非ともこの小説を読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願い致します。
喫茶店を出ると馬車が2台横付けされていた。僕らはライラさんに促され馬車に乗った。
部屋を出る少し前にギルド長補佐のラクアさんがライラさんの指示を受けて慌てて出ていったからどうしたのかな? と思っていたから馬車を手配していただけだと分かり、安心した。
馬車は2台なので前方の馬車には僕、ラクアさん、レナ、イザベル、アレックスが乗り、後方の馬車にはラクアさん、リディアナ、アンジェリカ、カルロス、ロイスが乗っている。
護衛であるフロース達は優秀なのできっと何らかの方法で付いてきてくれるはずだろう。
馬車の中ではライラさんが今現在のベルウェール商会について教えてくれた。後ろの馬車でもラクアさんが説明してくれているらしい。
「ベルウェール商会は半年前に商業ギルドに登録が行われ、商会が発足しました。ちなみにロザール商会の登録を抹消されたのもその時期です。今の商会の責任者はロザール殿ではありません。レミアという女性です」
「ロザールさんの奥さんの名前ですわ!」
「落ち着けイザベル」
「ごめんなさい」
「話を続けてちょうだい」
「はい。ベルウェール商会は今現在まで順調に業績を伸ばしており、今では街の中心街でも噂になるほどの商会へと成長しております」
「なるほどね。流石はイザベルの一押しの商会ね。でもおかしくない? これだけ優秀な商会なんだからギルドはロザール商会の頃の評判だって耳に入っていたでしょ」
「はい。もちろんです」
「ならなぜロザール商会が潰れた時、何も疑問を思わなかったの。私はそこが腑に落ちないんだけど」
レナの辛辣な言葉に顔を曇らせながらもライラさんは口を開いた。
「お言葉はごもっともです。単純に私の実力不足が招いた結果です」
「実力不足ねぇ~。私にはあなたに実力が足りていないとは思えないんだけど……何か別の要因があったんじゃないの? 別の案件で手一杯だったとか?」
「それは……」
レナの言葉にライラさんは言葉を詰まらせる。
「もしかして去年、叔母様が行われた改革が関係あるのかしら?」
レナの言葉にライラさんの体はビクッとした。図星かな? 改革って何だろう?
「レナ、改革って何ですの?」
「イザベル減点1」
「えっ!」
「マーキュリーの街を治めるテンペスター公爵家の娘が知らないではいけないわよ」
「ごめんなさいレナ」
「家に帰ったら説教ね。もちろんイザベルの部屋ね。もちろん一緒に寝るわよ」
「何か最後の方は腑に落ちませんが、レナの言うとおりだからお願いしますわ」
レナが渾身のガッツポーズをみせた。
「ガッツポーズはいいから説明してくれないかな?」
「トーラスごめんなさい。チャンスだと思ってついね。叔母様が行った改革よね。トーラスはこの街に入ってどう思った?」
「オシャレ街だなぁって思った」
「その通りよ。こんなにオシャレな街になったのは叔母様がこのテンペスター公爵家に嫁いでこられてからなの。元々、建国当時から続く素晴らしい領地だったけど、更に叔母様はテンペスター公爵領内で様々な改革を行い、今のジルベスター王国随一の流行の最先端の街にしたの。そして、十分に発展した領内に向けてある政策を去年発表したのよ」
「レナールト様、いろいろとご説明ありがとうございます。ここからは私に説明させていただいてもよろしいですか?」
「もちろんいいわよ」
「ありがとうございます。それでは説明させていただきます。サフィーヤ様が行われた政策とは商会に対しての税の引き下げです」
「それはテンペスター公爵領内で商売をしやすくするためですか?」
「トーラス殿、その通りです。この政策により、他領から沢山の商会がテンペスター公爵領に参入してきました。もちろん我々商業ギルドが入念に精査し、私が最終的にギルド長としてチェックをしておりましたが、完全には精査しきれておらず、ダマス商会を承認したギルド職員のような不正を犯す者を出してしまいました」
サフィーヤさんは本当に凄い人だなぁ。一見、サフィーヤさんが行った政策は税を下げて領の税収を下げる愚行に見えるが、長期的に見れば、税率が低い所で商売したい商人が沢山やってきて街が活性化して税を下げた以上に領内が潤うことになるはずだ。
