ピンチ
困った
寒い冬から暖かい春に向かっていた。2月はバレンタインデー、3月は雛祭りと行事がある度にどちらかの家でパーティーが開催される杏菜と虹恋ちゃん。背丈もほぼ変わらず、洋服の好みも似ていて顔の系統も似ていており、見る人が見れば姉妹みたく思われる。
学校の授業、科学部にリトルリーグの練習や紅白戦に遠征でチームの底力を上げるためにも多く組まれていて気持ちは遠足気分でバスや電車に乗っていた杏菜。
虹恋ちゃんとしては2013年に始めて福山Phoenixリトルとして遠征に参加する。バス内では果たしてどの様に過ごすのか気になっていた。
前の席に座る虹恋ちゃんはリュックサックから何かを取り出す音が聞こえた。ガサガサする音がバスの車内に響き渡るくらいって何を取り出そうとしているのか、逆に気になっていた杏菜。
するとカボチャのお面を被っている姿を見た。
「カボチャ戦隊パンプキンマン登場。くらえ、ツインテールクルクルアタック」
そう言って杏菜の家でハロウィンパーティーでやっていたお面を付けてやっている姿はこの時期外れにお目にかかるとは思ってもいなかった。
普段は杏菜やクラスメイト、チームメイトに巫山戯る虹恋ちゃんだが、それはグラウンド外での話。1度グラウンドに入ると別人なのかと思うくらい投打共に頼もしい。もう虹恋ちゃんの実力を知っている福山Phoenixリトルにすれば味をしめた感じだ。
言い換えれば、柳の下にいつも泥鰌はいないということわざかも知れない。意味とすれば、1度偶然うまくいったからといって、次も同じように幸運が続くとは限らないという戒めとの事。
基本的にバスの車内では読書をするために本を持ち歩く杏菜。でも分からない言葉や漢字が出てきたらスグに調べるためにキッズスマホを買ってもらってからは併せて持つ様にした。
バスは関門海峡を渡り、この日の対戦相手がある福岡県大宰府市に入った。そして目的地でもある球場に着いた。
対戦相手は福岡県でも指折りの強豪チームでもある大宰府中央リトル。
全国大会の常連チーム。世界大会進出を目論む杏菜に取っては早かれ遅かれ倒さなくてはならない相手だと感じた。
第1試合は宏斗君、虹恋ちゃんがベンチスタートで3番ピッチャー将希君、6番キャッチャー杏菜で久しぶりのキャッチャーに腕が鳴る杏菜。
福山Phoenixリトルはジャンケンで勝って、後攻を取った。
初回が大事、高めに行くと長打になるからとミットで低めと身振り手振りで伝える。中々ストライクが入らない、甘めに入ったボールを弾かれる。正直、どうしたら抑えられるか考えていた。
0アウトランナー2、3塁といきなりのピンチ。1点は仕方ないかなと変化球のサインを出して、ショートゴロでホームに投げた時にクロスプレーでキャッチャーの杏菜が崩れ落ちた。思わず痛いと悲鳴を上げた。




