新チーム
始動
秋の大会、県大会1回戦で負けてしまって6年生達の公式戦が終わった。卒団式が行われるまでチームには入れるものの、未だに自分の不甲斐ないリードで将希君や宏斗君のピッチャー陣、そしてバッターとしても貢献出来なかった事を悔やんでいた杏菜。
そして、杏菜や虹恋ちゃんといった残された5年生と4年生がこの悔しさを晴らさなくてはいけないと頭の中では切り替えようとしているものの中々そうはいかない。
新チーム発足して、近くの公民館に集まってキャプテンと副キャプテンを決めようという運びになり、チームの柱だから杏菜と虹恋ちゃんの名前が他のチームメイトから名前が挙がる。
水瀬監督からはキャプテンに虹恋ちゃん。そして副キャプテンに杏菜が就任する形になった。そうと決まれば早速練習をしようと走り出そうとしたらまだ話があると呼び止められたキャプテンの虹恋ちゃんと副キャプテンの杏菜。
「怪我持ちだからホントはムリをさせたくないけど、この福山Phoenixリトルのピッチャー陣の中心は虹恋ちゃんと杏菜ちゃんをメインでやっていきたい。どちらかが投げている時はどちらかがキャッチャーっていう形で今は考えている。知ってはいると思うけどリトルリーグのルールでは試合中にバッテリー間の交代が禁止されているから適性を見て、他の5年生や4年生にピッチャーを任せる予定ではいる。このチームは虹恋ちゃんと杏菜ちゃん中心のチームだから最後は心中するつもり」
それを聞いて杏菜と虹恋ちゃんに託してくれるのは嬉しいものの、勝ったら全員のチーム力だし負ければ虹恋ちゃんと杏菜の個のせいって言わんばかりで何とも言えなかった。チームが始動するっていう時に心中って縁起でもないから言わないで欲しかった。
そして新しくキャプテンに就任した虹恋ちゃんを筆頭に新チームの練習が始まった。ひとまず虹恋ちゃんはリトルリーグの中でも男の子とも投げても打っても勝るとも劣らないどころか、もう1つ頭抜けているくらいの実力がある。剥離骨折をしていたのかというくらいランニングもキャッチボール、遠投でもスゴい。
その反面、杏菜はバッティングセンターで偶々《たまたま》打てて入団して女の子だからなのかものめずらい目で見られていたが、虹恋ちゃんにも到底及ばないにしてもそれなりに男の子と対等に戦えると自負している。
この福山Phoenixリトルに女の子だから、男の子だからと言った選手はいない。上手い子がいれば虹恋ちゃんや杏菜にどうしたらいいか聞いてきてくれる子が多い。
その度に虹恋ちゃんも杏菜も手を止めてなるべく分かりやすく説明しようと身振り手振り教えようと心掛けている。それが野球でもお勉強でも活きると考えているから。
とはいえ、教えると言うのは簡単そうに見えて難しい。その度に水瀬監督がどういう感じで自分達に指導をしているのかを参考にしていた。4月になったらまた新しい子が入団するかも知れないからそれまでお互いに協力をし合おうねと話をしていた虹恋ちゃんと杏菜だった。