それもこれもテンペスター公爵領、そして、サフィーヤさんに対しての信用がなければ成し遂げられないはずだ。
信用が無ければ、税を元に戻したり、更に上げたりして金儲けを企んでいるんではないかと慎重になってうまく集まらないだろう。
その点、テンペスター公爵領は建国以来ずっと続く名門貴族。今の今まで一度たりとも財政が傾いた事がないらしいとイザベルに聞いた事がある。公爵家の評判も良く、信頼感は抜群だ。
そんな大変な改革を行った領都のギルド長という役割は本当に大変だっただろうと簡単に想像がつく。
もちろん不正を犯すものが出てしまったのはライラさんの責任も少なからずあると思うけど、一番悪いのはやった本人である職員だ。
全ての責任を抱え込んでしまっているライラさんを見ていると、僕は悲しくなってくる。何とかしてライラさんの役に立ちたいと思う。
そして、ダマス商会のような性根が腐った人達に鉄槌を下してやりたいとさっき以上に思う。
「ライラさん、僕のような未熟な者がいうのは違うかもしれませんが、あえて言わせていただきます。ライラさん、全て背負わないでください。ライラさんに責任が無いなんて言いません。でも一番悪いのは不正を行った者です。ダマス商会のような性根が腐った人達です。自分の利益の事ばかり考えて、沢山の人達を傷つけて、僕らもそんな人達を決して許せません。ライラさん、力を合わせて鉄槌を与えてやりましょう!」
ライラさんは僕の言葉に驚いた顔を見せたが、すぐに笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。私からも言わせてください。私に皆さんの力を貸してください」
「もちろんですわ! ダマス商会なんてぶっ潰せですわ!」
「イザベルぶっ潰せなんてはしたない減点1」
「レ・ナ!」
「冗談よ冗談。私ももちろん全力を尽くすわ。というより結果は見えてるでしょ。ダークプリンスを敵に回してしまったんですもの」
えっ! 今、何て言った? ダークプリンス? 何?
「レナ、ダークプリンスって何?」
「何いってるのよ。トーラスの学園の異名の一つでしょ。学園の優しい王子様が武術大会で不意に見せた黒い笑み。そのギャップに心を撃ち抜かれた一部のお姉様方の間で広まった異名だって聞いたわ」
何それ。初耳なんだけど……しかも何なのその恥ずかしい異名。中二病すぎる。
「誰に聞いたのその恥ずかしい異名。初耳なんだけど」
「えっ! そうなの。アンジェリカがトーラスが凄く気に入ってるって言ってたんだけど……私、トーラスにも子供っぽい所があったんだなぁって安心してたのに」
誰がレナに話したのか想像はついていたけど、やはりアンジェリカか。しかも気に入ってるとか嘘までついて。どうしてくれようか。
「はっきり言っとくけど、僕はそんか異名知らなかったし、気に入ってもいないから。アンジェリカのデマカセだからね」
「はいはい。わかったからダークプリンス感出さないで」
「レ・ナ」
「ごめんごめん。でも今はそんな時じゃないでしょ」
「あっ! そうだった。すみませんライラさん」
「大丈夫ですよ。何だか凄く癒されましたから」
癒された? なんでだろう? まぁ深く考えても恥ずかしいだけだから忘れよう。
レナのせいで何だか力が抜けちゃったけど、ベルウェール商会はもうすぐそこだ。気を入れ直さないと。
「目的地に近くに到着しました」
馬車が止まり、御者の人の声が聞こえてきた。
僕らは馬車から降りた。ライラさんによると、ベルウェール商会はすぐそこにあるみたいだ。
「ちょっといいですか?」
「レナ様、何でしょうか?」
「イザベルとライラさん、ラクアさんはここで待っていてほしいんだけど」
「どうしてですの。私、早くロザールさんに会いたいですわ」
「理由を聞いてもよろしいですか?」
「ええ。いきなりイザベルやギルド長であるライラさんが来たらビックリすると思うの。先ずは私達が来店して少し探りを入れてきたいと思うの」
「なるほど。わかりました。よろしくお願いします。イザベル様もそれでよろしいですか?」
「分かりましたわ。少し我慢しますわ」
「じゃあ行ってくるね! 良いタイミングになったら合図を送るから」
「了解しましたわ」
「それじゃあ皆、行こ!」




