可能性
予測
試合後に水瀬監督に呼ばれた杏菜と虹恋ちゃん。何だろうと思って話しを聞きにいくと、準決勝は杏菜ちゃんが先発ピッチャーでキャッチャーを虹恋ちゃんに行くという方針を示された。
杏菜が虹恋ちゃんのボールを受ける事があってもその逆は初めて何だか違和感を覚える。とはいえ準々決勝から休みなしの日程のため勉強もしたいが、ここは試合後とはいえど軽く投げ込みをしておきたいと考えていた。
水瀬監督から試合に出る傍らでずっとブルペンで肩を作っていたから自分が思っているよりも疲労が溜まっているからダメ。明日の前に肩を作るようにと伝えられた。
そうと決まれば、準決勝の相手がどこになるのかを確認しておく必要がある。スタンドで佐賀県の伊万里中央リトルと高知県の宿毛リトルの試合が組まれていた。準決勝でバッテリーを組む虹恋ちゃんと共に戦況を見つめていた。
どういう試合運びになるのかによって、次の準決勝でストレートを主体にするのか?それとも変化球を主体にするのか?話が変わってくる。とはいえ杏菜
《あんな》のピッチングスタイルはあくまでも三振を狙いにいくよりも1球でも少なくするために打たせて取るという点は変わらない。
先攻に伊万里中央リトル後攻に宿毛リトルで試合が始まった。キャッチャーの目線であったり、バッターの目線になるべく近くがいいと思ってバックネット裏で観ていた。
やはり、準決勝まで勝ち上がるだけあってピッチャーが投げるボールはストレートのノビや変化球のキレはレベルが違う。バッターも振りが鋭くてホントに小学生がプレーをしているのかと疑ってしまう。
打球がショートとレフトの間に落ちてポテンヒットになりそうな打球もお互いに声を出しあって手を挙げて取る。そこまでショートが深く守っていた訳でもないのにあの打球に追いつくってスゴい。偵察のつもりで試合を観ているはずなのにいつしか1人の観客みたく見入ってしまっていた。
準決勝で先発ピッチャーを告げられていた杏菜としては、どっちが勝ち上がっても難しい試合になると読んでいた。右投げの方がいいか?左投げがいいのか?ストレートを主体にするか?変化球を主体にするのか?どうするのが最善の策なのかを頭の中で考えていた杏菜。
するとツンツンしてきた虹恋ちゃんからそれを考えるのは、この試合が終わってからだよ。そもそもそれを考えるのはキャッチャーである虹恋の役割だよと読心術で杏菜に伝えてきた。
宿毛リトルが最後、サヨナラデッドボールで勝って次の対戦相手は宿毛リトルで決まった。この時、出来れば35球未満に抑えられれば決勝戦でも投げられるかもという邪な気持ちが出てきた。
とはいえ、次の宿毛リトルに勝つために全力で腕を振る。球数を超えて決勝戦で投げられなくても福山Phoenixリトルには絶対的エースの虹恋ちゃんがいるから大丈夫だなと思っていた。




