珍事件
積極打法
決勝戦の相手は優勝候補筆頭の愛知県の名古屋大府リトル。1回戦から毎試合2桁安打を放ち、抜け目ない打線で手のつけようがないチーム。別命シャチホコ打線と呼ばれて恐れられていて先頭打者が塁に出るかどうかがカギになるというレベルで、抑えるには回の先頭打者を出さない、余計なフォアボールやエラーをしないのが大事だと水瀬監督から口酸っぱく伝えられた。
翌日の決勝戦、キャプテンの虹恋ちゃんがジャンケンで負けて先攻に決まった。
これにて先攻が福山Phoenixリトル、後攻が名古屋大府リトルと決まった。
スタメン発表された。1番キャッチャー杏菜。3番ピッチャー虹恋ちゃんといつも通りの打順でヒットが打てるのが理想なものの、フォアボールやデッドボール。、そしてエラーでも何でもいいから塁に出られれば相手ピッチャーにプレッシャーをかけられると考えていた。
試合前にこの大会、最後の円陣を組む。
「遂に決勝戦まで来たよ。昨日、水瀬監督も言っていたけど最近私たち打ててないよ。このまま貧打のまま夏を終わらせていい訳ないよね。勝っても負けてもこの試合が最後だから福山Phoenixリトルは打てるチームだと相手チームにもスタンドで観ている人達にも見せつけよう。よっしゃ行くぞー」
虹恋ちゃんが気合を入れて整列をしてこの試合に勝って最高の夏にすると切り込み隊長の杏菜は考えていた。
先攻であるからヘルメットを被ってバッティンググローブにお気に入りのピンクのリストバンド、愛用のバットを持って右で1回、左で1回それぞれ素振りをしてピンクのリストバンドをスリスリして左打席に立った。
初球からストレートを振り抜くとセンターオーバー打球を見てスリーベースヒットを打った。と思ったが、相手守備の連携が上手くいかずにホームベースに帰ってきた。ランナーとして残ってプレッシャーをかけてもいいかなとも思ったが、後続のバッターが確実にバットに当たる保証はない。それならばまずは先制点を取ろうと戻ってきた。
そう思ったら1番打者の杏菜が終わった途端に相手ピッチャーが代わった。勢い乗っていけるかと思ったのにピッチャーが代わって不安に思っていたらキャプテンの虹恋ちゃんから狼狽たえる必要はない、どんど行くよと声をかける。
2番バッターがフォアボール、3番の虹恋ちゃんがライトオーバーのタイムリーツーベースを皮切りに打者1巡をして再び1番の杏菜に打席が回ってきた。2試合で2点しか取っていないとは思えないくらいの打線の爆発で、ここまで福山Phoenixリトルは初回に7点を取っていた。
気がつけば相手ピッチャーは3番手がマウンドに上がっていた。どんなボールでもいらっしゃいという気持ちで今度は右打席に立つ杏菜。ノーアウトランナー2、3塁でレフト線にフェンス直撃のタイムリーツーベースを放つと突然試合が中断した。見た感じ誰かが怪我をした感じではなかった。現在9対0とリードしている。
それぞれのキャプテンが呼ばれている。
2塁ベース上で何の話をしているのかと見つめている杏菜。虹恋ちゃんと相手のキャプテンが握手をして整列を促された。没収試合という形で9対0で福山Phoenixリトルが優勝した。




