困った
どうするか
翌日、日曜日の練習は大雨でグラウンドコンディション不良により練習が中止された。帰ろうかなとも考えた杏菜だが、合羽を持ってきていない。かといって虹恋ちゃんに借りるのは申し訳ないし、自転車を車に乗せて家まで送って欲しいと言った烏滸がましくて言えない。
虹恋ちゃん、お得意の読心術で杏菜が思っている現状を虹恋ママに伝えて欲しいと願っていた。
すると虹恋ちゃんが話しかけてきた。
「杏菜ちゃん、雨酷いね。何を考えているのか?何を伝えて欲しいのかは虹恋分かるよ。ママにお願いするから付いてきて」
話をしなくても心で通じ合えるのが読心術。自分の気持ちを言うべき場面では言わなきゃいけない。だが、伝え方や言いにくい場面も遭遇する。そういう時に読心術は非常に役立つ。
「ねぇ、ママ。杏菜ちゃんがこの雨酷くて合羽持ってきていないんだって。合羽貸してあげた方がいいか?それとも車に自転車に乗せて杏菜ちゃんの家に届けてあげる方がいいかな?それとも雨が止むまで家にいてもらって、ご飯を食べてもらって雨が止んだら帰ってもらう?それとも昼も夜も食べてってもらう?」
それを聞いて驚いた杏菜。考えているのは雨が止むまで家にいさせてもらう所まで。誰が、雨が酷いので朝御飯食べさせて欲しいって言った?それにお昼御飯や夜御飯までご馳走になろうなんて図々しいにも程がある。
ひとまず朝御飯を食べさせてもらって、雨が止んだタイミングで虹恋ちゃんの家を後にする。虹恋ママからはいつでもウェルカムだから気軽に遊びに来てねと言ってもらえた。
とても嬉しい気持ちだが、コンビニや雨宿り感覚で人の家に上がらせてもらうのは人としてどうなのかなと考える杏菜。
虹恋ちゃん、読心術で杏菜の気持ちを汲んでくれるのは有難いが思ってもいない事まで付け加えるのはどうなのかなと感じている。
月曜日、学校に着いて教室に行く杏菜。
入口の傍らで見ていると、虹恋ちゃんとクラスの男の子が遊んでいた。
「くらえ、ポニーテールヘッドバンアタック」
咄嗟に見つかったら前やっていたあの技みたいにくらわされる。「ツインテールクルクルアタック」という未だにナゾの技。
読心術が使えて、よく分からない技を他人に繰り出すインパクトの強い女の子がクラスメイトにいたら間違いなく覚えているし、学校を卒業しても覚えている。なんだけどな〜と心の中で呟く。
今からでも15歳の杏菜に戻って、小学校時代の卒業写真を見てみたい。もし、当時同じ学校で同じクラスメイトに虹恋ちゃんがいたら果たして仲良くなれただろうか?それは定かではない。
15歳の杏菜へ
島根県から引越しして来た浜田虹恋ちゃんっていう子同じクラスにいたかな?そもそも同じ学校にいた?教室で男の子と「ワンピースを着てツインテールクルクルアタック」とか「ポニーテールヘッドバンアタック」とかする子がいたら絶対に覚えているよね?でも杏菜にはそんなインパクトある子いた記憶が全くない。だけど、明るくて優しくてかわいい子たよ。読心術で思っていない事まで言うのにはビックリしちゃうけどね。




