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3話 蜘蛛が繋ぐ糸《キリエ編》

感想・評価、お待ちしております!


 キリエは、朝の日差しが気持ちいい時間帯、憂鬱な面持ちで掃除を始めていた…

 こんな状態では店を開けないからだ。


 箒で掃く度に埃が舞い上がり、ワタシの目を、鼻を直撃する。そして数分もしないうちに埃まみれとなる。

 いや、箒で掃かなくても、天井から埃が舞い降りて来るのでなにもしてなくても、埃まみれにはなるのだけど…あああーーーー、クッソ!!

 どんだけ、掃除してなかったんだよ!!


 こうなったら徹底的に掃除してやる!!

 まず、埃が落ちて来る天井からだ!!


 天井を見上げると、薄暗くよく見えないがデッカい蜘蛛がデッカい虫を食べている最中だった。

 うげぇ…あんなデッカい蜘蛛がいるとか…うん? アイツ何食ってんだろ。

 蜘蛛が補食している虫を目を凝らし眺める、それは蠅のような紫色の虫だった…

 あっ、《キラーフライ》だ…【キラーフライ…この世界に生息する蠅型の魔物。世界各地に生息しており、子供の頭程の大きさが有る。肉食】…え、ちょっとまって、キラーフライってモンスターじゃん、ソレを食ってるあの蜘蛛って。

 やばい…

 悪寒が背中を伝う。

 身の危険を感じた。呑気に眺めている場合では無い。キラーフライを食べる大きさの生き物なんて、モンスター以外の何者でもないじゃん。

 天井を注意深く見ながら、逃げようと一歩踏み出すと、暗闇に光る蜘蛛の複眼がワタシへと向けられた。キラーフライを食べる為に動かされている脚はそのままに、じっと、複眼だけでワタシを見る蜘蛛…


 動けなかった。

 動いたら殺られると、本能が教えてくれているようだった。

 数分間、ワタシが固まっていると。蜘蛛はそっと目を逸らし、天井を這いながら薄い暗闇の中へと消えた。


 数分後、あまりの恐ろしさに直、店の外へと飛び出した。


 店の外にある看板に隠れ、恐る恐る店内を覗き込む。

 追って来てはいないようだ…

 大通りを歩く人達が何事かとワタシを見て来る…恥ずかしい。


 出て来たはいいけど、どうしよう?

 掃除はしたいけど、あんな蜘蛛の居る店に戻りたくは無いな…うん、いろいろ後回しにして街を彷徨こう。別に逃げてはない、この街に来たばかりで何処に何があるのかイマイチ解っていないので確認の為でもある。ついでに《冒険者ギルド》で、害虫退治を依頼しとこう…


 そう自分に言い聞かせ、キリエは大通りを歩き出した。

 店に鍵は閉めない、貴重品は特にないし、例え泥棒が入ったとしてもアノ蜘蛛を殺してくれるのなら別にいい、逆に泥棒が食われようがワタシには関係ない。

 

 …たく、散散である。

 一昨日は変な連中…《転移者》に取り囲まれるし、今日はデッカい蜘蛛に遭遇するし、本当に散々だ!!

 道端に転がっていた石を蹴飛ばすと、その石は路上で踞る中年の脇へと転がって行った。

 

 キリエは視線をその男に移すと、ギョットした表情を浮かべた。なぜなら、まるで男は全てに絶望したかのような表情で、死にそうな雰囲気を漂わせていたからだ。

 ああ、こいつ《転移者》だ…直に解った。


 一昨日、あの酒場に突然現れた者達、《転移者》…その素性は謎に満ちており、街の人達からは既にいろいろな噂話が持ち上がっていた。やれ地獄の死者だ、やれ他国からの侵略者だ、やれ天からの使いだ、など、まったく巫山戯た話である。

 彼等の特徴は3つ。

 

 1つは、訳の解らない単語を連発すること。

 あの酒場に現れた転移者も、ワタシに向けて『天使』だの『萌え』だの、『JC』だの訳の解らない単語を連発していた。軽くトラウマである。


 2つ目は、奇行が目立つこと。

 いきなり家に入って来たり、死んだような目をして街中を彷徨ってみたり、いきなり激怒し始めて『おい、運営呼べ!!』など訳の解らない言葉を口走りながら商人に掴み掛かったり…

 とりあえず、奇行が目立つ。


 3つ目は、戦闘能力が異常に高いこと。

 ワタシは直に見た事は無いのだが、一昨日の夕方、突然暴れだした転移者を王国の魔法騎士が取り押さえようとしたした所、転移者は様々な魔法とスキルを使い騎士を半殺しにしたのだと言う。その後、20人の騎士で取り囲み、どうにか取り抑えたとのことだ。

 王国の騎士が20人掛かり…にわかには信じ難い無いようだ…

 しかし、そんな話を他にも幾つか聞いていた。少なくとも強いんだろうな…


 道に踞る転移者は、良く見ると泣いていた。

 大の大人が場をわきまえず声を出して泣いていたのだ。

 辺りを見回すと、大通りの隅にこの男のような表情をした転移者が幾人も見受けられる…

 なんでも彼等は『ろぐあうと』できないのだとか。『ろぐあうと』とはなんなのかよく解らないが、要約すると『家に帰れない』という意味らしい。

 キリエには、『家に帰れない』辛さが解る。キリエにも帰る家…長年住み慣れた家はもう無いのだ。


 家に帰れないのは辛い。その気持ちは解る。


 そう言えば、あの酒場に転移した人達は元気にしているのだろうか?

 変な連中だったけど、気にはなる。

 あの後、転移者達は何事か話し合ったあと、ワタシに『また、来るね〜』と言い残して去っていったのだ。

 アイツ等は今、何処にいるのだろうか?



 大通りを北に直進すると《中心街》に出る事が出来る。

 この中心街には大きな建物が3つある。


 1つは《冒険者ギルド》、ドーム状の大きな建物だ。

 害虫退治をお願いしに行かねばならない。依頼料足りるだろうか? まぁ、あんなのが居る店を開く訳にはいかないが…


 次に、《魔法図書館》。一際、豪華な建物。

 多くの魔法使い達が利用する場所で、《魔法協会》の本部でもある。

 ワタシには、今の所、縁のない所だ。


 最後に、《商人ギルド》。3階建ての大きな建物だ。

 ここには一応縁がある。近々、顔だけは出さなくてはいけない。


 ワタシは迷わず《冒険者ギルド》へと足を運んだ。


 ギルド内には予想以上に人が居た。

 この街には冒険者などほとんど来ないと聞いていたのだが、結構な人だかりだ。

 しかし、よく見て見ると…


「よっしゃーーーー、クエストクリア。

 手元に報酬金が握れるのって地味に爽快だぜ」

「ゲーム世界最高!!!」

「…はぁ・はぁ・受付のお姉さんは俺の嫁」


 転移者の巣窟だった…帰ろうかな?


 そう思い振り向いた瞬間、ソイツと目が合った。


「あれ、キリエちゃん?

 なんで、こんな所に?」


 冒険者風の格好をした、青年…

 そいつは、ワタシの前に始めて転移して来た名も知らない《転移者》だった。


 

後から気付いた…会話文よ何処行った?


次回からは気を付けて書きます(汗)

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