偶然の遭遇
前回の投稿から間があいてしまいました。すみません。最近は2・3日くらいに一本のペースで投稿していましたが、少しつらくなってきたので、これからは一週間に一本のペースで投稿していければと思います。
これからも是非読んでいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
間違えて完結済みになっていました。すみません。
まだ続きます。
僕らは店を出て、合流場所である昼食を取った食堂へ向かった。
食堂の前に着いたがまだレナ達の姿は見当たらない。
「まだ来てないみたいだね」
「そうね。こっちの用事が早く終わっちゃったもんね」
「そうだねアンジェリカ。本当にひどい店だったね。何様のつもりなんだろうね」
「本当ですわ! 我が公爵領にあんな悪徳商人がのさばっているなんて許せませんわ! すぐにでもお母様に直談判しますわ!」
イザベルは相当お怒りモードみたいだ。無理もないかな。あれは商売ではない。ただの脅し、恐喝だ。
「まぁサフィーヤさんに報告するのが一番手っ取り早いけど、それじゃあ僕らの怒りがおさまらないと思わない?」
「そうね。トーラスの言うとおりね。ああいう奴等にはもっと痛い目に合わせてやりたいわ」
「そうですわ。何かアイツらをギャフンと言わせたいですわ。何か方法は無いんですの?」
「どうなんだトーラス。いい考えは浮かんでるのか?」
「そうだねアレックス。まだあやふやにしか浮かんでないから他の皆の知恵も借りたいと思っているんだ」
「そうだな。それがいいな」
少しすると、レナ達が戻ってきた。
「ごめんなさい。いろいろと話し込んじゃって遅れちゃった」
「全然問題ないよ」
「そっちはどうだった? イザベルの行き付けの店はどうだった?」
「それがいろいろと問題があってね。その事で皆に知恵を借りたいんだけどいいかな?」
「問題ねぇ~いいわよ。新しい友人達のために一肌脱ごうじゃない!」
「レナ、お願いしますわ」
「任せといて! イザベルのためなら更に頑張っちゃうわよ」
「嬉しいですけど、レナ、何かキャラが変わりましたわね」
「これが本当の私なのよ。変かしら?」
「いいえ。こっちの方がいいですわよ」
「ありがとうイザベル」
僕らはとりあえず事情を説明するために一旦、近くの喫茶店に入ることにした。
「それで何があったの?」
レナの問いに僕はダマス商会で起きた事とロザール商会の事を説明した。
「何なのその商会は! お客を何だと思っているの。ふざけてるわ」
レナ含めて皆、怒り心頭である。
「起きた事は理解出来たわ。それでどうする? サフィーヤさんに報告してその商会をどうにかしてもらう?」
「僕らもそれが一番の手だとは思ったんだけど、それだけじゃあ何か僕らの気が済まないんだよね……」
「そうね。トーラスの言うとおりだわ。何とかして私達の手で鉄槌を下したいわね」
僕らは何とかダマス商会に鉄槌を下すため作戦を考えることにした。
「イザベル、少し聞きたい事があるんだけど、いいかな?」
「何ですのカルロス?」
「イザベルはロザール商会によく行っていたみたいだけど、イザベルの目から見て経営不振で潰れるように見えた?」
「そうな風には見えませんでしたわ。ロザール商会は商品の品揃えや品質の良さも素晴らしかったですし、何より従業員一人一人の接客の質が素晴らしかったんですのよ。私が通っていた時も店には沢山お客がいましたわよ」
「ありがとうイザベル。今のを聞いてトーラス、どう思う?」
「そうだね。もちろんそこから何かしらの営業方針の転換があって経営不振に陥ったっていう可能性はあるけど、僕にはそんな状態に陥る商会だとは思えないよ」
「僕もトーラスと同じ考えだよ。確証はないけど、ダマス商会がロザール商会に何かしたとしか思えないよ」
「私もそう思いますわ。ロザールさんは少しお人好しな所がありましたので、騙されたのかもしれませんわ」
「皆さん、面白い話をしてますね?」
いきなり横の席に座っていた二人組の内の一人が声をかけてきた。
「何ですか? 今、私達は忙しいんですけど」
すかさずレナが突っ込む。
「申し訳ありません。凄く興味深い話をされていましたので、つい口を挟んでしまいました」
「そうですか。でも正体不明の人物とこれ以上話す事は私達にはありませんが」
「大変失礼いたしました。私は商業ギルド、マーキュリー支部ギルド長を務めておりますライラと申します。こっちは私の補佐をしてもらっているラクアです」
まさかの商業ギルドのギルド長だった。
「それを証明する事は出来ますか?」
レナがそう言うと、ライラさんはカードを僕らに見せた。
「これは商業ギルドで発行されている正式な身分証です。もしこれでも駄目でしたら商業ギルドに直接来ていただくしかありません」
「疑ってしまいごめんなさい」
この国では働き始める時に各地の商業ギルドで発行してもらえる身分証明カードが支給される。カードには偽装防止のために国王認印が押されているのだ。
「大丈夫ですよ。いきなり声をかけた私が悪いのですから。不審に思って当然です。信じてもらえた所で少しお話しをよろしいですか?」
「もちろんです。ギルド長だとわかって逆に相談したいぐらいですから」
「そうですか。では店の奥に個室がありますのでそちらに移動していただいてもよろしいですか? 誰かに聞かれては困りますので」
「わかりました」
僕らはライラさんに付いて、奥の部屋に移動した。
「改めまして、イザベル様、レナールト王女殿下、ご友人の皆様、この度はお時間を頂きありがとうございます」
「あら。私達の正体、バレバレなのね」
「はい」
