新たな試み
賛否
ゴールデンウィーク期間に1日2試合行うダブルヘッダーを含めると8試合行った杏菜の所属する福山Phoenixリトル。入団したての4年生も元気溌剌でプレーをしていて、ホント初心忘るべからずと言わんばかりにこの気持ちが大事だなと感じていた。
6月になり、杏菜や虹恋ちゃんを初めとする6年生にとって最後の夏の大会がもう目に見える位置にまで日が進んでいた。今年の県大会を制覇して2年連続で全国大会出場して、去年は当時、虹恋ちゃんの所属していた島根県の浜田松蔭リトルに1人も打球を飛ばせず完全試合を食らっているあの悪夢は今でも覚えている。
ちなみにこの話を虹恋ちゃんにしてみると全く覚えていないと答えており、対戦相手としてホントに眼中になかったのかと落胆する杏菜。例えはよくないものの、イジメた側は何人にもやっていて覚えていないがイジメられた側はその日の出来事を忘れる日はない。あれだけのピッチングとバッティングをしていたら県内外問わず同じ思いをしているチームは多くあるだろうと考えた。
杏菜としては誰よりもこの夏にかけている。今年こそ全国制覇して世界大会に出るという気持ちでいた。
残り1ヶ月、大会のトーナメント表がネットで公表された。水瀬監督がPDFを印刷をして、全員で福山Phoenixリトルの名前を探していていた。
だが、何度探しても見当たらずに誰もが水瀬監督が間違って印刷したのでないかと周りがザワついていたその時だった。キャプテンの虹恋ちゃんが名前ならあるよとあみだくじみたく、指をなぞりながら福山Phoenixリトルの名前を差した。そこにあったのは決勝戦。
コレってスーパーシードだよね?去年までそんなのなかったのにどうして突然今年から導入されたのかと思っていた副キャプテン杏菜だった。
福山Phoenixリトルのチームメイトがスーパーシードって何?普通のシードと何が違うのか分からずにいた。
水瀬監督がスーパーシードについて説明しようとしたらここはキャプテンである私、浜田虹恋が説明しますと手を挙げて話始める。
「説明しよう。まず、シードとはアマチュアスポーツにおいて過密日程の緩和するのが目的であり、そしてスーパーシードとは前年の優勝者や実力のあるチームが番狂わせで大会の早い段階で敗退を防ぐためのものである。この説明で合ってますか?水瀬監督」
水瀬監督は頷いてその通り。続けて今大会から各都道府県の優勝チームは決勝戦のみとなるとホームページに書いてあったと伝えられた。
チームメイトとしては、決勝戦1つだけ勝って全国大会に出れるってラッキーだな。スーパーシードはホント素晴らしい制度だと誇らしげに語っている。
だが、キャプテンの虹恋ちゃんと副キャプテンの杏菜はそう楽観的には考えてはいなかった。
その理由は、確かに決勝戦1つ勝てば全国大会出場出来るには変わりないものの大会が始まっても対戦相手がずっと分からない状態で対策のしようがない上に他のチームが実戦経験を積んでいる中でその実戦経験を積めないのがなによりのデメリット。
さて、これが吉と出るか凶と出るか。これは試合をしてみないと誰にも分からない。




