↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代でスライムが発見されました~食べると若返るみたいですが、僕は変異種を食べて無双します~  作者: 信仙夜祭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/21

第6話 塵になりました

 少し観察するけど、金魚が巨大化することはなかった。

 大丈夫そうだ。


「スライムは生きているんだよな?」


 僕は、水槽に左手を突っ込んで、ツンツンしてみる。


 ――プルルン、プルルン……


 大丈夫なようだ。

 水槽から手を引き上げる。そして気が付いた。


「指先が、銀色に光っているよ……。また、スライムの体液かな?」


 さっき抱きかかえた時は、何の変化もなかったけど、濡れているスライムに触れると、皮膚が変色するみたいだ。皮膚から吸収しているんだろうな。

 これって、学会に発表できる内容かもしれない。あ~でも、若返りの効果が発見された事例もあるか。流石に知られているよな。

 メタルスライムを取り上げられたくないので、誰にも言わないことにした。


「この、淡い光……。これも魔力かな?」


 ポイズンとは違う光。

 もしかすると、効果も違うのかもしれない。

 少し考える。

 やっぱり、衝動に駆られて舐めてみた。そうすると、体に変調が見られる。

 左手の指先から銀色の光が、発光していた。


 いろいろなモノに、銀色の光を纏わせる。これは、ポイズンスライムの時と同じだ。


「だけど、変化がないな?」


 暫く待つけど変化がない。試しに持ってみたら……、崩れた。


「強度を失っている? 破壊? 分解? ……崩壊?」


 その後、全てのモノの強度が失われることが分かった。不用品を、塵にした結果だ。少し考える。


「スライムの……、プラスチックを分解する特性? それが、全ての物質に影響する可能性……」


 台所で、ガラスを探す。

 試しに、ガラスのコップを銀色の光で覆ってみた。


 ――パキ、サラサラ……


「やっぱり、ガラスすらも影響を受けている。ガラスって酸にも強いはずなのに」


 慌てて自室に戻った。

 水槽をコンコンと叩いてみる。

 金魚が、ピクンと跳ねた。


「メタルスライムに破壊する意思がなければ、大丈夫かな?」


 メタルスライムに、スポーツドリンクのペットボトルをあげると、嬉しそうに食べている。

 金魚にも餌をあげる。大丈夫そうだ。


 僕は、水槽を眺めながら、左手の銀の光も体内に循環させるためのイメージトレーニングを始めた。


「……」


 感覚で分かる。今度は、核になるモノが脳に移動したらしい。



 ――カラン


 水槽で音がした。そして、それを拾い上げる。


「やっぱり、ダイヤモンドだ」


 磨けば、光るかもしれないけど、検証が必要になるかもしれない。

 それに、人工ダイヤモンドなんて安いしね。

 僕は二個目のダイヤモンドを机の引き出しに仕舞った。



◇



「相馬さん。そろそろ勉強をしませんか? テストが近いですよね?」


 夕飯の時に、怜奈さんから言われた。

 怜奈さんは、家庭教師も兼ねてくれている。


「では、夕飯後にお願いします」


 正直、僕に勉強など必要ないけど、今の成績だと親の面目が問題になるらしい。

 進学する気もない僕に、学力を求められてもな……。

 だけど、生活費を出して貰っている。家すら与えて貰っているんだ。従う以外の選択肢が、ないんだよな。



 教科書を開いて、怜奈さんに解説して貰う。

 僕はノートを取った。


 ――カリカリ……


「今日はどうしたのですか?」


 突然言われて、顔を上げる。


「何か変ですか?」


「随分と集中されていますね? 様になっていますよ。集中している相馬さんは、カッコいいですね」


 だって、怜奈さんの話が全部理解できるんだし。

 なんだろう……。頭が凄い冴えている感じだ。ポイズンは、僕の病気を食べてくれたけど、メタルは脳神経を強化してくれるのかな?

 これ……、知られたら大問題だよな。



 その後、数日かけて中学の全ての教科書に目を通した。


「暗記力が、向上しているよ」


 今ならば、教科書の暗唱すら可能だ。一回読んだだけなのに。

 完全記憶能力と言ってもいいくらいに、頭が冴えている。

 数学や理科の応用問題も理解できる。空間把握能力、認識力の向上?

 練習問題を解くと、怜奈さんは、驚愕の表情だ。だけど、模擬テストの点がいいので喜んでくれた。



◇



 今日は、二ヵ月に一回の試験の日。

 僕だけの教室で、テストを受ける。


 その前に、学生服が、小さいんだけど……。

 でも後数ヵ月しか着ない。破らないように着ればいいか。無用な出費だと思うし。


 不満なんて口にし出したら、僕は誰にも相手にされなくなる。

 余計なことは考えずに、試験を終わらせよう。


(……今日は、教科書を読んだ部分が思い出せるな)


 次々に、解答欄を埋めて行く。

 計算問題も問題なし。引っかけ問題も、出題する意図が読めてしまう。

 教師は、僕の異常を感じ取ったみたいだ。僕の目の前に立つけど、何も言えないよね。カンニングは、していないんだし。


 頭が冴えているだけだ。

 そのテスト結果は、全教科満点だった。



◇◇◇



 数日後、学校に呼び出された。

 なんだろう? いや、中学生だから毎週通うのが普通だと言われると、返す言葉もないんだけど……。

 生徒指導室で、怜奈さんとの二人で、話を聞く。秘密の話なのかな?