流石にギルド長ともなると知っていて当然だよね。
僕らも各自、自己紹介をした。
「それでは先ず最初に私が皆さんに声を掛けさせていただいたのはダマス商会の話をしていたからです」
「もしかして商業ギルドはダマス商会の悪行を認知しているのですか?」
「トーラス殿でしたね。悪行というのはまだ認識していませんが、ある疑惑がかかっています」
「疑惑とは?」
「ダマス商会がロザール商会を騙し、店や土地を奪い取ったという疑惑です」
「それはどこからの情報ですか?」
「それがわからないのです」
「なぜですか?」
「ある日突然、私の元に匿名の手紙が届きまして、そこに先程の情報が書かれておりました」
「ライラさんはその情報を信じたのですか?」
「いえ。最初はイタズラだと思い、詳しく調べる事はしませんでした。ダマス商会の商業ギルドへの申請は正式に受理されておりましたので」
「ではなぜ今は調べているんですか?」
「実は恥ずかしながら一ヶ月ほど前にダマス商会の申請を担当していたギルド職員が様々な不正を行っていた事がわかったのです。なのでその職員が関わっていた案件について再調査が行われることになり、ダマス商会について調べて直す事になりました。その時にあの手紙の事を思い出しました」
「なるほど。その職員からは何か情報は得られていないのですか?」
「いえ。他の不正に関しては自供しているのですが、この件に関しては一切口を開こうとしません」
怪しい。様々な不正を行っていて、ほとんどを自供しているのにダマス商会の事だけ黙っているなんて。ダマス商会にはそうさせるだけの何かがあるのだろうか? もしかしたらかなりの大物がバックについているとか?
「それは凄く怪しいですね」
「はい。なので密かにダマス商会を探っているのです」
「なるほど。それで何か掴めましたか?」
「いえ全く。一週間ほど前にも商会へ査察に行きましたが、何も問題はありませんでした。しかし、違和感も少し感じました」
「違和感とは?」
「数日の間、店の前で調査をしていたのですが、何組かの店を出てきたお客の様子がおかしかったのです。気になって話を聞いてみても特に何もなかったと言われました。しかし、凄く怯えた様子だったのです」
なるほど。多分、その怯えた様子のお客は僕らと同じように暴力によって脅された人達だろう。
あの店の悪事がバレにくいのは普通に買い物をしたお客には何もしない所だろう。外観は凄く豪華な雰囲気でいかにも高そうなお店だったからお客様の層も片寄っていただろうし、見た感じ売ってる物の質は悪いようには見えなかったし。
しかし、一部の少しチャレンジしてお店に入った人がきっと餌食に合っているのかもしれない。
「なるほど。わかりました。いろいろと教えていただきありがとうございます。それでは今度はこちらの情報ですね。もしかしたら聞かれていたかもしれませんが、最初から話しますね」
「いえ。私達はダマス商会とロザール商会という単語が聞こえただけで詳しくは聞こえませんでした」
「そうなんですね。では話しますね。本日、僕らはダマス商会の店に入店しました。理由はイザベルが懇意にしていたロザール商会のあった場所に別の名前の店があったので気になって入店しました。すぐに店員に尋ねたらすぐにダマス商会の会長と名乗る者が出てきました。その人からロザール商会は経営不振で潰れたと聞かされました。行方を知らないかと尋ねましたが、知らないと言われたので、僕らは諦めて店を出ようとしました。しかし、その時、ダマス商会会長の男の態度が豹変しました。商品を買わずに店を出る事は出来ないと言われました。買わないと拒否していたら奥から大男二人が出てきて脅されました」
「事情は了解いたしました。怯えていた人達の理由がわかりました。ありがとうございます。それでこちらから提案があるのですが?」
「提案ですか?」
「はい。実はロザール殿の行方が判明しましたので会いに行くのに同行していただきたいのです」
「本当ですの! それは願ってもない提案ですわ。是非同行させてほしいですわ!」
「本当ですかイザベル様。よろしくお願い致します。ロザール殿とお知り合いであるイザベル様に同行していただければ、話もしやすくて助かります」
「それでロザールさんは今、どこにいますの?」
「はい。ロザール殿は名前を変えてマーキュリーの街の郊外で小さなお店を経営されています」
「そうなんですの。でもよくわかりましたわね」
「実はそのお店が凄く噂になっていたんです。郊外に凄く良い店があると」
「流石ロザールさんですわ。何ていう名前ですの?」
「ベルウェール商会といいます」
「ベルウェール商会ですって!」
「急にどうしましたのレナ」
「ごめんなさい。実はさっき皆に合流する前にそのベルウェール商会のウェールズさんという人にぶつかったのよ」
「えっ! 本当ですの」
「うん。私の不注意だったのに逆に何度も謝ってきて、凄く申し訳なかったわ。凄く優しい男性でいろいろ話したら郊外でお店をやっているって言うからイザベル達と合流したらそのお店に行かないか提案しようと思っていたのよ」
「そうだったんですの」
「ウェールズという名前はロザール殿の今の名前ですね」
ライラさんの言葉にレナ達はビックリした表情をしていた。こんな偶然ってあるんだなぁと僕も少しビックリした。
「いろいろな事がわかり、驚かれているとは思いますが、それでは皆様、今からベルウェール商会へ赴くという事でよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ」
「異論はありません」
こうして僕らは郊外にあるベルウェール商会に向かう事になった。




