カムバック
次こそは
全国大会出場を決めた福山Phoenixリトル。去年に引き続き2年連続の出場となるが、是が非でも今年は勝ちたいと考えていた杏菜。全国大会に出場してくる猛者だからどこと当たっても強いに決まっている。
この年は福島県にての開催で、決勝戦を終えて翌日には観光バスで現地に向かっていた。杏菜としては楽しみと去年の屈辱を果たすべく受験勉強をしつつ、バッターとしては確実にボールを捉える。ピッチャーとしてはストレートのノビや投げられる変化球のキレで打ち取る事を意識していた。
県予選では1イニングの登板で終わったものの、次いつマウンドに上がってと言われてもいい準備はしてきたつもりではいる。まずは初戦の入りが大事、そう肝に銘じていた。
全国大会には、当時まだ浜田山陰リトルと戦ったあの時の記憶が頭を過ぎる。今のなってはチームメイトとなった虹恋ちゃんだが、男の子に負けるのは仕方ないにしても同じ女の子にここまでレベルの差があるのかと痛感されたのは今でも覚えている。
バスの中では相変わらず男の子は遠足気分でいる。しかし、杏菜と虹恋ちゃんはとても遠足気分にはなれない。理由は当然、たんぽぽ女子中学の受験に向けてやっている。それを知ってか知らずかバス内では燥いでいる。
水瀬監督やキャプテンの虹恋ちゃんや杏菜が注意をしても変わらない。
とはいえ、注意しなければと再び虹恋ちゃんが語気を強めて注意をする。
「あんたらいい加減にしな。もうちょっと周りを見な、寝ている子もいれば勉強している子もいれば読書をしたい子もいるんだから。自分の事しか考えるんじゃなくて周りを見て行動しないと。特に6年生は来年から中学生でしょ。普段の行動がプレーにも出るよ」
その姿を見た水瀬監督が震え上がっている。怒らせてはいけないなと感じつつも全幅の信頼を得ていた。
どれくらい時間がかかるのかをキッズスマホで調べていると、車で約17時間。ほぼ1日中バス内にいるとなったら男の子達が騒ぎたくなる気持ちも分からなくもないという気持ちでいた。というよりも連盟が交通費や宿泊費を出してくれないのかな……。集金で賄うシステムなのかなと考えた。
途中のサービスエリアでご当地グルメを食べるのを楽しみを見出していた虹恋ちゃんと杏菜。その外から見える海や山を見てキレイな景色に思わずキッズスマホで写真を撮る。
朝4時に河川敷のグラウンドに集まって宿泊する旅館に着いたのは夜11時で、ホントに寝るためだけに来たような感じで翌朝には開会式が朝9時に行われる。
今年は果たしてどんなチームと戦うのだろうか?去年みたく、虹恋ちゃんみたいなとてつもない女の子と対戦するのか?ワクワクとドキドキして中々眠れずにいた杏菜だった。