 そう思ったんだけど……。


「高校進学ですか? 受験しろと?」


 教師から、突然言われた。


「うむ……。こないだの全国模試一位だっただろう? それで、私立から推薦が来た。公立でもいいと思う。高校は、選び放題だろうし。親元に帰るのもいいんじゃないか? 見た所、健康になったんじゃないか? 通えると思うんだが」


 あのテスト……。全国模試だったんだ。

 だけど、考えてしまう。


「万が一……、倒れたりしたら……、ご迷惑でしょうし……」


「最近の相馬さんは、元気じゃないですか。毎日の散歩も10キロメートルになっているんですよ?」


 隣の、怜奈さんを見る。保護者の代わりで学校に来てくれている。

 だけど、やっぱり考えてしまう。


「中途退学の未来しか見えないですね……」


「相馬さん! 進学したくてもできない人だっているんですからね」


 そうだった。目の前に、その人がいる。

 とりあえず、高校受験は保留にして、帰ることにした。こっから先は、親に相談しないとけない。学費だって発生するんだし。

 まあ、中学校から連絡が行くんだろうな。



◇



 帰り道、今日は歩きだ。怜奈さんとデートになるのかな?

 市街地を雑談しながら歩いて行く。

 でも、途中で怜奈さんが止まった。


 その視線の先を見る。

 服屋……、ブティックでいいのかな?


「ちょっと寄りませんか? 成長期なんですし。洋服を新調しましょう」


 ウィンドウに飾られている値段を見る。


「高いですね。量販店でいいですよ? ショッピングモールに行きましょう」


「ご両親に請求すれば、お金は支払って貰えるんですよ? 数着ぐらいいいモノを買いましょうよ。下着は、安物でもいいので」


 僕がごねても、時間の無駄だ。

 その後、店に入り着せ替え人形にされる。

 とりあえず、三着分の上下の洋服と、コート一着を買うことになった。靴まで売っていたので、革靴を買う。一ヵ月後に履けなくなっていなければいいんだけど。

 スニーカーが欲しかったけど、ホームセンターでもいいかな。後で買いに行こう。


 それと、値段は――大丈夫なのかな。

 僕にブランド物なんて必要ないんだけど。怜奈さんが、支払いを済ませる。


「うふふ。そのまま着て帰りましょうね」


「……はい」



 なんだろう。街中に出ると、ジロジロと見られている気がする。


「美男美女カップル。随分と若いし……、スライムで若返った親子かもね」

「富豪でも、行き過ぎた行動だよね。寄付でもしろって言いたいね」


 すれ違った人の声が聞こえた。

 怜奈さんを見る。


「うふふ。イケメンですね~。相馬さん」


 僕がイケメン?

 ガラスに映った自分の顔を見る。


「……健康そうな顔してるな。僕ってこんな顔していたんだ」


「相馬さんは、素材は良かったんですよ。それに背も伸びましたものね。今は立派なイケメンです」


 もう一度、ガラスに映る自分の顔を見た。


「僕が――イケメン?」



◇



 次の日に、親が来た。両親共にだ。


 三人でテーブルに着く。怜奈さんは、僕の後ろに立っている。座ってもいいと思うんだけど。


「随分と健康そうな顔になったな。それと、その服装も様になっている。みすぼらしい服装でなくて良かったぞ。安心した」


 普段は、寝巻きか病院の患者服で会ってたし。だけど、両親としてもブランド物を着ている息子がいいのか……。

 病院の患者服で会うのが、普通だったしね。


「この一ヵ月は、症状が落ち着いています」


「……時間がない。早速本題だが、高校に進学しろ。地江利《ジェリー》高校なら私たちも文句はない。もちろん、公立でもいいが、偏差値の高い高校にしてくれ」


 地江利《ジェリー》高校……。スライム事業に携わる人たちが目指す、エリート進学高校だ。名称はどうかと思うけど。

 入学には、学力以外も必要だと聞いたことがあるな。特に小論文だ。中学生に作文ではなく、論文を求めるらしい。

 僕は、ため息を吐いた。


「倒れたらご迷惑ですし……、この家で静養しています」


「試験だけでも受けろ。受験してみろ」


 まあ、それくらいならいいか。


「あの~、よろしいでしょうか?」


 怜奈さんが、口を開いた。


「何かな?」


 怜奈さんが、前回の模試結果と医師の診断書をテーブルに置いて、僕の近況を説明してくれた。

 両親は、関心がないらしい。興味があるのは、僕の学力だけみたいだ。

 世間体を……、気にしているんだな。


「報告ご苦労。受験には付き合ってあげてくれ。それと、今後も頼む」


「もういいかしら? 結論は、始めから出ていたのだし。それと、最終電車の時間ですよ? 顔も見たんだし、乗り遅れないように移動しましょうよ」


 少しイラっとした。例え実の親だとしてもだ。

 ちょっと、嫌がらせを含めた要求をしてみるか。


「怜奈さんに看護学校受験を許可してくれるなら、僕も高校受験を受けてもいいです。もちろん、合格したら怜奈さんの学費も出してくださいね。その費用を賄えるくらいは、働いて貰っているので。いえ……、それではダメですね。奨学金の保証人くらいなら頼めますか? 社会人になってから返して貰うのであれば、問題ないでしょう?」


 僕の言葉に、全員が絶句した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。