最後の大会
ピンチ
夏休みが終わり、退院した杏菜と虹恋ちゃん。本来ならば1学期、全く授業の受けていなかった2人に通知表が付けようがないが、教科書を読みながらテストを別日に病院にて受けさせてもらって満点近い点数を取っていた杏菜と虹恋ちゃん。
中学受験を考えている2人にとって正直、持ってこられるテスト全部満点を取れなきゃお話にもならないが、授業を全く受けていないのに満点を取ったらそれはそれで疑われるし、怪しまれる。だから分かっていても敢えて満点を取らないという策略をしていた。担任の先生には申し訳と思いつつも。
2学期になって、ランドセルを背負って学校に行ける現実に喜びを感じつつも杏菜と虹恋ちゃん共に授業後に科学部に行けない、野球の練習もままならないともどかしい気持ちでいた。とはいえ、急かしたらまた悪化する。
学校が終わったら病院でリハビリをする。夏の大会に出場出来なかった以上、秋の大会にはマウンドで投げられなくても試合に出場するという意気込みでいる杏菜と虹恋ちゃん。
秋の大会が開幕するまで残り1ヶ月を切っており、正直にいえば試合に出られるかどうかは黄色信号で微妙かなと薄々感じていた杏菜と虹恋ちゃん。それが福山Phoenixリトルの4本柱のピッチャー陣、クリーンアップを任されていた責務だと感じていた。
平日はリハビリ、土日は河川敷での練習に参加して出来る練習をする。自分達の出来を見て、今大会はマウンドに上がるのは不可能だなと痛感した杏菜と虹恋ちゃん。
そうして秋の大会が開幕した。
1回戦の広島北リトルとの試合に何とか試合に間に合った杏菜と虹恋ちゃん。3番レフト虹恋ちゃん、4番サード将希君、5番ピッチャー宏斗君、6番キャッチャー杏菜と最強クリーンアップが戻って来た。
久しぶりのキャッチャーマスクを被る杏菜。どのボールが走っていて、どのボールがイマイチなのか見極めてリードしないと。そして秋の大会で優勝して6年生達に有終の美を飾って欲しいとそれ気持ちだけでりーどをする。リードをする。
杏菜の気持ちとは裏腹に1回表から変化球もストレートも簡単に弾かれる。常にランナーを背負って投げている状況にどうしようかと、とりあえず球審にタイムを要求した杏菜。
「将希君、ゴメン。杏菜のリードが悪くて打たれてランナーがたまって失点する形になっちゃった。6年生にとって最後の大会なのに不甲斐ないリードばかりしちゃって……」
すると将希君が口を開く。
「投げてるのはオレだ。杏菜ちゃんのせいじゃないよ。正直、オレと宏斗だけだと今のこのチームはなかった。杏菜ちゃんと虹恋ちゃんのお陰だよ。負けたら6年生全員のせいだから気にせず強気のリードを頼む。打たれたら投げてる人のせいにしていいくらい。この試合勝って絶対また全国大会行こう」
そう声をかけてくれて強気のリードをする杏菜だったものの将希君だけでなくて宏斗君まで打たれ込まれて4回コールド負けで6年生の大会は終わった。
グラウンドだけでなく、家に帰っても泣きじゃくる杏菜に将希君と宏斗君からそれぞれ個人LINEでこれからは杏菜ちゃんと虹恋ちゃんでチームを引っ張っていってねと送られてきた。
今回の負けを糧に夏には絶対に全国制覇をしなくては、そしてスキマ時間を見つけてたんぽぽ女子中学校の合格すると誓った。




