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訪問

別の悩み

たんぽぽ女子中学校のスポーツ推薦を受ける決意をした杏菜あんな。自画自賛するつもりはないがスポーツでの実績は申し分ないと考えている。後は筆記テストを頑張るしかない。とはいえ、たんぽぽ女子中学校はまだ開校しておらず杏菜あんなが1期生になる可能性がある。


たんぽぽ女子中学校の学校説明会が終わって1週間が経った土曜日、福山家ふくやまけの呼鈴が鳴り響いた。自分の部屋で勉強していた杏菜あんなだったが、家には誰もおらずセールスだったら許さないと鬼の形相でインターホンを出た。そこに立っていたのは1人の女性が杏菜あんなを訪ねに来てくれたみたく家に上げた。


ひとまず要件を聞いてみようとリビングに案内をして、お茶を差し出して杏菜あんなにどう言った用事ですかと聞いた。


「来春、開校するたんぽぽ女子中学校硬式野球部に是非とも福山ふくやま杏菜あんなさんに来てもらいたく伺いました。リトルリーグでの活躍を生で見て、今後の女子野球の発展に力を貸して欲しい」


大人がここまでして頭を下げて来て欲しいと言ってくれるのは素直に嬉しい。しかし、リトルリーグで野球をしていた杏菜あんなからすれば中学校になったらシニアで野球をするというのが既定路線でたんぽぽ女子中学校で野球をするとは全く考えになかった。そもそも杏菜あんなよりも虹恋にこちゃんに声をかけた方がいいのではとすら考えていた。


「他にも同じ福山ふくやまPhoenixリトルの浜田はまだ虹恋にこさんや他のリトルリーグや少年野球の強豪チームで活躍していた女の子にも声をかけています。どうしてもシニアでもやりたいというのならば兼任という形でも可能なので……」


虹恋にこちゃんにも当然話が行き渡っているか。ここで3つの選択肢を迫られた杏菜あんな。1つは新設されるたんぽぽ女子中学校硬式野球部に入部する。2つ目にシニアで野球を続ける。3つ目にたんぽぽ女子中学校野球部とシニアを兼任する形でどうするか揺れ動いていた。


練習面や施設の環境を考えたら当然、シニアに進むのが最適でリトルリーグで全国で日本の頂点に立ったようにシニアでも全国の頂点に立ちたいと考えていた。それに勝る何かがあるか尋ねてみた。


するとタブレットを取り出した。メジャーで取り入れられているトラックマンという機械で、ピッチャーでは球速だけでなくてバックスピン量や変化球の軸や変化量を可視化出来る機会を導入する予定で、ユニフォームも黄色とピンク色を基調として、広島県ひろしまけん名産のレモンもワンポイントで入れようと考えていると説明を受けた。


スポーツ推薦で合格したらたんぽぽ女子中学校硬式野球部に入部する旨を伝えた。LINEで聞く必要もなければ読心術で虹恋にこちゃんに聞く必要はない。だってユニフォームのデザインを聞いてかわいい。断る理由はない。


そしてたんぽぽ女子中学校のスポーツ推薦当日を迎え、数日後に無事に杏菜あんな虹恋にこちゃんも合格と決まってひと安心した。


たんぽぽ女子中学校の受験と秋の大会が被っていて試合に負けてしまったと連絡が来た時は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、それでも勝てると思って仲間を信頼したからこそ出来たスポーツ推薦だと感じていた杏菜あんな虹恋にこちゃん。

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